また明日

えでぃ

想い出

「ねえ、聞いてるの?」

「あ、ごめん。なんだっけ?」

「もういいですー」

僕は西中学校に通っている普通の中学2年生花咲 涼、サッカー部に入っている 。前の席に座っていてよく話しかけてくるこの子、山岡 志帆が好きだ。運動神経が良いのになんで部活に入っていないのが分からない。

「怒った?マジでごめんってー」

「反省してるならよろしい。ここの問題が分かんなくて教えて欲しいの」

「え、こんなのも解けないの?笑」

「うるさいなー、早く教えろ」

「はいはいさーせん」

この日常で僕は満足だった。別に彼女にしたくない訳では無い。ただ、今のこの関係性を崩したくはなかった。そんなことを思っていたが転機はすぐに来た。


「今日の練習試合で点決めれなかったやつは罰ゲームで好きな子に告白な!」

いきなりチームメイトの1人が言い出した。

「誰がやるか」

僕はすぐに言った。当たり前である、あいつはトップなのに僕はサイドハーフである。勝ち負けは既に決まっていた。

「そんなこと言うなってー、お前志帆に告りたいくせにー」

「は、お前なんで知ってんだ!?」

「そんなの今じゃ学校の噂だぜ?お前らいっつも仲良さそーに話してんじゃん。しかもあの志帆だぜ、そりゃ一瞬で噂になるだろ」

そうだ、志帆は学校の中でもトップで可愛い。そして肌が白くて綺麗!。さすがに噂になる。

【両チーム整列してください】

「あ、もう始まんぞ。ちゃんと約束守れよ!」

「いやいや無理だって!」



【ピピーッ】

試合終了のホイッスル。結果は3対1で西中の勝ち。試合前に罰ゲームを仕掛けてきたあいつは2ゴール1アシスト俺は0ゴール0アシスト。。。あいつ上手くね?

「涼くーん、覚えてるよね試合前に言ってたこと♡」

「あーはいはい告ればいいんだろ?」

「え、潔よ。なんか無いの?もう、こう、ちょっとさ、嫌がるような感じっていうのは」

「え、嫌がって欲しいの?」

「まあいいか、結果は教えろよー」

正直迷う。志帆と口裏を合わせることも出来るが、何故か今告白する決心がついている自分もいる。関係は保っていきたいと思う。だけどそうじゃない伝えたい想いが僕にはある、そんな気がする。

家に帰り風呂でまだ考えていた。

「どうしようかな」

なかなか決まらない。相手のことも考えたがどうしても固まらない意思があった。

「まあ、いいか」

僕は風呂を出てすぐに眠ってしまった。


次の日も僕はは普通に学校に行った。

「お前昨日のこと忘れてないだろうな?」

「覚えてるって」

「うむ、そんな君に今日の放課後志帆を屋上に呼んでやった 。感謝するといい。」

「え?」

「どうせ告るの渋ってそうだからこの際呼んでやった」

「お前すごいけど最悪だな」

「そんなに褒めるな」

正直助かると言えば助かるが急すぎないか?

【キーンコーンカーンコーン】

「やべ、教室戻るわ」

「おう」

嵐は一旦去ったな。1限の準備するかー。

「おはよー」

「おはよ、ギリギリなんて珍しいな」

「寝坊しちゃって笑笑」

「志帆でも寝坊するんだな」

「そりゃするよー」

可愛いなマジで。今思えばなんで僕なんかとこんなに話してくれるんだ?不思議だ。

一限の数学が始まって少したったら志帆はいつものように後ろをを向いて僕に教えを乞いてきた。だが今日はいつもとは違った。

「そのあざどうしたの?」

「あ、これ?昨日部活でやっちゃたんだよねー。そんなことよりこの問題なんだけど」

袖から少し見えた腕のあざが少し気になったが俺がそのまま続けた。

「あー、どれどれ」



一限が終わり僕はトイレに行った。

「涼ー」

「またお前か」

「ちゃんと結果教えろよ♡」

「あーもうわかったって」

「おっけ、じゃあな」

マジで嵐だな、あいつ。


いつの間にかもう放課後になっていた。正直心の準備をし損ねて今になって緊張している。けどもう遅い、もう目の前にいる。

「えと、話ってなに?」

もうどうなってもいいか

「僕志帆のことが好きなんだ、良かったら付き合って欲しい!」

僕は顔を真っ赤にしながら手を差し出し目を瞑った。

5秒間の無の後触れられない手を引きながら僕は恐る恐る目を開けた。終わったんだ僕の青春は。そう思っていた。

彼女は泣いていた。

「あ、えと、ごめん。嫌だったよね?」

「いや、嬉しいの。ほんとに心の底から」

「え、、、」

「私で良ければお願いします!」

何が起こったのか僕には分からなくまた無の時間が数秒間続いた。

すると泣いた目を腫れさせた彼女がいきなり

「ねえ、今日どこか行かない?遠くに」

「今日?え、今からってことだよね?」

「そうだけど」

さすがにもう4時30分だ。冬はすぐに日が落ちる。

「今日はもう時間ないし明日も学校だから休みの日に行かない?」

「う、うん!行きたいね!」

「帰ろうか、家まで送るよ」

「ありがと!」

僕たちは学校のことを話したり自分たちのことを話しながら帰り道を歩いた。

「じゃあね、また明日」

「うん、送ってくれてありがと。あのさ、、、やっぱりいいや。また明日」

何か言いたそうな、悲しそうな目をしながら家に入っていく彼女を見届けて僕も家に帰った。明日聞けば良いとそう思っていた自分がいたからだ。




それから彼女は学校に来なかった。半年後彼女を送ったあの家で中学生くらいの女の子の遺体が見つかったらしい。原因は暴力らしい。

僕はそれを普通をやめた。








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また明日 えでぃ @eddie_zZ

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