時限の歌姫
インク虹夢(NIGIMU)
一章 時限の歌姫
第1話プロローグ
4月のある朝、カーテンを引いたままの薄暗い部屋でモゾモゾと支度を始める。ボサボサの頭、目まで隠れた前髪、姿見に映るのはトレーナーを脱いだ色白でガリガリで低身長、マッチ棒のような少年。
『江藤蓮司』15歳、高校1年
ブカブカのYシャツに袖を通しながら姿見に向かって「バーカ」と呟く。
この容姿のせいで小、中と酷いイジメを受けて来た。
江藤は整理されてない自分の机からガチャっと乱暴にノートパソコンを引っ張り起動させる。時刻は午前10時前、画面の予約投稿をクリックしベッドにフラフラと座り込む。
パソコンの時計が10時に変わる。
画面には大きな瞳の美しい少女。黒髪のショートヘアに左サイドの長い緑色のウイッグが揺れる。「新曲」と呟くと静かにイントロか流れだし少女は少し微笑み歌い出す。
少女の声はとてつもなく美しかった。
江藤は画面を見つめる。画面の美しい少女も江藤を見つめる‥
少女の名は『ETO』誰にも言えない秘密。
そう‥ETOは『この僕』だ‥
神様は間違って男の僕に、この容姿と声を与えたみたいだ。
お陰で僕はETOとして画面の中でしか周りから認められていない。
江藤は幼少期から音楽‥歌う事が好きだった。
しかし歌えば「女声!」とイジメられ、小学高学年、中学に至っては‥
思い出したくも無い‥服をズタズタにされた事件。不登校。
江藤蓮司は悲惨な人生を歩んで来た。
だが、暗い人生だからこそ光は目立つ‥
たった一人だけ僕の声を好きだと言ってくれた‥僕の光だ。
小さい頃から周りを羨ましがるなんて事は無かった‥
中学時代、僕は引き籠もりずっと歌を作り続けた。
独学のピアノは今でも基礎すら出来ないが指が音を覚えてる。それだけで曲はできた。
「あなたの歌声、私は好き。」
僕の中にはそれだけだった。
ETOはその小さな光から生まれたのだ。僕が今、生きてる意味でもある。
江藤は他人との接触を避けている。
高校は定時制でも良かったが、ずっと成績も良く中学の時の先生が助けてくれて高校側も事情を考慮してくれた市立の高校で時間の融通も効く保健室登校である。
江藤はブレザーを羽織り好きじゃないネクタイをギュッと上げボサボサ頭にヘッドホンを着けてスマホを再生しポケットに押し込んだ。
スマホには「80件のコメントが投稿されました」と表示されていた。
「学校行かなきゃ‥」姿見に映る冴えない男子。カーテンを少し開けると朝日に照らされた長い前髪の隙間から綺麗な瞳が見える。
この日、僕は人生を大きく変える出会いをする‥
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らくがき
はじめまして虹夢(にじむ)です。
この作品は自作漫画のネームから無理矢理引っ張ってきました(笑)
雑に書き殴って読み難い部分があるかと思いますがよろしくお願いしますm(_ _)m
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