ねこねこ大冒険

中立武〇

第1話

「ゴロ、頼んだぞ。」

「わかりました。」


頭の大きい猫二匹が流暢に会話をし、黒猫はトラ猫に小さな黒猫を渡した。


「にゃー!にゃー!」

「いきますよ、チビちゃん。」


小さな猫は嫌がり黒猫にすがろうとしている。黒猫は自分の血が付かないように改めてトラ猫に小さい猫を押し付ける。


「すまないな。だが皆、石にされただけだ。戻せるかもしれない。そして戻せるとしたらそれはこの子だけだ。」


子猫は暴れるも布でくるまれてトラ猫に背負われる。


「ちからおよばず、もうしわけありません。」


トラ猫はそう返答した。子猫はその声が震えている事に気が付いたのか、暴れるのをやめた。


「では!ごぶうんを!」

「まかせたぞ!」


そう言って二匹は弾けるように別れた。子猫は我慢できなくなったのかまた大声で泣き始め、それだけを聞くトラ猫は夜の森を駆けながら唸る。燃えて明るいみんなの町から上がる炎が自分の尻尾に燃え移っているかのようで、子猫に聞こえないような声で泣きながら走った。

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