2夜目
アカネの2夜目 仲間外れ
「あぁ、もう夢から覚めたくないよ・・・」
自分はそう毎日言っている。
いつも通り学校の
「おっ、
そう
「お、おはよ・・・」
と返した。あぁ、だからこんな自分が嫌いなんだ。この自分の本音をちゃんと言えないやつが・・・はぁ・・・なんでこんな名字で生まれてきちゃったんだろ・・・そうやって、また自分自身を嫌いになる、いわゆる「自己嫌悪」に陥ってしまう。そもそもなんでいじられてるのかと言うと、自分のクラスにはもう1人、
そうだ!このことを「心のコンパ」で相談しよう!
☾
夜のとばりは落ちて、眠りについた。そしてパジャマのポケットに入ってた鈴をチリンと鳴らすと、昨日と同じ大きなドアの前にいた。それを押し開いていくと、またあの時の、「心のコンパ」のカウンターに来ていた。そしてフロントで
アカネ 「あの~、今日も来たアカネですが・・・」
そういうとスタッフさんは
スタッフ 「あぁ、アカネさんですね。もちろん使っていいですよ。では、前回の新規メンバーがよろしいですか?それともランダムでよろしいでしょうか?」
何、「ランダム」っていうの?それが気になって、
アカネ 「ランダムって何ですか?」
と聞いてみた。すると優しく丁寧に説明してくれた。
スタッフ「はい。このランダムと言うのは文字通り、前回のメンバーとはまた別の人を呼んで『コンパ』をしてもらうことです。あ、そうそう、ここで言う『コンパ』って言うのは『直接会ったことのない人の集まり』と認識してもらって大丈夫ですよ。もし、前回の他のメンバーが『ランダム』を選んだとして、ホランさんが『前回のグループ』を選んでも、差し支えなくそのメンバーでご利用できます。あくまでも『夢』ですので・・・あと、もう一つ。実は今まで話した人でいわゆる『お気に入りメンバー』みたいな設定もありますので、『お気に入り』のメンバーを集めて話すこともできますよ。初期設定では同期のメンバーがお気に入り登録済みですので、気に入った人も誘って『ランダム』と言うことも可能です。あと、もう1つとっておきの機能があります。もし、ちょっと衣装を変えたいなと言う時は、向こう側に着替え室があるので、想像してもらえれば好きな服に着替えられますよ。」
へぇ・・・だから「コンパ」なのか・・・自分はてっきり結婚を前提のパーティーのことかと思った・・・
アカネ 「わかりました。では着替えしてからまた改めて来ます。」
そうフロントに言い残して、着替え室でとりあえず、お気に入りの紫のワンピースに着替えた。
スタッフ 「それでは、アカネさん、改めて聞きます。『前回のグループ』か『ランダム』、どちらがよろしいですか?」
フロントに向かった直後、そう聞かれた。なんせなら昨日、自己紹介してもらって仲良くなったチームのほうがいいだろう。
アカネ 「じゃぁ、『前のグループ』でお願いします。」
そういうとスタッフさんは、にっこりした顔でこう言った。
スタッフ 「わかりました。では1号室をご利用くださいませ。」
言われる通り一番手前の部屋、1号室まで来た。ドアを開けると、またいつものメンバーがいた。でも、今日は自分たちの私服らしい姿でいた。
ホラン 「また会ったね!」
ケイ 「よかった~アカネちゃん、また来てくれた!」
みんなが大歓迎してくれた。自分もほっとした。よかった~ちゃんとみんないる!
テオ 「ねぇ、今日は何の話してくれるの?」
ナズナ 「気になるなぁ・・・」
シンイチ 「僕も・・・」
みんな予想通りの食いつきだ。さてと、本題言っちゃおうかな・・・
アカネ 「さてと、本題だけど、実はね、自分、名字でいじられてるんだ・・・」
やっぱり言っちゃダメだったかな・・・そう思ってたらそれは意外な反応だった。
ホラン 「えっ、そうだったの?!そんなことは最初に行ってよ~」
テオ 「僕たちでよかったら話聞けるけら、何でも言って!」
良かった、拒絶されなかった・・・自分はさらに話を進めていく。
アカネ 「自分のクラスではもう1人同名のクラスメートがいるんだ。その子はかなりの美人だから、自分と区別をつけるためにもう1人の「明音」ちゃんは普通に呼ばれているのに、自分の名字が「志村」だから、「ケンちゃん」なんて呼ばれてる・・・」
ナズナ 「それは辛かったね・・・」
テオ 「・・・?なんで名字が『シムラ』っていうのに『ケンチャン』なんて呼ばれているの?」
あぁ、そうだ、テオは来日して間もないんだった・・・
ケイ 「あ、それはね、そういうお笑い芸人が日本にいたんだよ。それで日本だと、『志村』って名字と言えばその人しか思い浮かばなかったってことだよね?」
ケイがあっさりとカバーしてくれて助かった・・・
アカネ 「ケイ、カバーありがと!そう。本当に本音、ここでしか言えないから助かるな・・・」
ホラン 「マジそれな!本当にいいよね~ あ、さっきの名前いじりのことだけどさ、気にしないもんが勝ちかもしれないよ。
アカネ 「えっ・・・?」
ホラン 「だってさ、毎回気にし続けるとさ、なんかこう、疲れるじゃん?何だったらいっそのこと知らんぷりしてみるのはどう?」
何だろう?元気が出てきた!
アカネ 「ありがと!頑張ってみるよ!」
そうすると鐘はボーンボーンと鳴った。いい感じですっきりした~
アカネ 「じゃ~ね~!ありがと~!」
そうして自分は大きなドアを押して出ていった。
☼
ふわぁ~よく寝たぁ~。よ~し、知らんぷりの特訓頑張んないと!
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