21話:「―美少女TSおやぢと武人系美少女と美女TS青年(皆身内)が皆でくっ付くエンド―」

 ――羅仏Z/L-32戦闘投射機の、3rd キャピタルビーチ道路への緊急着陸は成功。そして操縦士である修奈は、交通管理隊――血侵と心幻によって無事に救助回収され

 緊急着陸に関わる一連の作戦行動のその主要目的は、全て完遂された。



 その後に消防や救急。航空宇宙隊を主とするティークネスト基地からの関係機関、部署部隊の車輛が続々と到着。

 上がる黒煙に巻かれ、発火炎上の危険のある戦闘機機体に消火措置行動が行われ。機体は炎上爆発の事態を間逃れ、最悪の事態の危機を脱した。

 そして幸いにして。基幹道路上での非常事態の際の避難場所である、路肩に特に広く設けられた非常駐車帯が着陸停止地点からすぐ近くに存在したため。戦闘機機体機体はティークネスト基地より到着した部隊の車輛によりけん引され、退避を完了。

 基幹道路本線は、安全のためと消防救急・関係機関の作業のために。交通管理隊の応援とと基幹道路会社の各部署実働隊によって、三車線中の第1走行車線一本を規制する措置が取られたが。完全通行止めは判断の結果解除され、基幹道路は完全とは行かないまでも通行の流れを取り戻した。

 また幸いにも。魔力嵐が過ぎ去り天候が回復してからまだ間もない時間であったため、基幹道路上の通行車の量は限定的であり。その事から通行止めや規制による道路通行上の影響混乱はほぼ発生しなかった。

 その最中で。消防や救急に警察、隊からの各部署各部隊。応援に駆け付けたレッカー会社の作業隊。そして基幹道路会社の各実働部隊に、交通管理隊。

 各所の尽力により緊急着陸した機体は撤去回収にこじつけ、基幹道路上より運び出され。それをもって道路上の規制は解除。


 今日この日に、緊急着陸劇の舞台となった基幹道路は。日常の姿を取り戻した――




 場所は血侵や心幻、交通管理隊も勤め拠点とする。ハーバーノースICに隣接する敷地内の、基幹道路会社の社屋施設へ。


「――……」


 その正面玄関ホールの一角に設けられる、ささやかな来客用ミーティングブースに。修奈の姿が在った。

 血侵等管理隊の手により救助回収された修奈は、その後に救急隊よりその身の診断確認を受け、またも幸いにして怪我などは無かったことから。当人がまずは直接、一連の事態の各所各方との調整、また警察等からの一応の聴取に応じるべく。

 ここ、基幹道路会社施設に招かれ訪れていた。

 そしてしかし現段階で、幹部操縦士とはいえ一介の隊員である修奈に要求される部分は限定的であり。調整聴取の類は長くはない時間の後に一旦終わり、今の修奈は待機のがてら、少しの休息の時間を認められた状況であった。


「――修奈っ!」


 いくつかの考えを浮かべつつ、その身を休ませていた修奈に。しかし彼を呼ぶ声が響き掛かったのはその時だ。

 少し驚き目を向ければ。その向こう、正面玄関口より姿を現し、そして目に見えて慌て急く様子で駆けて来る一人の人影。

 他ならぬ、趣意の姿が目に飛び込んだ。


「修奈っ!無事か、怪我は!?」


 そして趣意は修奈の前に飛び込む勢いで近づき立つと。修奈の腕と身を掴んで取り、血相を変えた顔と、それに伴う声色でそんな尋ねる言葉を発し上げた。


「落ち着け……っ、大丈夫だ」


 そんな趣意の様子に少し面食らい。しかし直後には修奈は呆れ、そして毒気を抜かれたような色で、そんな促す言葉を趣意に返す。


「あっ……すまない……っ」


 それに趣意はハッとなり、自身の行動言動がいささかオーバーで取り乱したものである事に気付き。少し顔を赤らめ、詫びる言葉の後に腕を離した。


「まぁ、いくらかは汲んでやれ」


 そこへ、また玄関側より別の声が飛び寄こされた。

 修奈がまた、そして趣意も振り向き見れば。そこには今の趣意に遅れ玄関を潜り、こちらへ歩んで来る両名の上官。善制と志頭の姿あった。

 趣意はあの後の離脱から。善制と志頭は魔力竜への対処任務を、応援に到着したLsr-19迎撃戦闘機の編隊に引き継ぎ。一度ティークネスト基地に帰還。

 それから修奈を迎えに、なによりその無事を確かに確認するために。基幹道路会社社屋を訪れ来て、今しがた到着した所なのであった。

 今の声は、その内の善制のもの。


「彼女は、どこまでもお前の事を心配していた」


 さらに続ける善制。それは趣意のそこまでの様相様子を教えるもの。


「三尉、我が軍の少尉を庇い救ってくれた事。皇国軍を代表して感謝したい」


 続け前に出て。畏まった様子でそう言葉を紡いだのは志頭。

 それは魔力竜との遭遇から強襲より、趣意を救った修奈に向けての敬意と感謝の言葉であった。


「!……とんでもありません。俺……自分こそ、彼女に救われました」


 しかしそれに修奈は、また言葉を改めて。

 緊急着陸の肯定の最中、付き添われそして支えてくれた趣意の姿を思い返し。それに向けての礼の言葉を紡ぐ。


「大きなご迷惑をおかけしました。申し訳ない」


 そして、続け今回の事態への謝罪の言葉を、毅然とした色で口にする。


「君が何を謝ることがある。確かに状況こそ拡大してしまったが、君は同胞を守りそして無事帰還した。誇って良い事だ」

「任務と命令を全うしたと言っていい、本当によくやった。後は私等が引き受ける、面倒厄介や口うるさい物事などは全て跳ね退けてやるさ。安心しろ」


 しかしそんな言葉を寄こした修奈に、まず志頭は促し言い聞かせるような色で返し。

 そして善制は、自らの部下を称賛する言葉を。そして部下を庇い守る事を約束する言葉を紡ぎ向ける。


「……ありがとうございます」


 その両名の言葉を受け、修奈は静かにしかし確たる声色で。今度は礼の言葉を返した。



 その後、上官たる善制と志頭は。

 基幹道路会社の関係各所や警察とのより詳細な調整や聴取を、修奈より引き継ぎ行うために。

 修奈に体を休めているよう伝えると。玄関ホールを後にして行った。

 今は修奈と、付き添うように趣意の二人だけが残っている。


「修奈……ありがとう、私を守ってくれて……」


 いくらか落ち着いたのだろう趣意は。これまでライバル心剥き出しであった相手への気恥ずかしい感情があるのだろう、たどたどしい様子で礼の言葉を向ける。


「……よせよ。お前も俺を支えてくれただろ」


 それに修奈も柄では無さそうに、少し気恥しそうに。ぶっきらぼう気味にそんな言葉を返す。


「……」

「……」


 互いに柄では無い言葉態度に、気まずいのか一度視線を反らしてしまう両者。

 しかし次にはそれ以上の感情に引かれ、二人の視線は自然と戻って合い。二人は身長差から互いを見降ろし見上げ、見つめ合う形となる。

 それぞれの目に映るは、意地を張り合いながらも、心の内では気になってしまっていた相手。どこか魅力を感じてしまっていた、厄介でもどかしい相手。

 そのもどかしさを解決するのに、最早言葉では足りない――


「……っ――」

「っ……」


 次には、趣意は踵を少し浮かせて背伸びをし。

 修奈は少しその顔を下げて、位置を合わせて趣意を迎え入れ。


 ――二人は、柔らかく互いの唇を重ね。

互いへの告白を遂げた――




「――やぁれやれ、素直になったか」


 ミーティングブースの一角を仕切る壁の向こうで。静かに、しかし呆れ交じりの言葉が零される。

 二人きりとなったミーティングブースの一角で、唇を重ね互いの好意の告白を行う修奈と趣意を。

 そんな従兄弟甥と従兄弟姪の姿気配を向こうに感じながら。

 呆れと、しかしどこか成し遂げたような色をその顔に浮かべる。他ならぬ血侵の姿がそこにあった。

 血侵は血侵でここまで管理隊の仕事処理業務に当たっていたのだが。それは一段落し、休息を取っている修奈の様子を見ておこうと思いこの場へ脚を運んだのだが。

 そこで血侵は、修奈と趣意の相対する場面に出くわし。そして場の気配雰囲気から展開を察し、機転を利かせて身を隠し。

 そして、一つの想い会いが結ばれるシーンの観測に成功するに至ったのだ。


「不器用同士で、お似合いってか」


 当人等は隠していたつもりであったが。端から見れば互いに惹かれあっているのはバレバレであり、そしてそれを頑固な性格から意地の張り合いで形にしてしまっていた修奈と趣意。

 しかしその二人が、互いの身を救い合った今回を転機に解け合い。自身の気持ちにようやく素直になり、それをぶつけ合い成就した事に。

 少し遠回り気味で不器用すぎるまでの過程からのそれに、血侵はまたやれやれと呆れながらも。

同時に色々心配であった甥子と姪子が、互いにたぶん相性の良い相手と結ばれた事を。揶揄う様な色での祝福する言葉を、また静かに零して見せた。



「やれやれ、と――」


 血侵はもう一度零し。

 「これで趣意のお馴染みの。そしてここ数日で修奈にあっても抱えている事が判明した、コンプレックスなまでのおやぢ好きも終息するだろう」等と皮算用しつつ。

 「おやーぢワゴンはクールに去るぜ」と。身を潜めていた壁から背を離し、その場から見つからないうちに退散しようとした。


「――ぬォ!?」


 しかし。

 そんな血侵の両腕が。それぞれ力加減の異なる何者かに掴まれ捕まえられたのは、その直後瞬間であった。

 驚き抗う間もなく、血侵はその身を引き戻され。今一度壁際に押し付けるまでのそれで預けられる。


「ッ!」


 見れば血侵の前には、左右それぞれに間近の位置で立つ、修奈と趣意の姿があった。

 どうやら血侵の気配存在に、気付いていたようだ。

 そして二人はどちらも対称の形で片腕を突き出して、それが血侵の横を抜けて壁に付けられ。いわゆる「壁ドン」の形で血侵を左右から囲い包囲していた。


「お前等ッ?」


 唐突のそれに少なからず戸惑う血侵。

 しかし対面する修奈と趣意は、どちらも真剣な眼差しで血侵を見降ろしあるいは見上げ。見つめている。


「おじ様、以前言いましたよね?私、すごく諦めが悪いんです」


 その二人の内、先んじて発し告げて来たのは趣意。そして――


「ッ!」


 血侵の少し硬めの唇に、質感の異なる柔らかい何かが触れたのは瞬間。

 そして文字通り目と鼻の先には、何者かの顔が在る。

 その間近の距離でも見える特徴と、気配。それからその正体が血侵が姪子、趣意である事は容易であった。

 そう――血侵と趣意の唇は重なり、口づけを交わしていた。


「――ふぅ」


 可愛らしく色っぽい吐息が零され、そして趣意の顔が離れる。


「ッ!――おまッ」


 驚愕の、そして流石の事態に。咎め叱るべく血侵は声を荒げかける。

 しかしそれよりも前に、隣で別の動きと気配が見え感じ。血侵の視線はそちらに誘導される。

 そして趣意とは反対の隣に見えたのは、少し丈の合わないフライトスーツに身を包んだ、長い髪の美女。

 それは女体へと性転換した際の、修奈の姿だ。

 今の趣意の口づけの急襲の隙に、修奈はその身を性転換させたようだ。


「俺ももう、アンタに対して遠慮はしないッ」


 その修奈はその凛とした美麗な顔で、瞳で血侵を見つめ。宣告のようにそんな言葉を寄こす。

 そして――


「ッ!」


 直後にはその顔が近づけられ。そして今度はまた血侵の唇と、美女の柔らかい物へと変わった修奈の唇が重なった。


「――ふぁっ」


 少しの間の唇の重ね合いの後に、修奈は艶っぽい悩ましい吐息を零しながら、顔を離す。


「ッ、お前等――」


 姪子と、美女化した甥子からのキスの二連撃に。流石に血侵もすぐには言葉が紡げない。


「カクゴを決めてください、おじ様っ」

「腹を括ってもらうぞ、おじ貴」


 そんな血侵を、趣意と修奈はそれぞれの美麗な顔で、しかし逃さぬ気迫で見つめ。揃えるように言葉を紡ぐ。


「修奈も、おじ様も――私のモノになってもらいますっ!」

「趣意もアンタも――俺のモンになってもらうッ」


 そして、趣意と修奈は。

 それぞれの凛とした透る声色で。そんな宣告の言葉を、まったく同時に叩きつけてきた。

 それはどちらも愛しいライバル兼焦がれる人を、そして同じく焦がれる従兄弟伯父を。どちらかを諦め手放す選択など考えず、どちらもまとめて自分のモノとする事を宣言する、頼もしいまでに傲岸不遜なそれ。


「――――は」


 それを受けた血侵は、少しの間の静寂の後に。


「ハッ!ハハハハハッ!――こりゃぁ、傑作だッ!」


 その顔を盛大に笑顔に崩し、そして柄にも無い豪快な笑い声を上げた。


「あっ!おじ様っ、私は本気ですよ!」

「遊びのつもりは無いぞ、本気で覚悟してもらうからな」


 そんな姿を見せた血侵に。

 趣意は少し機嫌を損ねた様に声を上げ、修奈は静かに再度宣告の言葉を紡ぎ寄こして来る。


「ハハハッ――いや、悪い……お前等を、少し舐めてたようだ。ハンパじゃ無い――」


 それに、血侵はまだ笑い上げながらも、同時に二人に向けてそんな言葉を返す。


「いいだろう――こうまでされちゃあ、これ以上のらりくらりは筋が通らねぇか」


 しかし続け直後には、笑いを抑えつつもそんな言葉を零し紡ぐ。そして見れば、その顔には真剣な色が浮かべ作られていた。


「いいぜ――お前等二人とも、迎え入れて受け止めてやる――ッ」


 そして血侵は姿勢を直し立ち構え、修奈と趣意へ順に視線を流すと。そんな告げる言葉を叩き返すかのように紡ぐ。

 それは半端なそれでは無い覚悟を持ってぶつかって来た二人を、その焦がれる心を真正面から受け入れる言葉。従兄弟伯父と甥子姪子という一種のハードルを理解し、しかしそれを含めて。自分も覚悟を決めて受け止める言葉。


 血侵は従兄弟伯父として、そして同時に愛され恋焦がれられる者として。

 二人を、その告白を受け入れたのだ。


「おじ様――っ」

「アンタ――」


 焦がれる従兄弟伯父からの、自身等の告白を受け入れ迎える返答に。

 修奈も趣意も微かな驚きを見せつつも、同時にその顔に歓喜の色を見せる。


「……では、早速」

「まずはアンタに、俺等のモノになってもらうか」


 そしてしかし。

 次に二人から零されたのはそんな言葉。


「――あ?」


 それには何か妖しく、少し不穏な。何か禄でもない気配が感じ取れる。

 そして視線の先にあったのは、何か怪しい獣欲塗れの笑みを作る、見た目だけは美麗な二人の獣の姿。


「それっ――」

「っと――」


 しかしそれを掌握するよりも前に。それぞれ壁ドンの形で作られていた修奈と趣意の腕が、それぞれ血侵の後ろ首や肩付近へと周り触れる。


 ――それは、血侵の身体を〝変貌〟させるためのスイッチ。その直後には、血侵の身体はあっと言う間に神秘的な変貌を見せ。

 そこには毛先長めの、黒寄りの茶髪のショートボブが映える、凛とした気の強そうな美少女が。

 美少女の姿形態の、血侵の姿が出来上がっていた。


「ッ!ぬぁ、お前等――ッ」


 それが修奈と趣意の、欲望に忠実過ぎる禄でもない企みの第一手と知り。声を張り上げようとする血侵。


「ふぁッ!?」


 しかしそれは不発に終わる。そして代わりに上がったのは、甘く可愛らしい悲鳴。

 見れば。修奈が血侵の背後に回り入り、美女と美少女化による身長差を利用して、血侵の身を背後より捕まえ。

 そして前側からは、趣意が体を密着させて捕まえ。

 血侵は、修奈と趣意に体の前後をサンドイッチされる形で見事に捕まえられていた。

 そして呆れるまでに見事な連携行動を見せた修奈と趣意の。それぞれの腕、手はいずれも血侵の乳房や腹や腰回りへと回され。

 早くも撫で回し揉んで嬲り、味わい堪能事を始めていた。


 二人の禄でもない獣欲に塗れた獣は。

 まずは協力して、言質を取った魅惑の獲物(血侵)を。徹底的に味わい尽くしつつ堕とす腹積もりであるようだ。


「さ、もう逃げられないから――」

「カクゴしてくださいね――」


 二人の獣の甘い囁きが前後から囁かれ響き。

 そして同時に、美少女を貸した身体の体中を撫で回し揉み嬲る甘美な電流が。同時攻撃で血侵を襲い始める。


「ひぅッ……お前等ぁ――んぅっ♡」


 それに抗い咎める声を上げようとした血侵であったが。

 それは背後の修奈に顎をクイと捕まえられ。そして近づいた趣意の柔らかい唇がまた重ねられ、今は同じく柔らかく可愛らしい血侵の唇が塞がれる事により。

 可愛らしく悩ましいキスの音へと変わり、鳴って小さく響いたのであった――



 そしてそれは。

 これから長く続く。甘く欲望に塗れた三人の歩む道の、幕開けとなるのであった――



――――――――――



 お付き合いありがとうございました。

 とりあえず本編(だと思う)はここまでなのですが、後日談的なエロ話(R-18)を少し書きたいと思っています。

 書き溜めができたらぼちぼち投稿するつもりなので、期待せずにぼんやりと覚えておいてもらえば幸いです。

 後は設定掲載して完結です。


 それでは、またいつか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る