2夜目

アカネの2夜目 仲間外れ

「あぁ、もう夢から覚めたくないよ・・・」

 自分はそう毎日言っている。現実リアルより夢の中にいたほうがまだマシじゃん・・・だって、自分は学校だと・・・

 いつも通り学校の教室クラスルームに行く。そしたら・・・絶対に自分のことを、自分はクラスメートに玩具いじられる・・・

「おっ、志村ケンちゃん、おっはよ~」

 そう同級生クラスメートは言ってくるのですかさず自分も

「お、おはよ・・・」

 と返した。あぁ、だからこんな自分が嫌いなんだ。この自分の本音をちゃんと言えないやつが・・・はぁ・・・なんでこんな名字で生まれてきちゃったんだろ・・・そうやって、また自分自身を嫌いになる、いわゆる「自己嫌悪」に陥ってしまう。そもそもなんでいじられてるのかと言うと、自分のクラスにはもう1人、明音アカネって子がいる。その子はアニメから出てきたのかというぐらい容姿端麗すぎて、黒の長い髪をなびかせては、クラス中を虜にしている。その子からは自分のいじりに対して何も言ってこないが、幹部取り巻きが区別をつけるために「志村」という名字から思い浮かぶ有名人はこの人しかいないと思って、こう呼び始めたのだ・・・しかも、色々なことにチャレンジしていることもあり、その芸能人しか思い浮かばなかったらしい・・・こんなこと誰にも言えないな・・・

 そうだ!このことを「心のコンパ」で相談しよう!

                 ☾

 夜のとばりは落ちて、眠りについた。そしてパジャマのポケットに入ってた鈴をチリンと鳴らすと、昨日と同じ大きなドアの前にいた。それを押し開いていくと、またあの時の、「心のコンパ」のカウンターに来ていた。そしてフロントで

 アカネ 「あの~、今日も来たアカネですが・・・」

 そういうとスタッフさんは

 スタッフ 「あぁ、アカネさんですね。もちろん使っていいですよ。では、前回の新規メンバーがよろしいですか?それともランダムでよろしいでしょうか?」

 何、「ランダム」っていうの?それが気になって、

 アカネ 「ランダムって何ですか?」

 と聞いてみた。すると優しく丁寧に説明してくれた。

 スタッフ「はい。このランダムと言うのは文字通り、前回のメンバーとはまた別の人を呼んで『コンパ』をしてもらうことです。あ、そうそう、ここで言う『コンパ』って言うのは『直接会ったことのない人の集まり』と認識してもらって大丈夫ですよ。もし、前回の他のメンバーが『ランダム』を選んだとして、ホランさんが『前回のグループ』を選んでも、差し支えなくそのメンバーでご利用できます。あくまでも『夢』ですので・・・あと、もう一つ。実は今まで話した人でいわゆる『お気に入りメンバー』みたいな設定もありますので、『お気に入り』のメンバーを集めて話すこともできますよ。初期設定では同期のメンバーがお気に入り登録済みですので、気に入った人も誘って『ランダム』と言うことも可能です。あと、もう1つとっておきの機能があります。もし、ちょっと衣装を変えたいなと言う時は、向こう側に着替え室があるので、想像してもらえれば好きな服に着替えられますよ。」

 へぇ・・・だから「コンパ」なのか・・・自分はてっきり結婚を前提のパーティーのことかと思った・・・

 アカネ 「わかりました。では着替えしてからまた改めて来ます。」

 そうフロントに言い残して、着替え室でとりあえず、お気に入りの紫のワンピースに着替えた。

 スタッフ 「それでは、アカネさん、改めて聞きます。『前回のグループ』か『ランダム』、どちらがよろしいですか?」

 フロントに向かった直後、そう聞かれた。なんせなら昨日、自己紹介してもらって仲良くなったチームのほうがいいだろう。

 アカネ 「じゃぁ、『前のグループ』でお願いします。」

 そういうとスタッフさんは、にっこりした顔でこう言った。

 スタッフ 「わかりました。では1号室をご利用くださいませ。」

 言われる通り一番手前の部屋、1号室まで来た。ドアを開けると、またいつものメンバーがいた。でも、今日は自分たちの私服らしい姿でいた。

 ホラン 「また会ったね!」

 ケイ 「よかった~アカネちゃん、また来てくれた!」

 みんなが大歓迎してくれた。自分もほっとした。よかった~ちゃんとみんないる!

 テオ 「ねぇ、今日は何の話してくれるの?」

 ナズナ 「気になるなぁ・・・」

 シンイチ 「僕も・・・」

 みんな予想通りの食いつきだ。さてと、本題言っちゃおうかな・・・

 アカネ 「さてと、本題だけど、実はね、自分、名字でいじられてるんだ・・・」

 やっぱり言っちゃダメだったかな・・・そう思ってたらそれは意外な反応だった。

 ホラン 「えっ、そうだったの?!そんなことは最初に行ってよ~」

 テオ 「僕たちでよかったら話聞けるけら、何でも言って!」

 良かった、拒絶されなかった・・・自分はさらに話を進めていく。

 アカネ 「自分のクラスではもう1人同名のクラスメートがいるんだ。その子はかなりの美人だから、自分と区別をつけるためにもう1人の「明音」ちゃんは普通に呼ばれているのに、自分の名字が「志村」だから、「ケンちゃん」なんて呼ばれてる・・・」

 ナズナ 「それは辛かったね・・・」

 テオ 「・・・?なんで名字が『シムラ』っていうのに『ケンチャン』なんて呼ばれているの?」

 あぁ、そうだ、テオは来日して間もないんだった・・・

 ケイ 「あ、それはね、そういうお笑い芸人が日本にいたんだよ。それで日本だと、『志村』って名字と言えばその人しか思い浮かばなかったってことだよね?」

 ケイがあっさりとカバーしてくれて助かった・・・

 アカネ 「ケイ、カバーありがと!そう。本当に本音、ここでしか言えないから助かるな・・・」

 ホラン 「マジそれな!本当にいいよね~ あ、さっきの名前いじりのことだけどさ、気にしないもんが勝ちかもしれないよ。

 アカネ 「えっ・・・?」

 ホラン 「だってさ、毎回気にし続けるとさ、なんかこう、疲れるじゃん?何だったらいっそのこと知らんぷりしてみるのはどう?」

 何だろう?元気が出てきた!

 アカネ 「ありがと!頑張ってみるよ!」

 そうすると鐘はボーンボーンと鳴った。いい感じですっきりした~

 アカネ 「じゃ~ね~!ありがと~!」

 そうして自分は大きなドアを押して出ていった。

              ☼

 ふわぁ~よく寝たぁ~。よ~し、知らんぷりの特訓頑張んないと!

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