第6話 女子力ゼロでち

「課長になるから好きになったんじゃないのよ」

八代に捨てられハムスターの俺を動物病院につれて行った日、鈴木は有給休暇を3日とった。


上司だった頃、やたらキラキラする鈴木に職場恋愛だけは辞めとけと注意したことがあるが「え!~佐々木先輩、それセクハラですよ~♡」と言われた。


八代ミツキはセクハラ以上のクズ男じゃねえか。


「それに、田舎だけど私の実家、地主だからお金には困らないし」

そうなの?思わず鈴木を虫かごに入れたままタオルに巻かれた俺はみあげた。


どうやら、俺に怪我をさせた理由で心配らしく俺は夕方からジャージでビールを飲む鈴木の横に置かれている。


「サムちゃんは、上目遣いもかわいいでちね~え、ぬふふ♡」

こいつ、あんな事があった日からもう元気なのか?人間が分からなくなってきた


俺、もう半分くらいハムスターなんじゃね?


「佐々木先輩もさ~、私はさ~」

抗生物質をガサツな鈴木に用量以上に飲まされた俺が半分うとうとしだした時だった。


俺が?なんだよ!一気に目が覚めるが、鈴木は疲れたのか壁にもたれかかるように眠りだした。


「キュー!キュ~」

情けないぞ、非常に情けないぞ、ハムスターの俺。少なくとも人間だった時は彼女と別れてから気になってた女なんだ。


人間だったら肩にもたれて、いい雰囲気の時に俺は泣く、否、鳴く。


「優しくて~仕事できて~そこそこイケメンで~、私はす.......ぐっガガガガガガアアアアアアッ」

そこそこイケメンは引っかかるが、「す」は何だ!酢か?素か?巣か?って近くで聞く鈴木のイビキは落雷のようにいつまでも鳴りびびいた。


タオルにもぐったが、鈴木の女子力ゼロのイビキはつらいでち。















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