第6話 Bランク魔物
男性陣に追いついた後、警戒しながら森の中を歩く。
愛用の剣である母の名前を冠した聖剣で草を刈り、邪魔な枝を払い落としていると、出没地域と聞いているエリアに差し掛かりました。
皆さんに知らせた後、索敵魔法を薄く広く伸ばしていくと意外にもすぐ近くのダンジョンの周囲にその魔物を見つけました。
討伐対象はBランク魔物。その名も
普段であればダンジョン内で生活していて、基本的には外へと出てくることはないのです。
ですが、雄の個体は別で、時期が来ると世代交代のため集落内で競い合い、競い負けた側は群れから追い出されるという獅子のような習性があるのです。
その為、手先は余り器用ではないが知恵も力もあるので、群れると討伐難易度がSランクにまで跳ね上がってしまいます。
彼らも生きる為に必死なのはわかるのですが人間の集落で暴れてしまったら殺さなくてはいけません。
しかも今回の熊人は小さめの農村を一晩で壊滅させた個体で、危険度は事前情報よりも上がっている筈。
ですが武器は持っておらず、どうやら爪と牙だけが彼の武器のようです。
そんな熊人でしたが、ダンジョン近くの開けた場所で蹲っています。
「おいアバズレ。様子を見てこい」
「あ、はい」
遠巻きに様子を見ていたらセンジの鶴の一声で私が様子を見に行くことが決まりました。
恐る恐る熊人に近づいて行くと、熊人に纏わりつくように黒いうねりが彼を襲っていました。
「だ、大丈夫ですかー?」
「グ…グオォ……グッ!ガッ!ゴアアアアアアアアアアアアアア!」
念の為声をかけたらその声に反応したのか黒いうねりが彼の口や鼻、目などから中へとグングン吸い込まれて行きました。
「ひゃあああああああ」
気持ちの悪いものを見てしまったので慌てて熊人から離れる私を見て、センジは縦を構えて前へ、リーダーは抜剣してセンジの影へと移動し、マジとヒーラ様は呪文の詠唱を開始します。
おお、流石Cランクパーティ、くさってても危機管理はちゃんとしてますね。
って、そんなことよりあの熊人ですよ!
ゆらりと立ち上がった熊人は、スキルの
それを見た私は大慌てでマジさんに向かって走りますが流石熊人。
熊以上の身体能力は伊達じゃありません。
瞬時にセンジとリーダーの横を駆け抜け、マジの目の前まで迫ると目にもとまらぬ早さで爪を突き立てようと腕を突き出してきました。
「
ギリギリのタイミングでヒーラ様がシールド魔法を唱えたのでマジは無傷でした。
ですがびっくりした彼は詠唱を途中で止めてしまいました。
「こいつ進化してるぞ!Aランクの
なんと!熊拳人とは、熊人がその身を鍛え続けることでたどり着けると言われている進化先で、その名の通り己の体を武器として戦うAランクの魔物です。
―――――――――
熊拳人の猛攻をセンジが耐え、リーダーが背後に回ったり横っ腹を斬ったりと大立ち回りをしている間に、私はせっせと前衛の彼らへと
熊拳人の動きが鈍りだしたのでいける!
と思ったのもつかの間、索敵魔法に反応があったのでそちらの方を向くと別の角度から槍を持った熊槍人が近づいてきていました。
「リーダー!新手です!!!」
リーダーも気づいたのか、焦りながらも冷静に熊拳人の背へと大剣を突き立てようとしていたので、
「ガッ…!ハッ…!」
リーダーが剣を突き立てた後捻ったのがちょうど急所をえぐったのか口をパクパクさせながら瞳が混濁していき、熊拳人は絶命しました。
熊拳人が絶命したので残るは熊槍人だけなのですが、ここでリーダーの大剣が折れてしまいました。
そんなタイミングで熊槍人が突進してきました!
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