第24話 真実
「ノノカ、もしかしてこれ美姫さんの泣き声…?」
「わざわざ訊く?決まってるでしょうよ。かよさんが泣いてたらおかしいじゃない!」
「そうだけどさ。そんな言い方しなくていいじゃん。もっと優しく言ってくれよ、可愛さ半減だよ。」
「あー、優しくしてほしいんだ。やらしー。」
「もう、すぐそうやって茶化すんだから…。どうしよう、聞かなかったふりする?」
「こっちから訊くのはわざとらしいから、本人が言ってきたらでいいんじゃない?女の子って喋りたがりだもの。普通に接してれば大丈夫よ。」
「そうなのかな。じゃあそうしよう。ところで美姫さんの服、まだだよね?」
「うん、向こうにレディースの服があるから行ってみよう。」
2人はレディースコーナーに行って、美姫の服を見立て始めた。
間もなくして美姫が奥から右手に杖のような物を持って出てきた。先端にアクアマリンのような美しく透き通った玉が施された杖だ。
「美姫さん、おかえり。その杖は? ウグッッ…!」
ノノカが思いっきり青の右足の甲を踏んだ。そして青の耳に小声で
(何言ってんのよ!こっちから訊かないってさっき言ったばかりでしょ‼どうして男ってこうバカでエッチなのかしら‼)
(エッチは余分だろ‼)
「全部聞こえているわ、ノノカちゃん。いいのよ、自分から話そうと思っていたから。」
2人は直立して
「はい…。すみませんでした。」
「謝る必要なんかないわ。これからも一緒にやっていく上で話さなければならないことだし。ただお店の中ではちょっとね…。先に買い物を済ませましょう。」
3人はまず美姫の服を決めると、次にノノカのアドバイスで小型の望遠鏡や人感センサー、防煙マスクや防護服など数点を選んで買い物を済ませた。合計25,800ブラン。残金30,410ブラン。
美姫が
「お店の敷地を出るとこちらの時間が進むのよね。だからすぐそこのベンチで話すわ。行きましょう。」
3人は店を出てベンチに座った。
美姫が話し始めた。
「この杖はね、父が愛用していたもので父の消息がわからなくなったところに置いてあったらしいの。状況に応じて攻撃、防御、治癒などができるらしいわ。」
青が驚いて
「ええっ⁉それってもしかして『賢者の杖』っていうゲームとかで出てくる伝説の杖のことですか⁉」
「私はよくわからない。ただかよさんから渡された時、凄いことができるんだ、と思っただけ。ノノカちゃんは知っているのでしょう?」
「も、もちろん!いや、でもここで手に入るとは…。普通なら戦闘の多い『欲望の廊下』で手に入れるものなのだけれど、選ばれし者しか手に入らないって聞いてるわ。実はあたしもそこまでは行ったことないから話に聞いただけ。見るのも初めてだし、使い方とかもわからない…。ただわかるのはお父さんがすごい人だったということ。」
美姫が「そう。」と言ってうつ向いていると、青が
「美姫さん、ちょっといいですか。さっき『消息がわからなくなったところ』って言いましたよね?死ん、いやお亡くなりになったところではないのですか?」
「そうなの。かよさんが詳しく話してくれたのだけど、死体は見つけられなかったらしいの。だけど全く連絡が取れず、サポアニも消息不明になったので死亡扱いになったらしいわ。だからもしかしたら生きているかもしれないって、かよさんが泣いちゃって…。」
ノノカが
「かよさんが泣いてたのね‼てっきり美姫ちゃんが泣いてたと思った!」
「私よりかよさんの方が接していた時間長いし、よく大好きな
泣いた原因はずんだ餅?青とノノカは顔を合わせて少し呆れ顔…。
「え?2人ともどうしたの?なにかおかしい?」
「おかしくはないけど、美姫ちゃん、もしかして不感症キャラ?アイタッッ‼」
青が珍しくノノカの後頭部を引っ叩いて言った。
「不感症って言うな‼そっちこそエッチじゃん。」
「他になんて言うのよ‼」
「いやわからないけどなんかエッチだった。」
3人はよくわからない雰囲気に包まれた。
「ノノカ、美姫さん、その杖のことはおいおい試していくとして、買い物も済ませたから現場に向かいませんか?」
「そうよね、そうしましょう。」
3人は店の敷地を出ていった。
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