第19話 己の欲望をさらけ出せぇ!
打たれた岩は一直線に浮遊する風船へ向かって飛んでいく。
バチバチと火が付いた導火線が音を鳴らすが、点火よりも早く岩が風船の元へ到着。
高校時代赤点王の異名を獲得し、担任の先生から特別視されていた紅に飛行距離と飛行速度を踏まえた計算などできるはずもなく単なる偶然ではあるが導火線が燃え尽き岩に取り付けられた物が目覚める。
例えるならハリネズミの針のように隙間なくセロハンテープのような物で取り付けられたエリカ特性の大量のロケット花火が一斉に発射される。
「た~ま~や~~~~♪」
通常のロケット花火は火薬又は爆薬10グラム以下で製作され一日に200個以下の使用なら誰でも日常的に使うことができる。
ひゅ~んと誰しもが聞いた事があるどこか懐かしさそして夏の思い出を懐かしく感じる音は平和的で遠目で見ていたエリカの心配そうな顔も穏やかな物へと変わるほどだ。
「ひゅ~、ひゅ~、夏の思い出ロケット花火、ひゅ~、ひゅ~、スカート捲りのえっちな風、ひゅ~、ひゅ~、そこの風船さん俺様と一発大きいの行こうぜ♪」
優雅で穏やかな風が吹くフィールドと水色のキャンパスを背景にゆっくりと動く綿菓子のような白くて大きい雲。小鳥がチュンチョン鳴いている平和な時間は嵐前の静けさとして紅のためのフラグとなる。
「カウントダウン、3、2、1、カモンベイビー!」
火薬に使われたのは今のイベント内では調合確率最大でも5%程度の高難易度アイテム。紅たちが寝床に使っている洞窟の深奥部屋に火薬庫がありそこでは生産職プレイヤー専用のスキルとアイテムが一式整っていた。そこでは専用の本を読み解読出来ればそれに精通したアイテムが調合可能となる生産職ならではの頭とリアル知識を使うことで調合スキルをゲットできる仕様が採用されていたが知識特に紅関連に精通しそうな知識においてエリカは完璧で爆薬の知識も既にかなりの量を備蓄している。そんなエリカの前ではニトロ化合物で爆薬の一種であるオクタニトロキュバ
エリカと同じく女子大生のアメリカ人。金色の長い髪と赤と青のオッドアイズが特徴的な彼女は美人な女の子で可愛らしい。だが、エリカと同等もしくはそれ以上に博学の者を敵にすればそれは可愛らしいとは言えない。むしろ同じ道を歩む者からしたら化物である。だからこの程度の調合エリカにとっては当たり前でなければならないし、事実紅に大量に提供できる程度には既に入手難易度高めのスキルを獲得している。
閃光花火とは思えない、爆音が427か所で同時に生まれ人を殺める兵器として生まれてきたであろうロケット花火は自らの衝撃波で風船を破裂させた。まるで近くに雷が落ちたと錯覚するような光と音は既に紅が急速に間違った方向で力を付けている事の証明として多くのプレイヤーにこの時認知された。
「……ん? この音と光……なにかに使えそうだな……」
突然真面目な顔になって腕を組んで煩悩を働かせる紅。
――新たなスキルをゲットしました。チームで共有します。
スキル名『盗人』
脳内に聞こえる案内を無視するほどの集中力。
どうやら紅の進化はまだまだ終わらないようだ。
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