「コンパスと私」








午前10時になろうとしている

今、通学途中だ


電車は船になった

線路は川になって船を運んだ



「次は宮原~、次は宮原~」



船は船着き場に止まる

そして私は船を降りた

改札機という船頭に切符を渡し、船着き場を離れた


なぜだか、このまま乗り続けるのは駄目だと思った

針路は変えずに歩きたかったのだ

乗りつづけるのは恐かった

このまま乗りつづけて授業を放棄するなんて恐いのだ


私は目的に向かって歩き出した

針路は変えずにそのままで、


足は意識的に教室に向かった






【作成日】[2013.6.10(月)]

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る