天使族と悪魔族の間に生まれた忌み子は、人族として冒険者となる【世界で唯一の聖魔族、二柱の神へ叛逆を決意す。】
羽流
第〇話 目覚めと喪失のプレリュード
意識が覚醒する。全身を包み込む柔らかな感触と
「なぜ悪魔などと
「
女性の必死な声が響く。自然と、その声の主が自分の母親であることが理解出来た。
「ならん!穢れた者と結ばれ、
何が起きているのだろうか。と、今更ながら彼は思った。夢にしてはリアルすぎやしないだろうか。それに、記憶している母親の声と女性の声は全く違った。そもそもなぜ、彼女が俺の母親だと思ったのだろうか。
彼が思考を巡らせている中、話が不穏な方向へと向かって行く。
「……シェラよ。お主は我々のために、これまで数多くの献身を重ねてきた。だから機会をやろう。」
そう言って一拍置くと、男性の声は続ける。
「その忌み子の命ををお主自らの手で断ち、
……え?
暫時の間の後、彼の視界に女性が映る。さらさらとした
「……ごめんなさい、アーナン」
そして、彼女は彼に手を
「……せめてあなただけは」
同時に、周囲から光が溢れる。
「私の
憤った男性の声とともに、目の前の女性の胸に風穴があく。
ゴフッ……
その口と傷口から、赤黒い液体が溢れる。
「お願い……生きて、アー、ナン……」
消える視界の中、最後の刹那に彼が見たのは、男性によって振り下ろされた剣に、首を飛ばされた母親の姿であった。
天使族と悪魔族の間に生まれた忌み子は、人族として冒険者となる【世界で唯一の聖魔族、二柱の神へ叛逆を決意す。】 羽流 @Toki0550
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