吉か凶か★…セカンドオピニオンは重要です!

セカンドオピニオンは重要です。

水頭症に限らず、手術を迷っている人は、違う病院も当たってみてください。信頼できない医師の手術で何か起こった時、必然のことであったとしても、なんでこの先生に依頼してしまったのかと自分を責めてしまうことがあります。セカンドオピニオン、意外と簡単です。こちらからたった一人の先生ですが、医師から見たら何百人といる患者の一人なだけです。申し訳ないとか、気を悪くされるのでは、とか、気にすることもありません。



父が今まで通っていた病院、実は私はあまり好きではない。

医療は日進月歩というのに、再手術といった提案をしてくることはない。父の頭には金属が埋められているので詳しい検査ができないから、頭を開けてみたら想定外のことが判明して、インオペになる可能性もあり、それだったら何もしない方がいい。手術するのは、血管が切れてしまったとかどうしようもない状態になった時だ。というのが主治医の方針だ。

何度か母に、病院を変えたらと提案はしていたが、「ここが通いやすいし、お父さんは珍しい症例だから大学病院に行ったりしたらモルモットにされちゃう。もう、手術はしたくないし、現状維持でいければいいの」といわれていた。

父に付き添っているのは母であって、私ではない。このため、「遠いと通院できない」と言われれば、黙るしかない。そして、主治医は父と母の手術への恐怖心も理解している


父がその病院で水頭症と診断された。手術をすると症状は改善する可能性があるけれど、こればっかりはやってみないとわからない。と

父も母も、手術を嫌がった。父は昔、頭の緊急手術をし、障害が残った。そのトラウマが父と母にある。

父には、家族を忘れたという、トラウマ。また妻も子も忘れてしまうのではという恐怖

母には、「これだから、脳なんてものはいじるものではないんだよ」という医者の言葉が、トラウマになっている。


でも、父は日に日に悪化していく。

歩行速度は遅くなり、信号が青になった直後に横断開始しても、渡りきる前に赤になる。

突然の酷いめまいで倒れる。

話しかけても反応を返さない時が増え、感情が消えている。

歩行していると、自分の意志で足を止めることができないことが増え、何かにぶつかって止まる。

尿失禁の量が増え、布団が大変なことになる。


このままでは、ヘルメットをしていても、いつか転んで寝たきりだろう。

父は頭以外に悪いところは何にもない。つまりは寝たきりでぼんやりと長生きする。それがいいことだろうか。

楽しみにしている週2回のデイサービスにも通えなくなる未来が見える。

そんな生活になんの意味があるのか。苦労をしてきた父だから、楽しんでほしい。

私は手術をしてほしいと思っていた。


母には迷いがあった。手術は嫌だが、このままでは、近い将来、寝たきりになる。

手術をすると、症状が改善する、その確証は母にはある。

「試しに頭をマッサージしてみて、症状が改善したら、手術をしてもいいかもよ」と主治医に言われ、行ってみると歩きも方も、目力も違ったのだ。この状態をキープできれば……

だが、主治医は頭のマッサージは、テスト的にやるのはいいが、それ以上をやるといろいろな問題が起きるからこれ以上は禁止とも言った。


良い状態の父を見てしまった母は手術に迷って、珍しく、私に病院の付き添いの付き添い依頼してきた。


母に水頭症のページをみせた。母はガラケーで、かつ実家にはインターネットが無い。手術方法も知らない、症状もあまり分かってないのだ。

ページを見て、母は手術に傾いた。簡単そうに安全そうにみえたのだ。

だけど、主治医は高齢で自分は手術出来ないからと、同僚の医師を紹介してくれた。

この医師と私達との相性が壊滅的に悪かった。


手術内容は、ネットに載っていた方法と違った。ネットに載っていたのは、腰に管を通すというものだか、こちらでは、頭をから管を通すのだ。簡単な手術と思っていた母は"頭"と聞いて怯えた。私は母が再び手術反対派になるのではと、慌ててそんなにリスクの無い簡単な手術だから、と伝えた。


"簡単な"この表現が医師を苛立だせたのだろう。「手術に100%なんてないです。わかってますか、奥さん。高齢なんだから全身麻酔で何があるか分からないし。その覚悟あるんですか。手術したって良くなるとは限らないし、手術したことで悪化することだってあるんですよ。今だって歩けているじゃないですか、それで充分じゃないの。世の中には車椅子の人もいる。歩いてて転ぶのがが不安なら車椅子にすればいい。介護が大変なら、もう、施設を考える時期なだけじゃないんですか。どうしますか。きいてます?奥さん」

母は立て続けに言われて頭が真っ白になった。高齢の母に、この勢いで話して即決断など無理に決まっている。頭、施設、車椅子、そのパワーワードしか入ってないのでは?

「は、はい。」

「適当に返事しないで下さい。ちゃんと理解して返事してます?リスクもあるんですよ。わかってて言ってます?この前も、簡単に手術をって言った人がいて、やったんですけど、イレギュラーなことがあって、まぁ、命には別条なかったんですけど。奥さん、手術に大分、前のめりだけどその辺のリスクわかってて言ってます?」


…この男、ホントに脳外の医者か?こんな攻撃的に話されて、即断力が落ちてきている高齢者が何を言えるのか。それに、こちらは素人。リスクがどれだけあるかなんて知らないから、それの説明を聞きに来ているのだ

「あのっ、母はっ」

私が、反論しようしたら

「トイレ」そう言って医者は診察室を出ていった。


は?え?何?

確かに、人様の仕事について、何も知らない人間が簡単といえば、いらっともするだろう。だけど、その態度もなくね?

看護婦さんが、泣きそうになっていた母を慰めた。

あ、それを狙って、席を外したのか?

と思ったら、すぐ戻ってきた。トイレはすぐ隣だ。ホントに小用だったのだろう、慰めことを目的にしたなら、もっと席を外しているだろう。


「で?どうします?」

「…手術、します。」

「いいんですね。じゃぁ、手術日は●月●日で。コ●ナ渦なので、手術に立ち会い禁止、ご家族は自宅待機で何かあったり、手術が終わったりしたら病院から電話で知らせます。手術後2週間ほどはこちらの病院、その後その後はリハビリ専門病院に転院して、そこで三ヵ月ってとこかな。入院中の面会はありません。それとご主人は認知症が進んでいるので、拘束の期間が長くなるかもしれません。で手術中のリスクですが…」


……

…………


医者の説明が終わり、別室で同意書にサインをしていく。

看護婦さんが、流れを説明してくれた

入院初日は、入院棟入り口で父と別れ、その後、病棟への立ち入りや面会は一切なし、手術に立ち会うこともなし。入院中、ふらふら出歩くようなら、危険なのでベッドに拘束することもある。そして、その後はリハビリ専門病院に転院して、そこで三ヵ月、面会は一切なし。



手術に不安のない私でも、面会ができないのは不安だった。認知症の患者に話し相手がいなくなったら、余計に進むのでは?

物理的な障害(水)をなくしても、そっちで諸々が進行したら意味がない。

それにあの手術医は言った。手術したからといって、よくなるとは限らないと。

ノーリスクなら、手術して変化なしでもやった意味がある。手術をしても無理なのだと納得できるのだから。でもリスクが諸々あってのも変化なかったから

手術賛成派の私ですら迷いが生まれたのだから、母はもっとだ。


家族と四ヵ月会えない間に、どうなってしまうのか

そして、あの手術医…。嫌がらせで、わざと手術を失敗するんじゃないか。


母は、そんな心配をするようになった。それぐらい、手術医に不信感を覚えた。

さすがに、そんな面倒なことを手術医のしないと母を諭した。だけど、手術は…どうすれば


従兄に相談すると

「信頼できない医者に手術をしてもらうのは反対。信頼できない医者に手術を依頼するくらいなら、他の病院を探すべきだ」といった

いつもは断定をさけて、「そう思うなら、そうした方がいいかもね」という従兄がはっきり言った。


手術をやめた。


父は、さらに悪化していく。


手術をすれば良くなる。良くなる?ホントに?

けれど。

通える範囲で、いい病院?面会できる病院?どこにあるの?

水頭症について詳しく載せてくれてた病院は四国だ。


迷う日々が続いた。

そして、従兄から連絡があった

「●●病院の××先生の所に行ってみたら、信頼できる先生だから」と。



●●病院は遠かった。車ならまだしも電車でこの父を通院させれる距離ではない。でも、珍しく従兄が母に助言をしたのだ。そこにお願いするかはさておき、行ってみることにした。



そして、××先生の診察を受けた。

「症状は水頭症ですね。実際に、水を抜いみて(タップテストをして)、効果があれば、手術を検討してもいいかもしれません。」

……まえの病院では、手術してから効果の有無が判明。こっちは腰から針で水を抜いて効果の有無を確認。タップテストのための入院は4日。ほぼ、ノーリスクで効果確認ができる。効果があるなら、まだ長期入院を前向きに考えられる。

タップテストについての説明もネットに載っていたままで、いや、それよりも丁寧で。

手術方法もざっくり教えてくれた。手術するかも未定なのに。そして教えてくれた方法は腰から管、だった。


タップテストの結果は良好で。

手術を受ける価値はある。…リハビリ病院は近くを手配してもらえるのだろうか??


次の診察時

「手術、受けたいんですけど、その、…リハビリ病院は自宅のそばが…」

「え?リハビリ病院?ご自宅で過ごされるのが、一番のリハビリなので退院後はご自宅ですよ」


迷いは一切消えた。

ネットに記載されていたように2週間の入院で済むらしい。

「あ、コ●ナ対応で、今月末までは、一週間増えてしまうのですが…」

とあわてて、先生が訂正したが、いやいや、4ヵ月を覚悟していたうちらに2+1週間なんて問題ない!


手術のリスクを説明される。

「前回も、軽く説明しましたが、手術をすることになったので、詳しく…」


手術のリスクをどこまで詳しく記載していいのかわからないので、割愛せざる得ないが

訊けばきくほど安心した。


ただ、一番安心できた情報のみ載せる。同じ様に手術に迷っている人の為に。

出血量の平均は5㏄

5CC???

ハイ、5ccです。


もう、不安は消えました。


そして手術時間は1時間でした。


三週間の入院で、父がさらにボケてもどってきた、などということもなかった。

症状も改善した。

急な目眩がなくなり、転倒しにくくなった。

信号は、赤になるのと同時位で渡りきれる。

新聞を読むようになった。


施設に預けるのを検討する段階だぁ?

ふざけんなっ


父は更に良くなってきている。

手術をしてよかった。


本当に、この先生に出会えてよかったと思っている。



……………………………………………………………………

なお、出血量、5ccとかきましたが、この先生の場合です。

他の先生だった場合、手術のリスクは、多少異なる可能性があります。



一言、まえの病院のフォローをするなら。

父にはずいぶん前に手術をした管が残っている。それがいずれ悪さをするかもしれないから、手術するなら根本からということで腰ではなく、頭にも管を入れるという話でした。

今の病院は、逆に放置。


ただ、父は79歳。私は、その、“いずれ”よりも今をみたいです。
















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る