第2話 父と弟と

「私より弟の親貞を戦場に出したらいかがでしょう?」

「そんな覇気のないこと申すとは…。

それでも長宗我部の子か!」

(やはりな…。)


国親は怒鳴るが弥三郎は動じない。


「戦場に適するもの、屋内に適するもの。

それぞれ使い勝手がありましょう。それこそ名将のすることです。」

「たわけ!誰に申しておる!」 


火に油を注ぐことになったが、国親は一旦は落ち着いた。隣の部屋には家臣の親光と久武昌源がいたためである。


「とにかくこの度の戦にはそなたも初陣として出てもらう。否とは申させぬ。よいな。」

「ぜひ。何なりと。父上の申すことには毎時従ってきましたから。」

(……。) 


弥三郎は退出したが、国親は脇息をニ、三度叩きつけていた。

陣触れ、及び朝倉城への出陣はこのあとすぐに成された。


(この度の戦で見極させてもらうぞ…。

そなたの長宗我部としての器量を…。)


敵は本山茂辰である。


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