絶体絶命! 魔法を封じられたあたし
でかい。
でかすぎる。
天井で待ち受けていたのは、巨人サイズの目玉がひとつ。
それ以外の部分は、剥き出しの内臓みたいな脈打つ肉が目玉の外側を守るように覆い、無数の太い触手がいたるところから生えて不気味にワサワサと
「うっ……あの、えーっと……ひとつ目ちゃんは、言葉って通じるのかな?」
圧倒的に不利な状況。あたしはキモすぎる魔物を相手に笑顔を無理矢理つくり、友好的な解決を求めて話しかけてみる。
けれども、ひとつ目ちゃんは見つめるばかりで、とくにこれといった反応をしなかった。そもそも口が無いから、しゃべれないのかもしれない。
「あはははは…………そろそろ地面に下ろしてくれないかな? ちょっとだけそこの魔法円に用があるのよねー」
あたしの言葉に目玉を細めるひとつ目ちゃん。どうやら、上下に瞼があるみたいだ……キモっ!
すると、静かに伸ばされた二本の触手が自由だった両足に絡みつき、強引にM字開脚へと広げていく。ひとつ目ちゃん、おまえも淫獣なのかよッ!
「きゃあああああああ!? はうう……ぐっ……ちょ、ちょっとだけなら……パンツ見るの……特別に許してあげるから、さっさと早く下ろしなさいよ……え? いや、ダメ! 違う、そーゆー意味じゃないってば‼」
今度は別の触手が太股に伸ばされ、パンツを脱がそうと無防備な股間をめざして這いずりまわる。
「ひゃっ! あっ……お願い、だから……もう、やめ……」
ヌルヌルとして生温かなキモい感触に全身鳥肌が立つ。ついでに性的なフラグも。
こうなったら、刺し違えてでも乙女の純潔を守り抜くしかない。多少の攻撃を受ける覚悟を決めたあたしは、至近距離で魔法の詠唱を始める。
『長き冬は過ぎ去り、耐えしのいだ
『
「……!?」
──ええっ!? まさか、ひとつ目ちゃんが魔法を使えるなんて! しかも、高確率で標的を黙らせることができて、長時間魔法の使用を不能にさせてしまうかなり強力なヤツを!
「…………」
やっぱり駄目だ。
唇は動かせるけど、なんの言葉も声も出せない。
万事休す。
魔法を取り上げられた非力な乙女のあたしには、もうどうすることもできない。このままグロテスクなひとつ目触手モンスターにスケベされて死ぬんだ。
……ううん、ミメシスがいる。
ミメシスが起きてくれたら助かるかも!
(ミメシス、お願い起きて! あたし犯されちゃう寸前なの‼)
前意識のどこかで眠っているはずの闇の使徒に向けて、心の中で必死に話しかけてみる。
(ミメシス、ミメシス!)
あたしの意識にまで干渉しないとは言っていたけれど、構わずに何度も彼女の名前を呼び続けた。
『……ん……うう』
(ミメシス!? よかったぁ! ねえ、聞こえてる!?)
『……だ、ダメだ。ヴァイン……それ以上は……んんん!』
(えっ、寝言!? しかもなんだかエッチっぽい夢だし!)
『や、やめてくれ……! こんな恥ずかしい格好、見るな!』
(ちょっと待ってくださいよミメシスさん、それってあたしのセリフですから! 触手拘束M字開脚よりも恥ずかしい格好してるんなら話は別だけど!)
『見るな……見ないでくれ……世界中のみんな、
(公開プレイなの!? しかも世界中って、いったいなにがどうなってそこまでたどり着いたのよ!? つか、ヴァインはドSでハイレベルな鬼畜だなおい!)
そうこうしている内に、ひとつ目ちゃんの触手がパンツの
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