A LIVE -生き残りを懸けたVTuber達の物語―
柊 蕾
第1話 File name_memories_001
「さて、今日の配信はここまで! 皆、またねー!」
『またねー』
『えー、もう終わっちゃうの?』
『えっちゃん、元気でねー』
「フフ、バイバーイ」
金色に輝く髪を揺らし、マリンブルーの透き通った瞳で、大量のコメントに目を通しながら
「ふー、今日もたっくさん見に来てくれて良かった!」
「えっちゃん、お疲れさま」
配信を終え、アナリティクスを確認しているところに、マキちゃんが声をかける。
「ありがとう。マキちゃんはこれから?」
「うん、寂しがってるえっちゃんのリスナーさんを引き込む予定」
「なにそれぇ。リスナーさん取らないでよぉ」
「ふふ、大丈夫。えっちゃんのリスナーさんは、えっちゃん一筋だから。裏切ったりしないよ」
「えー、そうかな? ツインターでリスナーさんに聞いてみよっと!」
ツインターを起動し『皆は私一筋? 裏切ったりしない??』と投稿する。
すると直ぐに、
『死ぬまでえっちゃん一筋です』
『うん、絶対しない!』
『一筋だから結婚してください』
フォロワーからの返信が送られてきた。
「クスッ、結婚かぁ。考えたこともないなぁ」
リプライを送り呟く。
「……さすがだね、えっちゃん。これがスペックの差なのかな……」
「……ん? 何か言った? マキちゃん」
「ううん、何でもない。えっちゃんは凄いなーって、私なんかとは大違いだよ」
「そんなことないよ。マキちゃんの方が歌もダンスも上手だし、私も勉強しないとなー」
「焦らなくても大丈夫だよ。えっちゃんはまだこれからだから。でも、私は……」
口ごもるマキちゃん。
「……マキちゃん、何かあった?」
「……」
「ごめんね、言いづらいなら無理しなくても……」
「昨日ね、マネージャーさんが言ってたの。そろそろかなって」
「そろそろって……、まさか……」
「あはは、しょうがないよね。最近視聴者さんも減ってきてるし、それに、私はもう時代遅れだから……」
「そんなことないよ!」
「……!」
「マキちゃんはRADの皆を引っ張ってきてくれた実績があるもん! 今はたまたま調子が悪いだけだって! マネージャーさんも、話せばきっと分かってくれるよ!!」
「で、でも……」
「そうだマキちゃん! コラボ配信しようよ!」
「え?! こ、コラボ?!」
「うん、私とマキちゃんってこんなに仲が良いのに、まだ二人だけでコラボしたことなかったでしょ? きっと皆見に来てくれるよ! それに……」
「それに?」
「登録者が増えればきっと、考え直してくれると思うから」
「えっちゃん……、ありがとう……」
「お礼なんて良いよ。それより、コラボ内容を考えよう!」
「
「うん、でも私、そんなにトーク上手くないからえっちゃんに合わせられるか不安かも」
「それなら『歌ってみた』の投稿なんかどう? 今テックトックで流行りの曲ならきっと見てくれるだろうし!」
「『歌ってみた』なら私も何本か上げてるし、良いかも!」
「じゃあ決まり! 楽しみだね」
「楽しみかぁ、うん、楽しみ!!」
「へへへ……」
「ふふふ……」
かくして、二人のコラボ配信が決まったのだった。
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仕事の都合でカクヨムコンに間に合わなそうな作品の供養です。
5話まで読んで貰えると嬉しいです……。
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