あらあら

 本日、とてもシーンとしている教室。

 

 そう、ただいまテスト中なのです。

 だから聞こえるのは、鉛筆の音のみ。

 

 …だったのですが…

 

(どうでしょう?こうでしょう?あぁでしょう?)

 と、リズミカルな歌声がきこえます。

 

 うん。

 望月さんだよね…。

 

 望月さん…よく歌いながら問題スイスイ解けるよねー。

 

 ある意味感心する。

 

 そして、とても気が散る…

 

 どうでしょう、こうでしょうって…

 

 望月さんの歌声に苦戦しながらなんとかテストを終えた。

 

 で、休み時間…

 

 望月さんが、

(アイス食べたくなってきちゃったー‼︎どうしよう、どうしよう?)

 と心でどうしようの連発していた。

 

 そしていきなりオレに、

「ねぇ、どうしよう」

 と言ってきたじゃないかっ!

 

 アイス食べたくなってきたって言われる?よね⁉︎

 

「どうしようもなくない?」

 とうっかりオレはこたえてしまった。

 

 すると望月さんは、

「そう…だよね。消しゴム二個なんて持ってないよね。」

 と言い出したーー‼︎

 

 アイスの相談じゃないんかーい‼︎

 

「け、消しゴムか。ならオレの少し分けてあげるよ」

 と消しゴムを半分にして渡した。

 

「えっ、なんか…ごめんなさい。わざわざありがとう」

 と喜んでくれた。

 

 あぁ、なんか望月さんみてるとほっこりするなぁ。

 

 こちらこそ、そんな笑顔見せてくれてありがとうだ。

 

 …いや、オレ…キモいだろ。

 そんなこと直接言ったら、絶対嫌われるやつ…。

 

 よかった。

 望月さんがオレの心読めなくて。

 

 …たぶん。

 

(あぁ、消しゴム分けてくれるなんてサトウくんは、優しいなぁ。やっぱり…キスも優しいのかしら…なんちゃってぇ〜♡キャァッ)

 

 といいながらうっかりオレの分けた消しゴムをぶん投げてしまった望月さん。

 

(キャ〜‼︎わたし達の愛の結晶がぁ〜)

 と、慌てて望月さんは消しゴムを追いかけた。

 

 ⁉︎

 い、今…愛の結晶って…言った⁉︎

 

 

 もしかして…望月さんってオレのこと……

 

 …

 

 そんなわけないか。

 

 

 休み時間が終わりオレは真面目に授業を受けていた。

 

(あらっ、あらあらあら?)

 

 どうしたのかと望月さんをみると望月さんは、消しゴムとシャーペンで遊んでいた。

 

 あらあらいうから何かと思ってみちゃったじゃん。

 まさか遊んでたなんてさ…

 

 でさ、思いっきり目があったよね…

 

 そしたら、望月さんは深々とお辞儀をしてきた。

 

 なのでオレもお辞儀返しをしておいた。

 

 …授業中に何してるんだろうか、オレたちって。

 

 

 ってかさ‼︎

 望月さんって成績いいんだよね。

 

 でもさ、授業中めっちゃ遊んでるーー‼︎

 すごいな…色んな意味で…。

 

 少しするとまた…

 

(あら、あらら?どうしましょう?)

 と望月さんからきこえてきた。

 

 …どうしたんだよ?

 と望月さんをみると、なんと‼︎

 

 なんと‼︎無表情…

 

 ⁉︎いったいどうしたの⁉︎

 

 声かけるべき…かな?と悩んでいると望月さんが、

(どうしましょう。お腹空きました。)

 と言っていた。

 

 …うん、ほっといてよかったよ。

 

 

 そんな次の日、昨日のお礼ですと、苺ミルク味の飴を三個かわいくラッピングしてくださった。

 

「わざわざいいのに。」

 とお礼を言うと望月さんは、

「いいのですよ」

 と言ったのですが…そのあと心の声がきこえてしまったのです。

 

(苺ミルク味のキス♡)

 

 と。

 

 …これはどういう意味なのだろうか?

 

 よくわからなかったけど、飴をありがたく頂戴したのでありました。

 

 続く。

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