第53話 15話 またまた?

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「あぁ、やっばい……お腹すいたぁ…………」

「姉ちゃん、腹へってんの?」

「ふへ」

 エデンの街・歩道に、魔術師のローブを羽織った1人の女が倒れていた。

 そこへお使いに出ていた子供たちが通り過ぎた。


「食うか?」

「いいのかい、少年!」

「いいよ」

「いただきます!」

 子供から恵まれてる大の大人。もらった果実を両手で持って貪っている。

「大丈夫かよ、食わせて。チハヤさんに頼まれたんだぞ」

「でもお腹すかせて可哀想だよ」

「ん~、こづかいで出すか」

「私も出すよ」

「それよりも、これからどうする? このままほっといても、のたれ死ぬぞ」

「連れて帰ろう」

「しょうがない、チハヤさんに相談するか」


    ◇    ◇


「……返してきなさい」


 リライズ・寮の前、姉さんにそう言われしゅんとする子供たちがいた。

「チハヤ様、仕込み終わりましたデス」

「あーレイナ、ご苦労様」

 チハヤの指示でおやつの仕込みをしていたレイナ。


「おりょっ! こ~れわこれわこれわ! ん~?」

「いかがなさいました?」

 レインの瞳を覗き込むかのように顔を近づけ、手をわきわきさせる女。


「ゴーレムのような魔術因子、だけど人としての魔力波動、見た目も人そのもの。だけど人とは違う何かが確かにそこに存在する。そう! まさにこれは人間とゴーレムのハーフ!! いったいどんな魔術形成すれば、こんな形になるのでしょう! 全くわ・か・ら・ん!!

何よりも超絶かわいい~!! 一家に1台ならぬ、一家に1人ほしい! 体温も感じるし、質感も人間そのもの!」

 暴走して、レイナを抱き寄せ、ほっぺをプニプニしたり、口に指を突っ込んだり、髪に指を通す女。

 その態度にどんどん覚めた目付きになるレイナ。

「体の中身も気になる~。食事は必要なのか、それとも魔力だけで生きていけるのか、分解したい~、分解したい~」

「……」

「グフフッ、レイナちゃんと言いましたね? レイナちゃんのパパとママはどこかな~?」

「……」

「あれぇ、レイナちゃんは恥ずかしがりさんなのかな~」


「――デス、燃やすぞ」


「は、はひ!? 調子に乗りました、反省してます」

 レイナの殺気に驚き、正座をする女。

「で、でもレイナちゃん? もっすこ~し私と仲良くしましょう? 分解しませんから」


「チハヤ様、これは?」

「これ!?」

 自分これ呼びするレイナに驚く女。

「ごめんなさいレイナ、なんか変なの子供たちが拾ってきたみたいで。すぐに返しに行かせるわ」

『変なの拾ってきてごめんなさいチハヤさん、レイナちゃん』

「ごほっ!? へ、変なの……」

 女もさすがに精神にダメージが。

「すみません、お願いします、無一文なんです、ここにいさせてください。私、魔法使えます。超広範囲殲滅魔法とか大の得意なんです!」

「そんなものどこで使うのよ……」

 呆れるチハヤ。

「あー! あー! 私、カテゴリー5、魔術師ランク・カテゴリー5なんです。世界に数人しかいない1人なんです」


「「「カテゴリー5だと!?」」」

「あんたたち、どっからわいたのよ……」

 現場視察から帰った俺とタケルとカズマは、〝伝説のワード〟を耳にした。


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