私が知っているすべての言語を誰でもわかるようにおさらいしてみる

@kakusan_ryu

概要

 みなさんは、いくつの言語を操りますか?


 日本語?もちろん良いですよ、まず1言語ですね。

 英語?それは素晴らしい。あなたは2言語話者といえますね。

 韓国語?最近は日韓の交流も盛んですしね。しかし3言語とは驚きです。

 あなたは中国語、あなたはフランス語、そこのあなたはアラビア語まで話せるのですか。多才な人がたくさんいて嬉しいですね。


 ここで少し考えてみましょう。

 日本人である我々は、基本的に日本語を話します。方言という名の差異こそありますが、我々が話し、こうやって文字を読み書きするための言語は全て『日本語』と呼ばれます。この文章を書いている時点での日本の人口が1.25億人らしいですから、今この島国で日本語を話す人の数も当然そのくらいになるはずですね。

 では、英語はどうでしょう。つまりは、日本人英語話者についてです。この話をするといつも「英語を話せるってどのレベルから?」という疑問に必要以上に時間を取られてしまうので、今は日本の標準的な英語試験である英検を基準としてみましょう。

 公式サイトを訪れてみると、英検一級に合格する人の数は毎年約2,000人くらいです。英検は今年で61周年ですから、合計でざっと12~13万人くらいが合格しているという計算になります。もちろん、これは一級に合格した人の割合ですから、実際に日常会話レベルで英語を話せる人の数はこの10倍では済まないくらいでしょう。

 多いと思いますか?それとも少ないでしょうか?英語試験の中で最高難易度のものだと考えると多いと感じるかもしれません。しかし、日本の人口と比べてみると日本全体の約0.1%ですから、少ないという見方もできます。

 次に、韓国語はどうでしょうか。とあるサイトの調べでは、アンケートに協力した人の中で3.6%が「韓国語を話せる」と回答したとあります。同サイトでの「英語を話せる」人の割合は28.8%ですから、韓国語話者の数は英語話者の8分の1程度と考えてよいでしょう。

 同サイトでは、英語の次に中国語と韓国語がランクインしており、その下にはスペイン語・フランス語と続いて話せる人数の割合が減少し、イタリア語に至っては「その他の言語」に入れられてしまった上で、回答者のうちわずか0.2%しか選択していません。なるほど、ヨーロッパ言語への憧れは案外、中韓との地理的な近さには負けてしまうのかもしれません。

 さて、ここまではみなさんが「話せる言語」について、日本人の中での割合を例としてお話ししてきました。バイリンガル・トリリンガル以上の方達はニヤニヤと自慢げな顔で目を通していたことでしょう。日本語しか話せないという方もなんら問題はありません。米国国務省が発表している『外国語習得難易度ランク』なるものでは、日本語は最高難易度にランクづけされているくらいですから。こうやって何千文字もの文章を読むことができるだけでも、十分誇らしいことです。


 では、次の質問です。


 あなたが言語を学ぶ目的はなんですか?


 きっと夏場の満員電車の汗水の如く、多種多様な回答が溢れていることでしょう。

 「仕事に必要だから」「旅行に行きたいから」「外国人の恋人が欲しくて…」

 どの動機にも貴賤はありません。言語を学ぼうと思うことが、それだけで他の何かでは大体できない価値を持っています。


 では、こういうのはどうでしょうか。

 「外国の文化を学びたいから」

 私が言語を学ぶ目的は、いつからかそうなっていました。そうならざるを得ないほどに、言語を学ぶことで近づける文化の断面が美しかったのです。


 言語とは文化そのものです。そのまま英単語にもなっている「侘び寂び」という単語は、一単語で表せる言語が日本語のみであるどころか、その概念を持っている民族自体が限られています。

 もちろん日本語以外にも、その言語にしかない単語や概念は多数登場します。ペルシア語の"Tiam"(تیام)が「初めてその人に会った時の自分の目の輝き」という意味を持つことはあまりにも有名です。

 また、文化を継承するために言語を作り出す例もあります。最近新聞の文面を賑わすことが多い、いわゆる「イスラエル人」ですね。ユダヤ人と呼んだ方が穏便でしょう。彼らは19世紀後半に、とっくに死語どころか古語と化していたヘブライ語を再び使用することに決め、自分自身の子供にもそれを教え込みました。結果として、彼らは見事にヘブライ語を復活させ、母語とすることに成功します。後に『シオニズム』と呼ばれる文化復興運動です。

 変わり種として、人工言語と呼ばれるものもあります。有名なのはロシアの眼科医であるザメンホフが作成したエスペラント語でしょうか。彼は異言語間の交流の促進を目的としてエスペラントを作りました。


 このように、言語を学ぶことは、すなわちその国の文化と歴史を学ぶことと同義です。

 言語から詳細な歴史の一場面を知ることは難しくても、言葉に込められた想いを汲み取ることはできます。

 本書では、そういった文化背景を知るとともに、いつその国に異世界転生しても言語スキルなしで生きていけるよう、簡単な文法などを記述していくことができれば幸いです。

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