もう一度マウンドに立ちたかった

丸子稔

プロローグ

 小学四年生の横山たけるは一学期の終了日に、クラスメイトの木村れんから、毎年この時期に元野球場で現在は広島ゲートパークという名称の市民公園になっている場所に、カープのユニフォームを着た幽霊が現れるという噂があることを聞かされる。


 猛はその噂話を確かめるため父親に一緒にその場所へ行くよう頼むが、あっさりと断られ、結局祖父の次郎と行くことになる。

 

 毎年のように幽霊が目撃されると言われている7月22日の夜、猛は次郎と共に市内電車に乗って公園を訪れる。


 ピッチャープレートが埋め込まれている場所に幽霊が現れると聞いていた猛は、次郎と共にその付近で様子を窺っていると、程なくしてユニフォームを着た幽霊が現れる。


 それを観て驚く猛とは対照的に、次郎は「あのユニフォームは間違いなく、カープの初期の頃のもんじゃ」と、冷静に言い放つ。


 その後、幽霊の動向を観ているうちに、足があることに気付いた猛は、それを次郎に伝えると、彼は幽霊に近寄り、「ここに何をしに来たんですか」と訊ねる。


 すると、男性は元カープの投手だということを打ち明け、カープファンだった妻の命日であるこの日に、毎年ここに来て冥福を祈っていると答える。


 男性が幽霊でなかったことに安心した猛は、後日蓮に見せるため男性の写真を撮る。


 その後、用事を終えた男性が帰っていくのを見送っていた猛は、男性の足が無いことに気付き、それを次郎に伝える。


 次郎もそれを確認したが、そんなはずはないとばかりに、先程撮った男性の写真を見せるよう、猛に促す。


 猛はスマホを操作し、男性の写真を見せるが、そこに写っていたのは……。


 


 

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