第6話:恋人宣言。

「おやつと飲み物持ってきたわよ」


って言って母ちゃんが勝手に部屋に入ってきた。


お盆に乳白色の飲み物とプラスチックの入れ物に「と◯がりコーン・あっさり

塩味」が袋ごと無造作に乗っていた。


「ほんとに京町さん、美人さんね〜、芳樹にはもったいないわ〜」


「あのな〜部屋に入るときはノックするなり声かけるなりしろよ」


「なに?お母さんに入られてマズいことでしてるの?、この子は」


「そんなことしてないよ」

「いいから・・・はいはい、出てって、出てって・・・」


「あんた京町さんに絶対失礼なことしちゃダメよ」

「失礼なことって・・・つまり・・・分かるわよね・・・まだ高校生

なんだからね」


「あのな〜」


「分かったわよ・・・京町さんごゆっくりね〜」

「この子が変なことしようとしたら遠慮なく殴っていいからね」


そう言って母親は部屋を出て行った。


「ったくもう・・・自分の息子を信用しろよ」


「面白いお母さん」


「おっちょこちょいなだけだよ・・・美都ちゃんは今日だけだけど、

僕は毎日だからね・・・疲れるって」

「それより美都ちゃん飲み物どうぞ・・・と◯がりコーンもあるから食べて」


「うん・・・」


そう言うと美都ちゃんは、と◯がりコーンをボリボリ食べ始めた。

美都ちゃんはスナック菓子が好きみたいだ。


「あ、あのさ、さっき言いかけたんだけど・・・」


「なに?」


「僕たちって・・・その〜・・・恋人同士なのかな?」


美都ちゃんは一度うつむいてから顔を上げて壁のほうを見て行った。


「お互い好き同士なら・・・そういうことになるのかな?」

「たしかに私たちは好き同士だけど、そのへんまだうやむやだよね」


「恋人だよって、それってどうやって決めるの?、美都ちゃん」

「いつそうなるの?」

「そのへん、みんなどうしてるのかな?」


「芳樹はどうしたいの?」


「僕は・・・僕は・・・美都ちゃんのことを僕の恋人だって言いたいし、

正直今だってそう思ってる・・・」

「美都ちゃんからも僕のこと恋人だよって認めて欲しいって思ってる」


「そう・・・分かった・・・」

「じゃ〜、このさい恋人宣言するか?」


「えっ?」


「じゃ〜まずハグから・・・」

「おいで・・・芳樹」


そう言うと美都ちゃんは僕の手を取って自分に引き寄せた。


「じゃ〜ハグ・・・」


美都ちゃんは僕を抱きしめて言った。


「恋人宣言します」

「私と芳樹はたった今から恋人同士・・・なにがあっても離れません」

「芳樹・・・いいよね」


「う、うん・・・僕たち今日から恋人同士・・・でいいんだよね」


「だよね、じゃなくてそうなの!!」

「じゃ〜次は誓いのキス」


「え?、キス?」


「なに?・・・」

「キスなんか前にもやってるでしょ・・・なにビビってるの?」


そう言うと美都ちゃんは躊躇ちゅうちょなく僕のクチビルを奪った。


「これでよし・・・今からいつわりなく私と芳樹は恋人同士だから」


そう言うとまた、美都ちゃんはと◯がりコーンをボリボリ頬張った。

二度目のキスもチェリー味じゃなくて「と◯がりコーン・あっさり塩味」の

味がした。


「言っとくけど他の女によそ見した時点で恋人解消するからね・・・いい?」


「わ、分かった」


つづく。


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