第16話 「シーナのお胸注意報!」

ガイエスブルクが地龍へ進化してから1ヶ月が経過した。


「どうだ?変じゃないか?」


「カッコいい!カッコいいよ!ガイエスブルク!」


普通なら会得するのに学校で勉強して早くても1年ほど掛かる「人化の法」もアッサリとクリアーして「人間の姿」になったガイエスブルク。


これは兄のブリックリンがガイエスブルクが進化した後に困らぬ様に「人化の法」の基礎知識をガイエスブルクに仕込んでいたからだ。


そして人化したガイエスブルクは控えめに言って、「茶髪の美少年」だ。

美形が多い龍種でもそうそう居ないレベルで美形なのだ。

シーナが惚れ直したのは言うまでもない。


しかもまだ「第二次進化」前の子供の姿なので大人になるとどれだけ格好良くなるか想像が出来ない・・・羨ましいじゃねえかコンニャロメ!


しかしそんな格好良いガイエスブルクを見てシーナは不安になる。


「・・・・この、お子様体型だとガイエスブルクに嫌われないかな??」

それはシーナの「お胸」が全然、全く成長しないのだ。


12歳になって身長は150cmを超えた、双子の妹のラーナが現在の身長が140cmくらいなのでシーナの成長は一段階早かったのだ。


しかし「お胸」が「お胸」が成長しなーーい!!


いや12歳の子供が何言ってんだ?と思うがシーナにとっては切実な悩みだ。

何せ身長の増加と胸との成長のバランスが悪い。


もしかしてこのまま?と実に女の子らしい悩みに、

「身長と胸の成長は全然違うよ」

エレンはうら覚えの知識で説明するが如何せん人間の事なので良く分からんのだ。


地龍の成長=進化なので、エレンは進化の眠りから覚めたらこの体型だったのだ。


女性の体の特徴云々との事だが、そもそもの話しで私にも全く解らんので詳しい事は母親か保健体育の先生にでも聞いて欲しい。

単純に娘の時は確かこんな感じだったじゃね?程度でこの話しを書いているのだ!(エヘン!)


「うーん・・・シーナの胸は骨格的にも大きくなると思うよ?」


「むう・・・そうだといいけど・・・」


胸の大きなエレンに説得されてもなぁ・・・と言う感じで明らかに不満そうなシーナに苦笑するエレン。


クライルスハイムからの知識の開放も大分と進んだのだが、何せ男性のクライルスハイムの知識なので当然そんな女性の身体についての情報は無い。


もしかすると生粋の単一存在の彼は男性と女性の概念が間違っている可能性すらある。


そしてユグドラシルの知識は「世界の管理」の事しか無いので他の事、特に恋愛云々の知識など赤ん坊並みに知識が無いのだ。

そもそも今まで自分が「恋」するなんて事は想像もしていなかった。


シーナは龍都に住む他の地龍の女性にも聞いたが、人化する事の少ない本国の地龍達は人間の姿には無頓着で「「え?胸?うーん?どうだったけ?」」と要領を得ない。


「よし!スカンディッチに行って見よう!」と思い立つシーナ、

久しぶりの故郷への帰還が「胸の事について」との理由なのもどうかと思うがシーナは人間の女の子でもあるので仕方ない。


スカンディッチ伯爵領へと帰還するなりシーナは自分の胸の事にノイミュンスターに相談したが、話しを聞いたノイミュンスターから「もう子でも作るのか?」と明後日の返答が返って来た。


だからその前の段階の話しだっちゅーねん!


しかしその後に続くノイミュンスターの解答が、

「なるほどのぅ・・・ふむ、確かに深刻な問題だのう。

体と生殖器官の成長のバランスが崩れると将来的に難産とかの可能性もあるかも知れぬ。

しかし我は男だからこれ以上は詳しくは解らんからリール達に聞いて見るしかないのぅ」

とかなり真面目な解答が返って来たのだ。


「難産・・・・」


「そっそうなんですか?」


エレンが少し慌ててる様子だ、まさか本当に深刻な問題だと思ってなかったからだ。

最初にもうぶっちゃけると、この話は全然深刻な話しでは無いのだが・・・


ネタ話しです、すみません本当に。

定期的にネタ話しを書かないと死んじゃうんです。


ここで王妃ファニーでも居れば、「え?12歳なら普通ですわ」で終わる話しだったのだが、作者も含めて全員が全員、人間の女の子の身体について知らん連中なので騒ぎが明後日の方向へと大きくなる。


「うむ、少し我も油断していた、シーナの体はもう成人の少し前くらいまでに急成長したが生殖器官の成長は通常通りと言った感じだ。

余り良い状態とは言えんかも知れぬ。

エレンは完全な龍種だから人間の身体の事が解らなくとも仕方ない」


「生殖器官・・・」


博識なノイミュンスターでこの認識なので他の者は推しつ知るべしだろう。


「しかし胸か・・・何分にも我には無い物だから正直解らん」

とうとう当たり前の事を言っちゃうノイミュンスターだった。


色々とノイミュンスターが不安になる事を言ったモノだから本当に不安になったエレンは自分の母リリーにも聞いて見ようとシーナに提案して龍都へと戻った2人。


明らかな人選ミスなのは言うまでもない。


スカンディッチ伯爵領都から龍都の入り口まで1時間弱有れば到着出来る程に身体が鍛え上がって来たエレンとシーナ。


早速、エレンの実家に到着すると、今日は普通に起きていた母リリー。


「おかえりーエレン、いらっしゃいシーナ」


「ただいまー」


「お邪魔しまーす」


「今日はどうしたの?また修行?」


変な部屋がたくさん有るエレンの実家だが、外敵一切無しに、無駄に広過ぎるスペース・・・


「いやこれ修行するには最適じゃね?」と気付いて最近は良くこの宮殿内で修行をしているエレンとシーナ。


実の所、この変な部屋の数々はエレンの両親と友人達が自主的な修行をする為に様々な環境を想定して作られた割と真面目な龍戦士御用達の演習場だったのだ。


だから密林に山に湖があったのか・・・

そしてまだ見てなかった厳重にロックされた部屋には高位レベルの「灼熱の砂漠」や最高レベルの「擬似幻想氷河地獄世界」まで有るとの事。

さすがに危険なので未熟者の2人にはまだ使用許可は下りていない。


余りにも規模がデカすぎてエレンの両親だけでは維持する魔力が持たんので今の所は35名の龍戦士達で共同管理しているのだそうな。


そしてここに修行に訪れる龍戦士達にも稽古を付けて貰っている、ちゃっかり者のエレンとシーナ。


前にリリーが出て来た扉の中が本当のエレンの両親の居住空間で入って見ると割と普通の地龍の家だった。


あの後リリーに変な部屋について尋ねたら「さすがに森や山の真ん中に住んでたんじゃ落ち着かないわよ」と笑っていた意外と常識人のリリー。


今日の「お胸の相談」は、ここ「本当のエレンの実家」で行われる。

シーナが居るので龍用ではなく人用のテーブルとソファーが有る部屋に案内される2人。


「それで?相談って?」


「実は・・・」

シーナはリリーに今までの自分の成長状態を説明する。

そして何故かガイエスブルクが好き過ぎて辛いとか惚気も言い出す。


シーナの話しを目を閉じて最後まで黙って聞くリリー。

シーナが話し終わるとゆっくりと目を開けて・・・


「そう・・・分かったわ。いよいよ私の秘密を打ち明ける時が来たのね・・・」

と真剣な顔で珍妙な事を言い出した???


今の話しの内容から「秘密を打ち明ける」にどう繋がるのかマジ分からん!


「え?秘密?お母さん?!秘密って?!」何か物騒な展開に動揺するエレン。


「ついて来て・・・」スッと立ち上がり扉を開け・・・

スタスタと廊下を歩くリリーに慌てて付いて行く2人。


そしてリリーがたどり着いた部屋の前には、

『他者の侵入を固く禁ずる、許可無く入った者は・・・殺す』

と書かれた物騒極まり無いプラカードがぶら下がっていた!?!?!


「何ココーーーー?!おかーさーーーんん?!?!」


「入れば分かるわ・・・入りなさい」


「ふえええええ!?!?」これには動揺しまくりのシーナ。


抱き合いながら恐る恐ると部屋に入る2人。

そこに有ったモノとは?!


各種錠剤、何かの吸引機、数え切れない新旧書物の数々・・・そして散乱したレポート用紙・・・明らかに何かの実験場らしい・・・


「おおおおかーーさん・・・ココってななな何??」

如何にもマッドサイエンティスト風の部屋にビビリまくるエレン。

娘は思いかけず母のダークサイドを見てしまったのだ!


「ココわね・・・豊胸実験場なのよ!!!!」ドギャーン!!


「「なんだってーーーーーー?!?!」」


なんだとおおおお?!豊胸実験場だとぉーーーー?!

・・・・・・・・ん?豊胸実験場???

つまりは「お胸を大きくする為の実験場」・・・だよね?


「そう・・・私も私もね!「お胸」が大きくなりたかったのよーーー!!

でもね?でもね?幾ら研究しても全然大きくならないの・・・」

そう言ってシクシクと泣き出した母リリー。


「お・・・お母さん・・・そこまで「お胸」を気にしていたなんて・・・」


「ご・・・ごめんなさい・・・私の悩みなんてちっぽけなモノだったのですね・・・」

豊胸実験室のインパクトがデカ過ぎてシーナがユグドラシル化した事に全然気が付かなかったエレンとリリー。


「でもね!私はダメだったけど、シーナになら効くかも知れないの!

さあ!いらっしゃい!私の研究の成果を見せて上げるわシーナ!

そしてバイン!バイン!となるのよシーナ!!!」


「お邪魔しましたーーー!お母さん!ごめんなさーーい!!」

そう言ってシーナを抱えて全力疾走で逃亡するエレン!!


「ええーーー?!何で逃げるのーーー?!エレーーーン?!」

母の声を無視して龍都の外まで走り抜けたエレン。

いや!そりゃ逃げ出すわ!アソコに居たら何されっか分かんねぇモンよ!


「ハア!ハア!ハア!・・・・・・・・ごめん・・・シーナ」


「こ・・・怖かった、怖かった、怖かったよ~」


母リリーが繰り出すホラー展開に過去一全力疾走したエレン。


とりあえず龍都に帰るとリリーに捕まりそうな予感があったからスカンディッチ伯爵領に戻りノイミュンスターに報告した。


「ふむ・・・やっぱりリールを呼ぶか・・・」


そう言って目を閉じたノイミュンスター。

どうやら天舞龍リールに念話を送っているらしい。



で、結局はピアツェンツェア王城からスカンディッチ伯爵領に呼び出された天舞龍リール。


「私を呼ぶなんて初めてだねノイミュンスター。それで?今日はどうしたの?」


さすがリール、呼び出されてから1時間弱での登場である。

ちなみに天龍は空を飛べるので「転移魔法の分野」は、あまり得意では無い、リールは超音速で飛んで来たのだ。


「急ぎでは無かったのだが・・・来てくれてすまぬなリールよ。

実はシーナの悩みの相談に乗って欲しくてのぅ、我では役不足なのじゃ」


そう言って紅茶をリールに差し出すノイミュンスター。

実はノイミュンスターは料理やお菓子を作ったり紅茶を淹れるのがメッチャ上手なのだ。

前にシーナが食べていた様々な料理やケーキはノイミュンスターの手作りだったりする。


「おお!シーナ!君が噂のラーナのお姉さんね。それで?相談って?」


シーナはノイミュンスターの後ろからちょこんと姿を見せて、

「初めましてシーナです、すみません、急に来てくれてありがとうございます」

そうお礼を言いながらペコリと頭を下げるシーナに精神的にも成長してると感じてるノイミュンスターだった。


「私はリールよ!よろしくねシーナ。今まで不思議と会えなかったわね。

それにしてもやっぱりラーナと双子なのねぇ。

魔力の波動で見ないと私でもラーナとの見分けが付かないわねえ」


「えへへへ」ラーナにソックリと言われて嬉しいシーナ。

それからシーナが胸の事をまた1からリールに説明した。


リールは真剣にシーナの説明を聞き、

「ふーんなるほどねぇ・・・胸ねぇ・・・あんまり気にしなくても大丈夫だと思うけど。

私が見る限りでも特に問題ない様に思うけど・・・なんなら精密検査して見る?」

と予想もしてなかった事を提案して来た。


「ふぇ?!」突然の精密検査の話しにびっくりするシーナ。


いや!胸を大きくする運動とか胸の成長に良い食べ物とかを聞きたいだけで!と口に出そうとした時・・・


「おおっ!そうであった!お主は優秀な医師であったな!

是非シーナを診てやってくれぬか?」

ノイミュンスターがリールの提案に同意してしまう。


「えっ?!いや!そうで無く!あの?」


「どうせなら生殖器官や内臓関係も全ての精密検査する?

その方がシーナも安心するだろうしね!」

既に診察モードのやる気充分の様子のリール。


「生殖器官?!?!あの!話しを!」


「おお!良かったのぅシーナ!

リールに診察してもらう機会など余程の事がないと無理じゃからのぅ」

完全に子供の身体を心配する親モードに突入してしまったノイミュンスター。


そしてもう完全にお医者さんモードに突入した天舞龍リール。

シーナの逃げ道は完全に塞がれたのだ!

エレンはオロオロするばかりで使い物にならない。


この姿こそが「癒しの天龍」・・・もう一つの天龍の本能の姿である。

天龍は医療に対して熱烈な情熱を発揮する、地龍の造形に対する情熱に似ている。


「よし!久しぶりに血が騒いで来たよ!」

リールのテンションはもう爆上がりなのだ!


「私は診察特化の治癒魔法があるからね!機材はいらないからすぐに始めよう!

ノイミュンスター!空いてる部屋貸してね!シーナ!行くよ!」


「きゃあ?!」

ヒョイとシーナを片手で担いで部屋に行く気満々のリール。


「おおっ!それは暁光!

良かったのぅシーナ、リールよ、そこの部屋を使ってくれ」

と奥の部屋を指差すノイミュンスター。


「はっ話し聞いてーー!!」

シーナの悲鳴は誰にも届かない、早期の診察はとても大事だとこの世界の人間も龍種も分かっているからだ。


「エレンも手伝って!」


「はっはい!」尊敬しているリールには逆らえないエレン。


それからリールに拉致され、部屋に監禁され、女性同士だからと情け容赦の無い診察と言う何かをその後2時間に渡りあれやこれやと人様にお見せ出来ない、「アーレー」な事をリールにされまくったシーナであった。


「うう・・・もうお嫁に行けない」と泣くシーナ。


「私も・・・」とばっちりを受けてシーナと一緒に診察されたエレン。


「な・・・何で俺まで?」ついでに診察されたガイエスブルク。


ちなみにリール先生の検査結果だが・・・


「全員が全て問題無しの健康優良児!

骨格的にシーナの胸は平均的になると思うよ!既に女性ホルモンの成長が始まってるから来年には胸もお尻も一気に大きくなるから心配しないでね!」


仕事をやり切ったお医者さんからの太鼓判も貰ったシーナ。

胸は大きくなるってさ!良かったね!


ドヤ顔のリールを見ながら絶対に今後は胸の話しはしない!とも誓った12歳の悩める少女シーナであった。


だが天舞龍リールも「シーナが人間」だと言う先入観に囚われて見落としている事があった。


結論から言うと「シーナは地龍」なので「第二次進化」をしないと体型は変わらないのだ。

そしてリールの言う通りに進化後の「お胸」はごく平均的だった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



エルフの女王イリスは「影見」この様子を見ていてそれを魔王バルドルに話した。


胸が云々の話しを聞いたバルドルが、

「しかしなぜ女は胸の事ばかりを気にするのじゃ?」

突然魔王バルドルが不思議そうに特大爆弾を投下したのだ。


「え?!男は女の胸を気にするモノじゃないの?!」

予想もしてなかったバルドルの爆弾にビックリするイリス。


「まあ確かに胸も気にはなるがな。

ただ胸ばかりを気にする奴は居るには居るが大半の奴は別にそこまで気にしとらんのではないかな?


どちらか言うと、男は全体的なバランスで女を見ておると思うぞ?


胸が大きくても極端に痩せすぎ、とかだと胸が気になる先に女の体調の方が大丈夫なのか?と気になるな。


胸が小さくても全体的に健康的な女性なら魅力的に見えるぞ?」


つらつらと「お胸が女の全て」論を否定する魔王バルドル。


「そうなんだ・・・これはビックリ新事実・・・

そうだ!ね?ね?私は?バルドルさん的に私はどう見えているの?」


「お主の性格とか長年の友人とかの先入観を一切無しに単純に女性としてか?」


「うん!それで?それで?」


「ヤベェくらいに美しい女じゃ。・・・綺麗過ぎて逆にちょっと引くわー、じゃな。

大体からして顔もプロポーションも完璧とか無いわー」

イリスを褒めてるのか貶しているのか分からん事を言い出すバルドル。


「なによそれぇーーーーー?!?!?!」


「うーむ・・・何と言えば良いのか・・・

お主は「絵画」から直接出て来た様な芸術的にパーフェクトな美しさを持つ外見なのじゃ。

余りにも美し過ぎて近寄り難い・・・と言うべきか?

お主がもし「物静かな女性」じゃったら儂はお主を友人には出来んかったろうな」


「む?!私は「物静かな女性」じゃないの?」


「・・・・・・・・・・・お主は自分で自分の事をどう思っている?」


「マジでクッソやかましい女」


「じゃろう?」


「そだね」


「逆に、そのクッソやかましい所が有るから、儂はお主と長年の友人でいられるのだ。

何も喋らん澄ました芸術作品の友人は要らんからな」


魔王バルドルの言葉にイリスは・・・「えへへへへ」と顔を真っ赤にして照れた。

要するにバルドルはイリスの中身を認めた上で友人としていられると言っているのだ。


「・・・・・・・でもそれなら胸ってあんまり魅力には関係ないね?」


「胸が女性の重要な魅力の要素なのは間違いないがそう思うぞ?

あくまでも儂は・・・だがな?」


「でも本当の本音は?やっぱり大きい方が良いんでしょ?」


「大きさより本人に合っているかどうか?じゃな。

本音は変に無理せず体型は健康的なら良い、太り過ぎも痩せ過ぎも魅力を感じんな」


これはあくまで魔王バルドルの主観で男全部がそう言う訳でもないが「胸が大きく顔が良く性格が悪い女」は、確かに大半の男は表面的には褒めるが本音は「御遠慮願いたいな」と思うだろう。


「むう・・・男心も難しいね。私の何がダメなんだろう・・・」

今まで男性と一切付き合った事の無いイリス・・・しかし原因がイリスに有る訳では無い。


「お主がダメじゃ無くて「種族的な要因」じゃな」


イリスの恋愛観は普通で「同じハイエルフの優しい人が良いな」と思っている。


しかし「同じハイエルフ」ここが問題なのだ。

現在のハイエルフの男性は全員イリスより年上で全員が「妻帯者」なのだ。


はい!終了~・・・である(合掌)


「うーん・・・私の結婚の為にもやっぱりクレア師匠に男の子を産んで貰わないと・・・」


「そうねぇ・・・最近は男の子が産まれてないわねぇ」

ルナも200年前に第7子を出産したのだが女の子だったのだ。


そしてこの子がイリスより年下の唯一のハイエルフの子供なのだ。

つまりイリスはハイエルフの中では「まだめっちゃ子供」なのだ。


「まあ、ハイエルフはそう言うモノだからな、焦るでない」


「そうねえ、こればかりは気長に待つしかないわねぇ」


「はーい」


イリス・・・1000歳にしてまだまだ生娘確定であった。

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