ホイール・オブ・フォーチェン~世界はゲートの出現により多くの命を奪われた。主人公は異能特殊部隊に入るために軍事学校で多くのものを学び成長していく話~

五樹 ノノ

前章

第1話 ゲートの出現

 2027年世界は、混沌の渦に巻き込まれることとなった。ゲートの出現により存在するはずのない怪物たちが現れた。日本だけでも、3分の1の人口を失うこととなった。しかし、ゲートの出現とともに人間に新たな力が目覚めたのだった。

 力に目覚めた者たちが、魔物に対抗するようになり現代では、被害を減らすことに成功した。


 手に負えない魔物たちに対しては、手を出さずその土地を手放すようになった。


力に目覚めた者たちを人々は「異能者」とたたえた。異能者たちは、軍に所属し人々を守ることを目指すようになった。しかし、それとは反対に異能を使い人々を傷つけるものも多く存在する。

日本でも、異能の規制が重視化されるようになった。


 あれは、青々とした夏のことだった。両親とショッピングセンターを見て回ていた時だった。床に落ちていたビー玉を取ろうとしたとき、ガラスが割れた音とともに目の前に怪物が現れた。胴体が人間で下半身が牛のような外見をしていた。

 まさに、「ミノタウロス」の姿に酷似していた。ビー玉を手にした僕は、恐怖に打ち震えた。本能が危険だと叫んでいた。  


 当時7歳の僕の体は、硬直した。その時の、恐怖は今でも忘れることができない。ミノタウロスは、僕の後頭部に向けて斧を振りかぶった。死を直感した。その瞬間、母が僕を押しのけた。体は軽々と反対に倒れた。


 母は、目の前で血しぶきを上げ息を引き取った。母の体は斧で真っ二つに切られ見るに堪えない姿と変わっていた。理解を拒絶するように父を見る。父は、ハッとしたように僕を抱え逃げた。


 周りの人々は、その光景を目の当たりにし逃げるもの、絶叫するもの、腰を抜かすものなどがいた。そんな人たちをミノタウロスは楽しそうに眺めている。1匹だったミノタウロスがゲートから3匹現れた。逃げる者も追いかけ斧を振りかざし殺害していく。混乱と恐怖がショッピングセンターを包んだ。


4匹のミノタウロスは、バラバラに行動しだす。

 僕に興味をなくしたかのように、母を殺したミノタウロスは、違う人間を追いかけた。父は、僕を慰めるように「大丈夫だから、」と声をかける。父の顔を見たとき、僕の頭の中に父の死が浮かんだ。その姿は、人を助けようとした父が無残に死を遂げる姿だった。


 母の死を想像してしまったせいで、父の死も近いのではないかと怖気図いてしまう。


 駐車場にある僕達の車まで逃げると、父は僕を下し車の下に隠れるように指示した。


「瑠偉!隠れなさい!俺は、ほかの人を助けてくるから。」


そう言って、走ってい行く。僕の父は、警察官だった。いつも、人助けの大切さを僕に享受していた。そんな、父が好きだった。


「だめ!!!」


声を張った。しかし、返事を返されることはなかった。遠く遠くへ行く父の姿に涙が浮き上がってくる。必死に涙をこらえながら父の言われた通り車の下に潜り込んだ。


 30分もしないうちに、建物が破壊されていく音が聞こえた。いくつもの車が走らせられる。ついに、ミノタウロスは外に出ていく人間を追いかけるように現れた。


車の下から見る牛の足が恐怖心を煽る。涙があふれる中で声を抑えた。ミノタウロスの手に握られた何かを地面に捨てた。血の気が引いた。そこに捨てられたのは、死体となった僕の父の姿だった。


 気づいてしまった。僕が頭の中で流れてきた映像は、きっと現実に違いなかったのだと。


その光景に、抑えていた声が絶叫に変わった。


「うううわーーーーーーーー、何で、、、」


止められない涙、止まらない悲鳴。声に近づいてくるミノタウロス。もう、逃げるには遅すぎた。


 ミノタウロスは、僕の隠れた車を軽々となぎ倒した。僕の姿を見つけると、笑みを浮かべた。まるで、子供が無邪気に遊んでいるかのような笑顔に怒りを覚えた。しかし、僕には力も勇気もなかった。


「dのあなpんぁm3おうえhpwj」


僕に何かを話しかけるように、喋った。しかし、言葉の理解はできない。言葉の理解できていないことに気づくとまた、僕に向けて斧を振りかざした。


 二度目の死を覚悟したとき、ミノタウロスの頭部を何かが打ち抜いた。頭から大量の血を流しながら、倒れた。


 音の方角を見ると、空高くにヘリが飛んでいた。そこには、自衛隊服に身を包み大きなライフルを手にした人間がいた。


両親を目の前で殺されたことで強いストレスを感じ僕は、意識を失った。


 



「君は、今するべきことを見つめるんだよ。___いいかい?」


 姿が見えない誰かが、僕にささやく。彼は姿を消した。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る