第12話 説教部屋
こうして虐待に怯えながら生きる生活。手を差し伸べる存在もいなければ、友と呼べる仲間もいない。あるのは壊れかけた心と傷だらけの体だけ。どうして自分だけがこんな目に遭うのか、宗家を憎み、運命を憎み、やがて
――そんな時に現れたのが、運命を左右する仲間達。
「その前に――と、
「もうー
「その時は、またよろしく頼むよ」
「えぇー
冗談交じりに話す
「あはは、だよな!」
「そうだよ。教典は自分で読まないと意味がないんだよ」
和やかに話しながら庭園を過ぎ去る二人。次の講義に備え、足早に僧院へ戻る。
◆◆◆
暫く歩き、学びの場にたどり着く
「おい! そこにいるのは、落ちぶれ名家の
「
わざとらしく二人の前に現れ、嫌味な言葉を吐き捨てる
「おや? これはこれは、成り上がりの
「――なっ、なんだと‼」
嫌味に対して、皮肉の言葉で返す
「――
そこにやって来たのは、
「はい、只今。――と、言いたいところですが、少々困った事が起きました」
「困ったこと? それは何かしら」
「はい。それほど大した事ではありませんが、
「あら、私の授業が楽しみとは嬉しいことを言うわね。それよりも、さっきはごめんなさいね。何も知らないのに、怒鳴りつけてしまって」
前回の件で要領を得たのだろう。
「いえいえ、とんでもございません。
「いやだわ
「おい、
「はて?
「はぁ? なに言ってんだ、お前!」
「本当なのですか、
「先生、それは
「何ですか、その口の利き方は! それに、
「いや、だから先生、俺じゃないんですって」
「まだいうのですか! 分かりました、そういう態度なら仕方ありません。あとで説教部屋にきなさい」
「説教部屋⁉ ――あっ、いや、先生。すべて俺が悪かったような気がします。だから今回だけは許してもらえないでしょうか」
説教部屋という言葉に敏感な反応を示す
「突然、どうしたのですか?」
「あの、やっぱりよくよく考えたら、俺が悪かったです。本当に申し訳ありません」
「まあ……素直に謝るのでしたら、今回ばかりは許してあげましょうか。ですが、次はありませんよ」
「はい、分かりました。くっ……」
「じゃあ、
「はい、
先ほどの表情とは打って変わって、
(――ちっ、
こうして嫌がらせは失敗に終わり、全ての行いは自分へと返ってくる。いわゆる自業自得というやつだった…………。
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