第36話 追い詰められ危うし! 打開策はあるのか?
焦りの表情を浮かべる
「
「あぁ、俺は構わないぜ! 縛り上げたお前を屈服させても、嬉しくねえからな!」
解き外した紐を手にする
しかし、この状況を心配した
「ふはは、はは――。どうした
「いいえ
周囲を見渡す
「はたしてそうかな? 人とはすぐに裏切る生きもの。自分の状況が危うくなれば、強い者へ媚びるのが世の習い。まったくもって可哀想な奴だな。まあ、俺には関係ねえが」
「そんなことはありません。私と
「ふっ――、呆れた野郎だぜ。どこまでも、めでたい奴だな。それにしても、屈服させる姿を
「ですから、何度も言っているように、考えを改めるのは
「いつまでもそうやって、ほざいてろ! じゃあ、そろそろ本気で行かして貰うぜ!」
「私とて望むところ――!」
再び向かい合う二人。
「おや? どうされましたか
「挑発してるつもりか? その割には、ずいぶんと真剣な表情だな」
攻めを上手く受け流しているように見えるも、その表情は余裕のない顔つき。同じく俊敏たる動きで行く手を追い詰める
――かに思われたが、左手は陽動にすぎず、下から忍ばせた右手が本来の狙い。一瞬の隙をつく
その瞬間――、
「――がはぁっ!」
訓練と違い組み手は実戦。そこは、踏み締められた固く
「おらぁっ――!!」
「くぅっ――ぅ!」
「――ちっ、惜しかったなぁー。締め上げて、肋骨を折るべきだったか?」
こうした状況に余裕の素振りを見せる
「おいおい、どこまで逃げる気だ! そんなにも俺の投げが怖いのか?」
(…………さすがに、今のままでは逃げるのが精一杯。おそらく、打撃系も通用しないはず。だからといって、こんな場所で法力を使えば、惨事になり兼ねない。――とすれば、残すはあの技しかないが、あれをやれば身体の負担も大きい。だが、背に腹は代えられないか……)
一点を見つめ考えこんでいた
「さっきから、何をごちゃごちゃ言ってやがる。今更、謝ろうが許してやらねえぞ!」
「はい、私の事ならお構いなく。しかしながら、まさか
「はぁっ⁉ この期に及んで何を言う。挑発の次は、褒め殺しか? 一体、なにを企んでやがる。それとも、遂に観念したとでも言うのか?」
「いえ、そうではありません。単に、深く感心しているだけ」
「なんだと! まだ上から目線で言ってやがんのか? まぁいい、最後に笑うのは俺だからな」
本心を伝えた
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