目を逸らしたあらゆるすべて

 乾いた空気に煙がまいた

 煙はぼくのため息だった

 湿った空気を肺から出して

 そうしてそれは白くにごった


 周りを見れば煙しかない

 それを霧だと理解する

 子どものころは綿菓子だった

 今じゃ雲と同じもの


 どこかに素直を置いてきた

 忘れてしまったひとつの事柄

 置いてきたわけではないけれど

 手元にないから仕方がない


 そうして吐き出す言葉の息は

 きっと誰かの棘になる

 きっと誰かの傷になる

 もしくは縛るものになる

 傷つけたくはないけれど

 それでも言葉は漏れてしまった

 受け入れなければ

 そう思うけど

 ふとした夜の底で悔やむの


 この言葉はだれのものだ

 その言葉はだれのものだ

 あの言葉はぼくのものか

 どの言葉もぼくではない


 無慈悲に人は傷ついて

 真たる思いは届くことなく

 無遠慮に人を傷つけて

 塞ぎ込むように思いを殺す


 ふとしてしまった振る舞いに

 誰かが何かを感じてる

 そう思うことは傲慢だ

 傲慢さとはそういうことだ


 その振る舞いこそ

 自覚を持つべきものであり

 ぼくが持つべきものであり

 他人に対して抱くもの

 目を逸らしたあらゆるすべて


 いつでも何かを探してる

 何かはきっと素直さで

 覆い隠した素直さを

 なんとなくで探してる


 素直さはどこ

 素直さはどこなんだ

 隠しているのに探してる


 きっと見つけたくないだけかもしれない






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