ありていのことば

あなたが笑えない日々を

　あなたが笑えない日々を

　僕はきっと生きている

　僕が笑えない日々を

　あなたはずっと生きている

　相互に向かない感情が

　同一だということを

　互いに知っている

　同族だからこそわかり合える

　この嫌悪感は拭えないまま

　僕らの関係は進展しない

　互いに反対方向を見定めて

　それが答えというように生きていく

　後ろを見れば

　あなたはあなたらしく

　毎日を生きている

　見たことのある答えだった

　僕は目を逸らしたけど

　後ろばかりを見てしまうのは

　後悔ばかりがよぎるから

　あの時に

　あの場所で

　どんな行動を選べばよかったか

　反芻し

　計算し

　繰り返す毎日を送っている

　意味がないこと

　わかっている

　過去に戻れるなら

　戻りたいと思って

　毎日を過ごしている

　おそらく

　すべての日々に価値がある

　そんな日々を否定して

　生きる僕の存在は

　愚か者でしかない

　わかっている

　それでも

　何度もあの景色を思い出す

　止められない

　止めることができない

　楽しかったことがあったから？

　そんな一言で終わるほどに

　簡単なものでもない

　辛かったことがあったから？

　そんな一言で終わるほどに

　簡素なものでもない

　僕の言葉は

　とても稚拙なものでしかなく

　あのときのすべての場面は

　高尚でしかなかったように

　表現することを許してくれない

　どうしようもなかった

　どうすることもできなかった

　都合のいい言葉しか出てこない

　僕という存在は

　それほどまでに醜く

　だらしがなく

　人間性が存在せず

　壊れたものだった

　破綻したものでしかなかった

　心が壊されたとき

　僕はそれを自覚した

　心が壊されたとき

　望んだ日々を送れないことに

　失望せずにはいられなかった

　心が壊されたとき

　長年積み上げた感情すべてが

　意味もなく崩れるさまを

　涙をこぼしながら

　俯瞰で眺めた

　あなたが笑えない日々を

　僕は彩りたかったのだろう

　ありもしない未来を見るとき

　そればかりを考えている

　ありもしない夢から覚めたとき

　虚しさばかりが心を埋める

　そんな虚しさを抱えていても

　前を向かなければならない

　僕はそれを知っている

　大人になりきれないままに

　前を向かなければならない

　僕はそれを知っている

　だから

　あなたが笑えない日々を

　きっと僕は生きていく

　あなたが笑えない日々を

　あなたが笑えない日々を

　あなたが笑えない日々を

　あなたが笑えない日々を

　いつか彩ることができたなら