第16話 確保部隊の戦場・2

 フェンリルに乗って戦場の状況を後方から見ているキュッリッキは、ある程度2人が前進したら、そこへ闇の沼を召喚し死体を全て飲み込ませた。

 闇の沼はあまりの死体の多さに愉悦し、真っ黒なタールのような身体を波打たせて大きく揺れた。


「以前見せてもらった、ソープワート軍を飲み込んだものですね…」


 ゲッソリした声でブルニタルが呟くと、キュッリッキは頷く。


「こんなにじめじめ暑いんじゃ、すぐ腐って異臭が酷そうだしね。お掃除、お掃除」


 周囲の死体は消えたが、異臭はまだその場に漂っている。鼻を突いてくる異臭にブルニタルは胃の辺りを抑えながら、前に座るキュッリッキに視線を向けた。


「あんなに多くの死体を見ても、大丈夫なんですか…」


 床についた滲みを掃除するかのような口調のキュッリッキに、ブルニタルは非難するような目を向ける。不謹慎に聞こえるのだ。


「見てて気持ちのいいもんじゃないけど、見慣れてるもん。戦場だったらアタリマエの光景でしょ」


 幼い頃からこんなものを見て育った。傭兵の道を歩いてきたキュッリッキにとっては、これが普通なのだ。死体を見て恐れを抱くような感情は、とっくの昔に卒業済みだ。


「私はここまで、凄い場面を見たことがありませんから……」


 ふいっと視線を反らせる。


「そっか」


 ブルニタルの知識は深く情報分析なども的確にこなしていたが、現場を知らずに上辺の知識しかないのかな、そうキュッリッキは思った。


(アタシは、もう麻痺しちゃったもん。子供の頃に…)


 そうしないと、とても生きていけなかったから。心がもたなかったから。


「まあ……無理に見慣れなくてもいいけどね、こんなもん。――吐くんだったら後ろ向いてお願いね?」


 ブルニタルはこらえきれずに後ろを向き、フェンリルに被害が及ばないように吐瀉した。




 数十分が過ぎ、ソレル王国兵達の姿もまばらになっていった。中には混乱に乗じて敵前逃亡する者もいたが、そこを見逃すキュッリッキではない。フェンリルの前脚で無残に殴り殺されるだけだった。

 キュッリッキが後方で後始末をしながら残飯処理も行っていることで、ガエルとメルヴィンはひたすら前進あるのみだ。


「後ろを気にせず、刺されることも不意打ちを食らうことも気にせず、ひたすら殴り倒せるのは気分がいいもんだ」


 まったく息もあがっていないガエルは、スタートと変わらぬ勢いで拳を振り上げていた。ずしりとした低い声が心なしか弾んでいる。


「ホントですねえ。おまけに少しも疲労がないんですよ。これもオレたちを守ってくれている、ガラス板の力でしょうね」

「恐らくそうだろうな。フッ、ヴァルトがこれを知ったら、さぞ悔しがるだろう」


 ガエルは野太い笑みを浮かべた。

 メルヴィンも露を払いつつ次の敵に斬り込みながら、悔しがるヴァルトを想像してにこりと笑んだ。


「たまには自慢してやろっかな」




「カーティスさん、聞こえますか?」


 ブルニタルは血の気のひいた顔で、キュッリッキの肩に留まる小鳥に話しかける。

 見るに堪えないほどの無残な死体の山、湿度を含む空気にのった濃厚な血臭、フェンリルが攻撃して爆ぜる人間の残骸。それらを延々見せつけられながらも、次第にブルニタルも慣れが生じてしまっていた。

 慣れてしまった方が、何倍も精神と身体が楽だった。もう吐き気も起きてこない。


<こちらカーティスです>


 やや間を置いたあと、のんびりとしたカーティスの声が、小鳥の嘴を通じて伝わってきた。


「こちらはまもなく、ナルバ山麓の中隊処理が終わりそうです」

<えっ!?>


 小鳥の嘴から、カーティスとその周辺にいる仲間たちのどよめきも伝わってきた。


<もう目的地に着いて、作戦を発動しちゃっているんですか?>

「はい。とっくに」

<やいブルネコ!! いくらクマがちょっとだけ強くったって、中隊相手にそんな張り切れるもんか!>


 カーティスを押しのけて、通信用の小鳥に食いかかるヴァルトの姿が容易に想像できるくらいの、騒々しい声が伝わってきた。


「メルヴィンもいるんだよ」

<そんなの判ってる! キューリは黙ってろっ!>


 キュッリッキは「べーっ」と舌を出し、ツンッとそっぽを向いた。


「キューリさんの召喚のおかげで、空を飛んで移動もスムーズにすみましたし、召喚のサポートを受けた2人は、鬼神の如き暴れぶりです。戦闘を開始してまだ、1時間も経っていませんよ」


 報告を続けるブルニタルの声は、次第に弾んでいった。


<なんだそのサポートってええ!! ずりーぞクマああああ!!>


 頭髪を掻き毟りながら絶叫する、ヴァルトの姿が目に浮かぶ雄叫びだった。


<ボクもそっちがよかったな……>


 ボソリとしたタルコットの声が、小さく聞こえてきた。


<おいカーティス! こっちは俺様が翔んで行って、一人で全部処理してやる!!>

<ダメですよ、救出部隊と足並み揃わないと意味がないんですから>

<どうせヨードーすんだったら足並み揃わなくてもいいじゃんか! クマ野郎に負けるのだけは許さねー!!>


 宥める仲間たちの声が、ガヤガヤ伝わってくる。


<怪我したらどうするんですか。回復サポートのマーゴットさんも、一緒じゃないと危ないでしょう>

<そんなドヘタクソ女居ても居なくても関係ねーだろ!>

<ちょっとそれ、聞き捨てならないわ>

<最低ランクの魔法使いがイキがってんじゃねーよ! ヘタクソ!!>

<私は上手いから同行しているんです。頭の足らない人に、ヘンな言いがかりつけられたくないわ>


 いつの間にか嘴の向こう側で喧嘩が始まってしまい、キュッリッキとブルニタルは呆れ顔で同時にため息をついた。


「ブルニタルさん、リッキーさん、終わりましたよー」


 こちらに歩いてきながら、メルヴィンが笑顔で手を振った。


「お疲れ様ですメルヴィン、ガエル」

「お疲れさま~」


 メルヴィンから若干遅れて、満足顔のガエルが合流した。


「なんだか、ヴァルトさんとマーゴットさんの声が聞こえて来てましたが」


 キュッリッキが無言で、ブルニタルの指にとまる小鳥を指す。

 嘴を開けっぱなしの小鳥からは、ひっきりなしにヴァルトのわめき声が辺りに響くほど炸裂していた。


<こらクソベアー! 随分オイシイ戦闘楽しんでたそーじゃないか!!>


 ガエルが小鳥の近くに戻ってきたのを察知したヴァルトが、嫉妬むき出しの大声で怒鳴る。


「フフッ、俺が3分の2、メルヴィンが3分の1ってところだな。200人程度では準備体操にしかならなかった」

「ですね~。チートな楽しい戦闘でした。まだまだいけますよ」


 勝ち誇ったガエルに続いて、メルヴィンが意地悪く続ける。2人の報告は明らかにヴァルトの神経を逆撫でしまくっていた。もちろん、わざとである。


<キューリてめー! こっちにも同じようなサポートつけろ!!>

「黙ってろって言われたしー」


 キュッリッキは嫌味たっぷりに意地悪く言った。ヴァルトの反応がおもしろすぎるからだ。


<ムッきぃいいいいいい!!!>

<ヤレヤレ…えーと、このままだとヴァルトが大暴走しちゃいそうなので、縛り上げます。あなたたちはエグザイル・システムのようなものの確保をして、そこで待機していてください>


 離せ弱小どもー! という雄叫びがバックコーラスとして流れていたが、カーティスはスルーして続けた。恐らくタルコットとルーファスが押さえ込んでいるのだろう。


<確保とエグザイル・システムのようなものの状態を確認したら、ベルトルド卿に一旦報告を入れておいてください。こちらはこれからなので、作戦が終了次第連絡をいれますから、よろしくお願いします>

「判りましたカーティスさん」

<では後ほど>


 ぐおおおおおおおっというヴァルトの叫び声が最後になり、小鳥は嘴を閉じた。

 カーティスサイドの状況が脳裏に浮かんで、4人は疲れたような笑いを「ご愁傷様…」と吐き出した。




 ソレル王国兵たちの居なくなったナルバ山の麓は、恐ろしい程に静まり返っていた。

 改めて眺め渡すと、山自体にも山麓にも満足な緑は生えておらず、小動物たちが生息している形跡もない。大きな岩もなく、殺風景な場所だった。

 キュッリッキが綿毛たちに周囲を警戒させているので、異変があればすぐ判る。確保部隊の4人は堂々と山に足を踏み入れた。

 遮るものもないなだらかな裾野には、人工の道が敷かれていた。ソレル王国兵たちが作ったのだろう。簡素なものだったが、土や小石に足をとられることもなく快適に登ることができた。

 5分ほどゆっくり登ったところに、ぽっかりと大きな穴が開いている。穴の上下左右は大きな岩でしっかりと固定され、自然に空いた穴ではないことだけは確かだった。ソレル王国兵たちが手を加えたものでもないようだ。

 ブルニタル、メルヴィン、ガエルの順で穴に入っていったが、最後尾で穴に入ろうとして、キュッリッキは足を止めた。


(うん? なんだろう…)


 ほんの微かな違和感が肌を嬲っていく気がして、キュッリッキは眉をしかめた。両腕に抱えられている仔犬姿に戻ったフェンリルも、不思議そうに身じろぎしていた。


「なんだろうね、今の」


 腕の中のフェンリルに話しかける。フェンリルはキュッリッキを見上げながら、判らないといったように小さく唸った。

 危険感知はキュッリッキより広く速い。そのフェンリルが警戒していないので、大丈夫だと判断することにした。

 先を行く3人の後ろ姿はすでに見えなくなっており、キュッリッキは慌てて彼らを追った。




「うわー…、すっごーい」


 あまり広くない穴の中を小走りに通り、大きく開かれた場所に出てキュッリッキは思わず声を上げた。見上げる天井は、暗くなっていて見えない。


「空洞の中に、こんな立派な遺跡があるとは」


 ブルニタルも感嘆しきったように、辺りを見回している。

 山に穴を開けて掘り進み、このような広大な空洞を作ったのだろうか。しかし、何のために。

 捕らえられた研究者たちか、あるいはソレル王国兵によってか、照明が随所に設置されているので広場の中は明るい。そのぶん高い天井が暗くなっていて、どのくらいの高さがあるのか判らなかった。

 厳かな石造りの神殿が、空洞の中の半分を埋めている。惑星ヒイシのいたるところで発見される遺跡と同じ形のものだ。正面を見ると、長方形の箱のような形をしているのだろう。それを囲むようにして柱が並ぶ周柱式神殿のようだ。

 どんな神が祀られていたのか、それすら判っていないほどの古代の遺物。ブルニタルは独りごちるように呟いていた。

 ブルニタルの〈才能〉スキルは”記憶”である。一度でも目にし、耳にし、口にし、体験したものは二度と忘れない。絶対的な信頼性に基づくもので、この記憶〈才能〉スキル持ちは様々な場所で活躍している。

 しかし何故かブルニタルは、その記憶〈才能〉スキルのスペシャリストであるはずなのに、いつも小さな手帳にメモを取る癖がある。そのことを不思議に思ったキュッリッキが、少し前にツッコんだことがあった。


「いくら記憶〈才能〉スキルがあるといっても、動揺していたり感情が昂ぶったり追い詰められると、うまく記憶を辿れないことがあります。だから本当に大事なことや重要なことは、メモをとるようにしているんです」


 そう真面目くさって説明してくれたことがある。「随分デリケートな〈才能〉スキルなんだね」とキュッリッキは苦笑したのだった。

 4人が神殿に見入っていると、キュッリッキの腕の中からフェンリルが飛び出し、奥を目指して駆け出してしまった。


「あれ、フェンリルどこいくの!?」


 驚いたキュッリッキが慌てて追う。気づいたメルヴィンもキュッリッキを追いかけた。

 広場の奥にはさらに穴があり、そこにフェンリルは飛び込んだ。そしてすぐ出てきてキュッリッキのほうを向くと、フサ、フサ、と尻尾を振った。


「なんか見つけたっぽい」


 穴の手前で止まり、尻尾を振るフェンリルを抱き上げる。


「いいもの見つけたの?」


 目線の高さに抱き上げて問いかけた。

 キュッリッキの目をじっと見て、フェンリルは鼻をひくつかせた。


「誰か居るんだね」


 その様子を後ろで黙って見ていたメルヴィンは、手近にあった篝に入っていた木の棒を取り出し火をつけると、キュッリッキを背後に庇うように立って先に穴の中に踏み込んだ。穴の中は真っ暗だ。


「先に行きますので、着いてきてくださいね」

「はーい」


 キュッリッキは素直に返事をすると、メルヴィンの背に張り付くようにして進んだ。

 そんなに距離は進まず、直ぐに目的の場所に着いた。そこは小さなあなぐらだった。

 メルヴィンが足元にスッと灯りをかざすと、ひと組の男女が倒れている姿が浮き上がる。


「あれっ?」


 メルヴィンの後ろから顔を出すと、キュッリッキは跳ね上がって驚き、勢い付けて男女に飛びついた。


「ちょっとハドリーとファニーじゃない! どうしたのよねえ、起きてってばっ!!」


 意識を失ってる2人の胸ぐらを掴んで、逞しくグイッと引き寄せると、容赦のない勢いでブンブン前後に揺さぶる。揺さぶられるたびに、2人の頭がゴチンゴチンと当たって、見ていて痛そうだ。


「リッキーさん、それはちょっと…」


 メルヴィンがやんわりと止めるが、聞く耳持たずで2人をブンブン揺さぶり回したあと、ファニーのほうを乱暴に投げ出し、あいた片手でハドリーの髭面に往復ビンタを叩き込む。手加減なしの容赦なし。狭いあなぐらにビシバシと音が反響する。


「い…いででっ……痛い痛いいい加減にしろコラッ!!」


 さすがに気づいたハドリーが、キュッリッキの手を振りほどこうとして身をもがいた。だが、腕も身体も厳重に縛り上げられていて、身体をクネクネと動かすだけだった。


「気がついたんだね、ハドリー!」


 にぱっと笑顔のキュッリッキを、ハドリーは目を細めて冷ややかに見やり、深々とため息をついた。


「あのな、もうちょっと優しく起こしてくれ…」

「えへへ…ゴメンなの」


 ちっとも反省してないキュッリッキをもう一度睨んで、ハドリーは身体を横に向けて腰を上げる。


「この短剣で縄を切ってくれ。それとファニーを起こしてやらねーと」

「うん」

「オレがやりましょう。これを持っててください、リッキーさん」


 黙って成り行きを見ていたメルヴィンは、灯りをキュッリッキに手渡して、ハドリーの腰にある短剣を引き抜いた。


「これだけ頑丈に縛っていたら、リッキーさんの力じゃ、かえって君を傷つけてしまいそうです」

「うむ、確かに…」

「えー…」


 心外なんだよーと文句を垂れるキュッリッキを無視して、縄から解放されたハドリーは、往復ビンタされた頬を痛そうに撫でる。

 メルヴィンはファニーの縄も切りはずしてやると、そっと抱き起こして軽く揺すった。


「すまん、ちょっと起こすの待ってくれ」


 ハドリーは素早くメルヴィンの手を抑えて止める。メルヴィンは不思議そうに首をかしげた。


「?」


 ハドリーは軽く肩をすくめる。


「そいつが目を覚ますと猛烈に喧しいから、先に色々話しておきたいことがあるんだ」

「……判りました」


 メルヴィンは頷くと、そのままファニーを抱き上げた。


「外に出ましょうか」




「メルヴィン、キューリさん、どこへ行っていたんですか」


 2人が戻ってくると、ブルニタルが不機嫌そうに迎える。そして人数が増えていることに気づいて、メガネをクイッとかけ直した。


「すみません、ちょっと人を助けたもので」


 メルヴィンは苦笑いして、抱えているファニーを軽く持ち上げ顔でハドリーを示す。


「アタシの友達が2人、穴の中で縛られてたの!」


 キュッリッキはハドリーの腕を掴んで引き寄せた。その様子を見て、ブルニタルは無言で頷く。眼鏡の奥の目がキラリと光り、ハドリーを値踏みするように観察していた。

 メルヴィンは抱えていたファニーを、近くの壁際にそっと寝かせる。


「リッキーがここにいるってことは、あんたらライオン傭兵団だな」


 ハドリーは淡々とした表情で、ブルニタルと向き合った。失礼な目に文句を言いたい気分だったが、説明の方だ先だ。


「助けてくれて礼を言う。オレたちは、アルケラ研究機関ケレヴィルの調査チーム代表シ・アティウスに雇われた、フリーの傭兵だ」

「代表の人はシ・アティウスというのですか」

「ああ」

「なるほど、話を進めてください」


 ブルニタルがハドリーに先を促す。


「オレたちは普通にエグザイル・システムでアルイールへ飛んで、咎められることもなく馬車でこの山まできた。研究者たちが調査をはじめて翌日すぐに、ソレル王国の軍人たちがやってきて、問答無用で研究者たちを全員拘束して連れて行っちまった」

「翌日すぐ、ですか…」

「ああ。抵抗もロクにできず、オレたちは縛り上げられて、あのあなぐらの中へ放り込まれてしまった。情けねえけど」


 ハドリーは複雑な表情で、親指で穴をクイッと指す。

 シ・アティウスはここへは何度か来ていて、大掛かりな調査を開始しようと研究者たちと護衛を引き連れて訪れたそうだ。

 調査を開始して半日ほどで、ハドリーはシ・アティウスから封書を渡され、首都アルイールへつかいに出された。封書は指定された人物に手渡した。それから寄り道せず、夜半に戻ってきても、研究者たちは灯りを消さずにずっと遺跡を調べ続けていた。


「その封書が例の報告書ですね」


 経緯を全て聞き終わると、ブルニタルは神妙な顔で考え込んだ。


「ソレル王国の動きが、不審過ぎますねえ……」


 アルケラ研究機関ケレヴィルは世界的にも有名な組織だ。ハワドウレ皇国が背景についていて、所長は副宰相ベルトルドである。本部はハーメンリンナの中にあった。

 シ・アティウスは正式な遺跡の調査許可書を持っていた。その書類にはどれも副宰相のハンコが押してある――シ・アティウスが勝手に押していった――効力のあるものなのだ。それに、ソレル王国はハワドウレ皇国の属国である。表面的には独立国としての体裁をしているが、副宰相ベルトルドが許可をしたのなら、絶対に順守せねばならない。それなのに問答無用で連れ去るとは、何やら雲行きが怪しい話になってきていた。


「エグザイル・システムのようなものが関係しているのでしょう。一度確認してから、ベルトルド氏に報告しなくては」

「ですね。ハドリーさん、この遺跡で見つかったエグザイル・システムのようなもののある場所はどこですか?」

「その神殿の中の最奥にある。オレも研究者の護衛のために一度中に入ったけど、仕掛けやらはなにもなかったな」

「判りました。すみませんが、案内をお願いできますか?」

「了解」

「では、行きましょうみなさん」

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