なに味?

 オレは望月さんを好き…じゃない。

 

 うん。

 気になるだけさ!

 

 きっと…

 

 …

 

 でもさ…トオルが最近、望月さんに絡んでいるのがやたら気になる。

 

 

 

「望月さーん、抹茶味のチョコあげるー」

 と望月さんの興味を食べ物でそそっているじゃないか!

 

「あー、ごめんなさい。抹茶は…ちょっと」

 とお断りされていた。

 

(抹茶味のキスは、ちょっとね…)

 とぼやく望月さん。

 

 なんで抹茶味のキス?

 キス余計じゃない?

 トオルとキスするの?

 もらった人とキスしないといけないルールとかあるの⁇

 なんて疑問を抱いていると、

 

「望月さんは、抹茶苦手?」

 とトオルが望月さんに聞いていた。

 

「あー、うんと…うん」

 

 うんと…うんって…。

 

「望月さん困ってんじゃん。ならオレにくれよ」

 と手を差し出すと、少しつまんなさそうにオレにチョコをくれたトオル。

 

(えっ、それじゃあサトウくんが抹茶味に…ファーストキスが抹茶味にっ)

 

 と心で騒ぎ出す望月さん。

 

 えっ…?

 えっ⁉︎

 

 な、なんでそんな発想になるのだよ?望月さんっ!

 

 てか、ファーストキスって…何?

 

 オレがなぜキス未経験者だとご存じなのでしょうか?

 

 それとも…まさか、望月さんはファーストキスをオレとするって決めてるとか?

 

 …んなわけないか。

 

 でもさ、なんか…なんか望月さんがいっつもキスとかいうから意識しちゃうよーー‼︎

 

「あーあー、せっかく望月さんにチョコプレゼントしようとしたのに、まさかサトウの手に渡るなんてさー」

 

 と、トオルが望月さんをみながらいった。

 

 すると望月さんは、

(いや…、なんでわたしの為にわざわざそんなことするの?この人は、危険だわ。なるべく関わらないようにしないと!それにサトウくんを抹茶味にするなんて…ほろ苦いじゃない‼︎わたしは、甘いキスが…やっぱりファーストキスは、甘い方がいいの!断然苺ミルクなわけよ‼︎だから、抹茶は…せめて…せめて二回目くらいがいいわっ!抹茶…甘さの中にふんわり抹茶風味。悪くない…かもだわ♡)

 と、なぜかキスの話で望月さんの脳内がもちきりになっていた。

 

 望月さんから警戒されてるな。ドンマイ、トオル。オレはチョコを食べながら心でトオルを、あわれんでいたけど…望月さんがオレとのキス話でどんどん盛り上がってるから、オレもどんどん意思して…めっちゃ恥ずかしくなった。

 

 あの…望月さんの妄想だともう…あれだよね…

 結構濃厚なキス…かます感じになるよね?

 想像したら…や、やばいっすね。

 

 想像…するだけでマジやばいからーー‼︎

 

 ファーストキスは苺ミルク味がいいっての、可愛すぎる‼︎

 

 で、

 

 二回目くらいで抹茶味って…

 

 てかさ、なんで毎回キスに味付き⁉︎

 

 恥ずい…‼︎

 恥ずいからーー‼︎と、オレはお茶をがぶ飲みした。

 

 ぷはぁー‼︎

 

「な…なんで佐藤も望月さんも真っ赤な顔してんの?」

 

 と、トオルは不思議がっていた。

 

 そしてオレと望月さんは、

「「あはは…どうしてだろうねぇ」」

 と言いながらお互い目を逸らしたのでありました。

 

 続く。

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