第18話 知識と探知

合志がまず話だした。

「とりあえず綾野さんは大丈夫よ。発見が早かったし、応急処置も良かったから大事に至らなかったって。

ねぇ青くん、なんで蜘蛛の巣を取っていたの?」


「蜘蛛の巣は止血効果があるんです。それにキッチンからお酢とはちみつを拝借。蜘蛛の巣に垂らしました。この2つには殺菌作用があるからです。」


ノノカが

「青、物知り~。感心しちゃう!」


「いや、何かの本で読んだんだ、古代ギリシャで蜘蛛の巣が絆創膏代わりに使われてたって。たまたまだよ。」


合志は

「でもいざって言う時その知識が出てくるって凄いわね、かっこいいぞ、青くん!」


「合志先輩もありがとうです。救急隊に上手く立ち回ってもらって。あとは犯人をあぶり出して、2度とこんなことをさせないようにしないと。」


「そうだね、でもあとは警察任せじゃないの?」


「ええ、もちろんそうなのですが、これではこの絵画をクリアしたことになってないですよね。

なので僕に考えがあるんです。上手くいくかはわからないけど。2人にも手伝って欲しいことがあります。いいですか?」


2人とも

「もちろんよ!」


「では善は急げ。さっき撮ったやり取りのスクショを数枚プリントアウトして…。これをまずSNS運営者に送って、事の事態を説明し、情報開示してもらいましょう。合志先輩、お願いできますか?」


「大丈夫よ。SNS運営者にはスクショをメールで送ればいいよね。そのあと電話してみるわ。」


「完璧です。すみません、ここの備え付けのパソコンから送って下さい。ちょっと僕は合志さんのパソコンじゃないと都合が悪いので。

ノノカは病院に行って状況を報告して。綾野さん自身やご父兄の誰がいらしてるか教えてほしいんだ。」


「いいわよ、ひとっ走り言ってくるわ‼」

と言って跳ねていった。


「では僕は合志さんのパソコンをお借りして、ちょっとブラックまがいことやりますね。」


「なに?ブラックまがいって…。」


「警察にバレたら疑われる確率90%ぐらいの事です。」

と言いながらポケットからメモリースティックを取り出した。


「父親からいくつかプログラムをこっそり盗んだんです。その中にこのプログラムがあってですね…。簡単に言うと掲示板の書き込みを逆探知してある程度の地域まで絞り込めるんですよ。」


「凄いじゃない!じゃあ私はSNS運営者に問い合わせなくても良いってこと?」


「いえ、これはさっきも言った通りブラックまがいなんですよ。なんでわかった、って訊かれたら説明できないんです。ただ、運営者に連絡が取れても警察に問い合わせたりするでしょうから、何日か返答してくれないと思うので先手を打っておきたいんです。」


「なるほど~。わかった。じゃあそっちはお願いね。」


「わかりました。」


合志はカウンターのパソコンに向かい、青は探知を始めた。

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