短編「天国ノ場所」(完)

不可世

一話完結

人生における

死との付き合い方

あなたは出来ているだろうか


私にとって死は

終わりではない

死とは教訓だと、思っている


教訓とざっくばらんに言っても

いかほど理解は得れないだろう

図解しよう


そもそも死に対して

恐怖や負の面々を思うのは

本質的に性格が暗い証拠だ


確かに死は別れであり

悲しみを禁じ得ないが

しかしそれはまだ考えが熟していないからだ


私ぐらいになると

死の一つや二つは経験している

親戚、友人、家族

その

死を伝えられた時

初めは暗い気持ちになる


誰もがしくしくとする

だがそれは初めだけだ

喪服を着て葬式をするまでが

悲しみであり


墓を参るときには

その悲しみは

形を変える


そう、それは

墓を参る時の心情は

まだ生きてるよ

大丈夫だよ


そういったものだからだ

自身の安否を

天に向けて話

また日常に帰る


死とは

対外的に自分と死者を照らす

天秤であり

生きる糧を与えてもくれる


だから死とは極端に暗いものではない

生きる標となってくれるのだ


だから教訓だ


今日生きてる全てはやがて消える

だから学んで生きて、頼りにする


そしてその先で誰かの死に触れても

自分まで暗くなってはいけない


死者は泣いてほしいわけじゃないと

そう思う


きっとたくましく生きてほしいと願ってる


だから、生きよう

一生分の力で死者の魂を引き寄せるくらいに

強く生きよう


それこそ死者との架け橋となるから。

涙より強固な関係がそこには出来るのだから。


死を怖がらず、弔おう。


ただ死を終わらせるのは、勿体ない。

生きる教訓に出来るのだから。


さて、今日も死を連れて、生きていけ。


天国はあなたの心にあるのだから。

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