謝辞と挨拶

Acknowledgments and Greetings

　本日は不肖、私奴（わたくしめ）の為に、斯くも賑々（にぎにぎ）しく盛大な場を設けて頂き、誠に感謝の念に堪えません。御礼申し上げます。

　生来、私は優柔不断で、他力本願なところがございまして、それは自らの行く末を左右するような重大な場面に於いても、例外ではございません。

　そうです。あの日もそうでした。

　私は一人、臆病風に吹かれたまま、途方に暮れておりました。夢破れ、流れ流れた彷徨の末、正に人生の岐路にありました。

　今度こそはと、今日こそはと、何度も固く心を決めたつもりでした。ですが、またしても後一歩、もう一歩を踏み出す勇気を絞り出せず、逡巡の只中で喘（あえ）いでおりました。決断力を欠片程も持ち合わせていない自分が心底情けなく、自己嫌悪に苛まれておりました。

　そんな私の背中を思い掛けず押して下さったのが、本日のお客様でございます。

　あの方はいつまでも煮え切らない私を見兼ね、慈悲と慈愛の御心で力添えをして下さいました。あの方なくして現在の私は存在し得ません。あの方のお陰を以ちまして、今日の私があるのでございます。

　少々前置きが長うなりました。

　縷々述べさせて頂きました大恩人が、本日この日この会場にお出で下さいました。

　世界中の悩み深き人々の為に東奔西走、八面六臂のご活躍、ご多忙の事と存じ上げてはおりますが、押してご足労をお願い申し上げました次第です。

　皆様、どうか、どうか盛大な拍手でお迎え下さい。

　ご紹介致しますっ、ミスター自殺幇助っ!!