透華と神音 たまゆら青春音楽譚
雪海
プロローグ
第1話 孤独
あぁ……、まただ。
私はまた、嫉妬してしまっている……。
透華は大型ビジョンの前で足を止め、ヘッドフォンを外す。
ビジョンには、今を時めく歌い手配信者が大々的に宣伝されていた。
「……いけない。早くしないと売り切れる」
街へ繰り出すたび、この場所へ来るたび、大型ビジョンに映し出された映像をついついぼうっと眺めてしまう。悪い癖だ。
歌い手なんて諦めたはずなのに。気づけば、あの世界を気にしてる。
未練たらしい自分が、つくづく大嫌いだ。
透華はヘッドフォンを着け直し、足早に目的のCDショップへ向かった。
今日は大好きなアーティストのアルバムの発売日なのだ。
「……聞くだけでいい。私には、それで十分」
過去という雑音を掻き消すように楽曲を再生し、音楽に
だが、厭悪する過去を思い出させるのもまた、音楽であった。
透華はその特徴的で長いブロンドを、冷え冷えと揺らす。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます