第11話 鈴木に生涯をあげるち

八代が帰って鈴木母は鍵をエプロンのポケットに入れた。


「お母さん、来るなら行ってよ~」

仕事から帰ってきた鈴木は、まんざらでもない顔だ。


2人でカレーを食べながら俺の話になった。

「まだ好きなの?佐々木さん」

様子を見ながら鈴木母が聞く。鈴木はうなずく。


「また好きな人が見つかるまでは」

そう、と言って鈴木も母親も黙った。


「サムちゃんもいるし、さみしくないよ」

窓から夜の闇が入り込む。


ハムスターの寿命は2、3年だ。それでも両思いだ。俺はハムスターとして鈴木と生涯、生きていく事を決めた。



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