第29話 29話 竜退治

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「えーと、翼竜が殆どだから翼さえ壊せば、あとは陸戦でいけるだろ。さすがに火吹くような上位竜は俺がやるか」

 アラモード王国の城壁。そこから見えるのは、ハッキリとした竜の輪郭。実物はとんでもない大きさなのだろう。

「お、早速ブレスかよ。障壁障壁っと」

 遠距離から上位竜のブレスが飛んでくるが、魔法障壁で無効化する。

「レイジ、あたしもやるわ。合わせなさい」

「了解」


 ――パンッ!!

「お呼びだ『鬼殺し』」

「来なさい『鬼桜』」

 俺と姉さんは、両手を鳴らす。

 鬼殺し同様、姉さんが悪鬼との戦いで使用していた妖刀・鬼桜。


「いくわよ」

「はいよ」

 ――キンッ!

 居合抜き。たった一振りで、全ての上位竜の首をはね、翼竜は翼をなくした。


「こんなもんだろ。あとは主人公にお任せだ」


 この『物語』は、俺たちが『主役』じゃない。


「チートがないなら、俺たちが作ればいい。最強主人公を作り出してやる」


 俺たちが望んでるのは『裏方』。


「俺たちは前に出なくていい」


 今回の主人公は〝ロミオ〟だ!


「んじゃ、いってらっしゃい、主人公」

「行ってくる、レイジ」

 俺とロミオは、拳をぶつけ合う。


    ◇    ◇


「エデンの戦士たちよ、私に続けぇッ!!」

『おおぉぉ!!!!』

 ロミオが先頭にエデンの兵士たちが続く。それに遅れてアラモードの兵士や冒険者が突撃した。


「隊列を見出すな! 障壁を張りつつ注意を引き、隙を突け!!」

 エデン王国の装備は、全てレイジたちが発案した物。

 障壁を張れる籠手は、一番大きく張れば、竜に飲み込まれることもない。

 剣の方も、翼竜程度の鱗なら軽く切れるほど。


(凄いな、レイジたちは。私たちが竜と戦えるようになるとは、思いもしなかった)

 兵士が障壁で頭をいなし、首が下がってるところに、ロミオは走り出す。


(これなら大切な人を守れる!!)


「はああああぁぁッ!!」

 ――ガアァアアァァ!!!!

 ロミオの一撃が翼竜の首を切りつけ、悲鳴があがる。


    ◇    ◇


「僕も行きます!」

 キョウヤは、装備をエデン王国兵士装備と同じタイプにしていた。

 攻防バランスがいいので、今後どう成長しても対応できるように。 


(もう以前の考え方にこだわらない。目指すべきは〝たった1人のための英雄〟!)


「父様たちのようには、いかないが!」

 キョウヤも、ロミオに続くよう翼竜を切りつけた。


「僕にもやれる!」


    ◇    ◇


「オラオラオラ! エデンの連中に負けてらんねえぞ! シバキ倒せ!!」

 獣王も自ら特攻する。やっぱ組長だわあれ。


 翼をなくしても、脚力で飛んだ翼竜が姉さんに向かってくる。

 ――キンッ!

「ありがと、レイジ」

「……姉さん、今わざとかわさなかったでしょ?」

「あらあら、なんのことかしら」


「こんな時でもイチャイチャとはさすがネ」

「ごちそうさま」

「もう私お腹いっぱいだよ」

 観戦組のタケル、カズマ、ヒソカに呆れられた。


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