第6話失敗
先輩に買い物に行くか訊かれたが,私はどうしてか断った.「本当にこのまま帰って大丈夫?」と何回か確認されたが,「大丈夫です」と答えた.防衛本能が働いたのだろうか.予定外のことをして,そういう雰囲気になってしまったらと考えたのだろうか.先輩は「そっか.じゃあ家まで送るね.お会計しよっか」と言った.心なしか寂しそうな言い方に感じた.
さて,デートの食事代をどうするか問題に直面した.私は友人と食事した時の感覚で,自分の分は自分で払うという考えがあったので,財布を出すと,
「いいよ,俺払うから.」
『いやでも申し訳ないですよ.』
「いいいい,大丈夫」
『すみません.ありがとうございます.』
というやりとりをしておばあちゃんに微笑まれた.お会計して車に乗り,家の近くの本屋まで送ってもらった.
帰り際,もう少し名残惜しそうにすれば可愛いのに丁寧にお礼を言ってすぐに車を降りた.そういう雰囲気になることが怖くて変にサバサバしてしまった.
デート後,先輩からは以前のように絡まれなくなった.代わりに女の子を紹介してほしいと言ってくるようになった.この経験を経て,可愛げがないと,恋愛対象から外れてしまうことを学習した.
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