僕の異世界逃走記
ばに
エピローグ
01 ︎︎自由
Q.何か一つだけ手に入れられるとしたら何が欲しいですか?
小学校4年生の時、道徳の時間
一人一人に真っ白い画用紙を渡して
投げかけられたこの質問
クラスの皆が思い思いに好きな物を挙げてはこれも違うあれも違うと悩みながら、クレヨンを使って一生懸命に描いていたあの
その時僕はなんて答えを出しただろうか?
お菓子、ゲーム、おもちゃ
皆はそんなことを言っていた気がする
だけど僕はこの時
何も浮かばなかったのだ
文字通り、お菓子でもお金でも
ゲームでもなんでも
ただ考えれば出るだろう質問に
応えることが出来なかった。
思えばその時から自分の境遇に対して
疑問を抱いていたのだろう
なぜ僕は他の子達と違うのだろうか?
なぜ欲しいものが思い浮かばないのだろうか?
そんな疑問も今となっては確信を持って答えることができる
ただ一つの
言われれば納得するし、同時にありえないと思う不可思議に見えて単純明快な答えだ。
答えは簡単
欲しいものがなかった
これだけだ
お菓子?おもちゃ?お金?
僕はこれらの価値など一切知らなかった。
普通ならば有り得ない。
誰だって知っているのはずの
当たり前の知識だ。
そう普通なら
〜〜〜〜〜
僕の名前は
高校1年生だ。
今は1人で両親の残してくれた一軒家に住んでいる。1人で住むには大きすぎるくらいだけど、両親の形見なので大切に住まわせてもらっている。
そんな僕は父方のおじいちゃんとおばあちゃんに育てられた。
幼稚園、小学校、中学校、高校入学と
そして昨日........
おじいちゃんとおばあちゃんが死んだ。
死因は交通事故、奇しくも両親と同じだった。
僕は泣いたよ、本当に泣きじゃくった。
もう彼らはいないんだ。
もう心の逃げ場はないんだ。
これからは1人なんだ。
そう思うだけで
「違うよ♡私がこれからもずっっっっっと一生一緒にいてあげるからね」
Q.何か一つだけ手に入れられるとしたら何が欲しいですか?
今僕が答えるとするならば
自由だ。
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