第21話 Q:どうして一部の著名人は、新NISAに否定的なの?

 Q:どうして一部の著名人は、新NISAに否定的なの?


 A:『NISA損切り民』とか出てきたからじゃない?


 よく著名人が

「新NISAは損するだけ」

「貯金に回したほうが安全」


 というネタを話している。


 せっかく投資大国として進もうとしてる矢先に、どうして水を指すようなことを言うのか、と、腹を立てている人も多いだろう。



 だが否定派の意見、それ自体は「実は」間違っていない。

 マジで、貯金したほうがマシな人もいるのだ。


 どうしてそう思えるかというと、「新NISA損切り民」とかが普通にいるからだ。


 オレも最初は耳を疑った。

「なんで損切りなんてするの? 正しい投資信託を長期保有していれば、たとえ損失が出たとしても売らなければ損にならないのに。むしろ長期保有していれば、ほぼ確実に利益になるはず。どうして長期保有できないのか?」

 と。


 しかし、新NISAで何を買っているかによっては、

「8月の暴落には耐えられないよなー」

 と、思うようになった。



 案外、新NISAで「投資信託」ではなく、「高配当個別株」を買っている人は多かったみたい。


 

 そりゃあ、損切りするわなーと。


 オレの場合は「資産形成期」なので、高配当株には指一本触れない。

 触れないというか、触れることができない。


 高配当株ってのは、儲かるには「多額の元手が必要であるから」だ。

 配当金ってのは、株の保有率が高いほど、量が上がるもの。

 微々たる額を投資しても、あまり利益にはならないのだ。


 オレは実験的に、また、投資の緊張感を維持するために、高配当ETFにも手を出している。

 だが、「分配金をもらったとしても、使わないな」と感じ、来年以降はETFに連動した投資信託を買う予定にシフトチェンジした。

 

 しかし、損切り民は、どうも個別株で「急いで金持ちになろうとしていた」っぽい。


 つまり、勉強をしていない。


 投資において最も大事なのは、勉強だ。


 ちょっと勉強すれば、


「リーマンショック、コロナショックなどは、五、一〇年周期で起きている」


「このくらいの下落は、想定の範囲内」


「二〇二四年八月に大幅下落が起きたが、長期で見ると同年一月より上がっている」


 と、わかるはず。


 経験で投資に慣れるのも大事だ。


 が、なにより勉強して、少額から始めることが大事なのである。


 しかし損切り民は、なんとなく始めてみたか、生半可な知識で手を出してしまったようだ。

 あるいは上級者ぶって、読みが外れたか。

 

 いずれにせよ、枠の復活に制限がある上に非課税制度があるNISAで損切りとか、勉強不足もいいところである。


 そういう現場を見ているから、おそらく否定派は、


「新NISAをしたところで、ほとんどの人は欲に負けて、デカく賭けてしまう」

「勉強して、的確に投資信託を長期保有できる人なんて、一握り」

「せいぜい、五人に一人の割合しか、長者は生まれない」


 という「現実を突きつけている」のだろう。


「どうせ、余計なことをしちゃうでしょ」と。

「負けないのが投資の基本なのに、勝とうとしちゃうでしょ」と。


 ぶっちゃけ、これは真理と言っていい。


 否定派は、人を信じていないのだ。

 彼らだって、投資信託長期保有である程度の資産は見込めるなんてわかっている。

 

 しかし制度の否定というより、「暴落がどうの」とか、先の見えない未来のほうに視点が向いている。

 

 つまりどういうことかというと、

『将来の不安「なんか」に目線が向いているうちは、勉強が足りない』

 のだ。


  

 そう考えれば、いかに勉強が大事かわかるだろう。


 勉強が足りないうちは、貯金して寝かせておいたほうがいい。


 ちゃんと勉強さえすれば、「現金だけ保有しているのは危険だな」「銀行に預けても、増えないんだな」とわかってくる。

 

 だが同時に、「あまり投資信託に心酔しすぎても、出口戦略で出し惜しみしちゃうな」とか「一億とかいらんわ」とか、自分の将来設計も見えてくる。


 慎重すぎてもいけないが、一旦立ち止まって、ご自分のリスク許容度を確認したうえで投資はしたほうがいいかなーと。


 オレも実際、リスク許容度を見誤って多額の投資をしてしまい、今年いっぱい生きた心地がしなかった。

 現金比率が少ないのは、精神的にリスキーすぎる。メンタルが死ぬ。

 

 来年の戦略として、リスク許容度とにらめっこして、現金比率は上げることにした。

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