「一つの景色」

梅雨の朝に、遠くの方で、

雲がかかり、富士の山が見えず、

それに陽はほそぼそと

ほそぼそと射しているのであった。


陽の様子といったら、卵の黄身のようで、

それでいて非常に薄い黄色の布のようで、


見るたびに、ほぞぼそと

かすかな色を出しているのだった。


さて道の先に、目にとまる一人の女性が立ち

薄い、なんとなくやんわりとした

傘を手に、持っているのだった。


やがてその女性が傘をさしてかくれ、見えなくなると

今まで何も変わらなかった空から雨が


ほそぼそと、ほそぼそと、降ってくるので

あった・・・・・・








※中原中也「一つのメルヘン」を参考にした作品です。




【作成日】[2013.6.10(月)]

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る