女神さまのミスを隠蔽する代わりにチート「天運」を手に入れたので、現実世界で無双する件

脱兎小屋

第1話 ぱんぱかぱんぱーん

僕はもう、何もかもが嫌だった。


こんな世界、さっさと見切りをつけてやる。


そう決意したはいいけれど、すんでのところでやっぱり怖いからやーめた、なんてことになるんじゃないかと危惧してもいた。


だけどそれは杞憂ですんだみたいだ。


僕は人生の最後の最後に登場した、その自分の勇気だけは褒めてあげたいと思った。


喉に食い込んだ縄がぎりっと音を立てる。

意識が白っぽくなって薄れていく。


さよ、なら…。もう…二度と…。




「ぱんぱかぱんぱーん」


僕は地べたに座り込んだまま、何が何やら分からず目をぱちくりさせた。


「もーう、しけた顔してんじゃないわよォ」


僕の顔の前で水色の髪が揺れた。髪の主は僕の顔をのぞきこみながら楽しそうに指を振っている。


「は、誰?」


僕はあっけにとられたまま、目の前で白い顔をにこにこさせている水色の髪の女の人を眺めた。


うわ、よく見るとすごい美人だ。


現実ばなれした髪の色とあいまって、もう、なんか人形というか、作り物というか、この世のものじゃないみたいな…


「そう、その通り! 私はこの世のものじゃありません!」


「へあっ?」


心を読まれたような返答のせいで、僕の口から思わず変な声が出た。


僕の疑問をよそに、女の人はゆったりとした白い服をたなびかせながら腰に手を当て、堂々と宣言した。


「そう、私は女神! あなたたち人間があの世のものとか何とか言って、崇めたてまつりあげあげする非常にきっちょーな存在よ」


そしてフフフ、と不敵に笑ってから女神さまは言った。


「高見マコト。私の力であなたを生き返らせてあげましょうっ」

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