6月

『枠』

知らない間に

はじかれてしまった私たち

戻り方も分からなくて

進み方も分からなくて

立ち止まって

道が見つからないかって

行く先が見つからないかって

ただ

目を凝らしている

(2023/06/05)


『まいご』

太陽が眩しくて

涙が滲んだ

帰り道を見失って

今いる場所も分からなくなる

君がくれた町の地図が

導くはずの道の向こうで

君は今も

待っていてくれるかな

(2023/06/12)


『世界が消えた日』

眠りに落ちたら

世界が消えて

目覚めたら

世界が生まれる

そんなことを信じて

眠れなかった幼い日

私と世界をつないだ

暖かな腕が

包まれた記憶が

こんなに恋しい

(2023/06/19)


『おちる』

水底から 空を見上げる

きらきらと 水面が輝く

ぽこん と

空気の球が 離れていく

あれは

涙だったか

ぽとん と

水の球が 落ちていく

ゆらゆら 水面が揺れて

私から 離れていく

私は空に 落ちていく

(2023/06/21)

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