第7話「元気でおバカな日向子ちゃん」

翌朝




結真: ふぁ〜あ…




結真は自分の目を擦りながら、リビングに向かう。




結真: おはよ〜って私が1番か…昨日は守里が晩ご飯作ってくれたし、朝ご飯は私が作ろうかな。




そう言って、結真がキッチンで朝ご飯を作っていると…



ガチャ




桜: おはよ〜



結真: 桜おはよ。もうすぐで朝ご飯できるから、先に顔洗っておいで。



桜: はーい…




桜はトボトボと、洗面台の方に歩いていった。




結真: 桜が2番乗りだったか。相変わらず美月と蓮花は朝に弱いみたいね笑、まだ降りてこない守里も、朝には弱いのかしら。




少しして、結真が朝ご飯を作り終わった時、桜がリビングに戻ってきた。




結真: ナイスタイミングね、桜。朝ご飯できたから、先食べてよっか。まだ学校行く時間まで余裕あるし、美月達と守里はまだ寝かせてあげましょ。



桜: 分かった、食べる。



結真: どう?1日ここで暮らしてみて。守里と仲良くなれそう?



桜: う~ん、守里君と話すと緊張しちゃうんだよね、まだ。



結真: そっか…学校でも、ちゃんと友達作るんだよ。桜は人見知りだから、大変かもだけど。



桜: うん。さく頑張る。




朝ご飯を食べつつ、2人が談笑していると…家が揺れた。




日向子: 守里ー!!!!!私が来たぞー!!!!!!学校行こーーー!!!!!!!!



結真: キャッ!!なに?



桜: !!!




いきなりの声に2人は驚き、耳を塞ぐ。




美月: う、うん?…



蓮花: なに?朝から…



守里: …




家中に響いた声に、美月と蓮花は目を覚ましたが、守里は朝からの大声に慣れているせいか、目を覚まさない。




日向子: うーん、まだ起きてないのか。しょうがないな〜部屋に起こしに行こう!!




そう言って日向子は玄関の鍵を開ける。



ガチャ




結真: え、嘘でしょ.…鍵は閉まってたはずなのに…



桜: 怖いよ〜お姉ちゃん。



結真: 大丈夫だからね。




家族を守ろうと、結真は玄関の方に向かう。




日向子: ん?靴が1つ2つ…5つ?誰か来てるのかな。でも守里の家に来るような友達は、私達だけのはずなんだけど…まさか泥棒?




お馬鹿な日向子は、泥棒が人の家に入る時にわざわざ靴を脱ぎ揃えないだろうことや、どう見ても女物の靴であることに、気づかない。


日向子は勘違いしたまま、拳を握り、リビングの方へと向かい…


扉から出てきた結真と目が合う。




結真 日向子: 誰!!!



日向子: 守里の家を狙うなんて!この泥棒め!!!



結真: な、なんの事を、言ってるの!あなたこそ誰よ!!



美月: ちょっと朝から何事?



蓮花: うるさいんだけど…




結真と日向子が対面する頃、美月と蓮花がリビングに降りてきた。




桜: なんか知らない人が大声あげて、家に入ってきたの…



美月: え?



蓮花: …



美月: で、それは誰なの?



桜: ほら、あそこにいる女の子!…女の子?



結真: …女の子?



日向子: 守里は私が守る!!!グルルルル




結真達が玄関から入ってきた人物が、制服を着た女の子であることに、戸惑いと安心を感じている一方で、日向子は威嚇する。




美月: ちょっと待ってよ。一旦落ち着いて。




美月も日向子に駆け寄る。



結真: そうだね、なんか私の勘違いっぽいし。



日向子: グルルルル



桜: あの子怖い…



結真: 多分、守里の知り合いみたいだから、桜、守里を起こしてきて!



桜: うん…急ぐね。



日向子: 1人だけじゃないとは…全員まとめて警察に突き出してあげる!!



結真: いや、私達別に泥棒じゃないからね。守里の新しい家族よ!



日向子: 新しい家族だ?泥棒な上に、嘘つきとは!!困ったものだ!!!




その後、結真が何を言っても日向子は信じず、威嚇を続けた。





守里の部屋の前




桜: ふぅ…緊張するな…よし!行こう!!




コンコン




桜: あの〜守里君、起きてる?




シーン




桜: 寝てるのかな…




部屋に入って起こすしかないか…


鍵も付いてないから入れるし…


男の子の部屋、入るの初めてだ…




桜: 失礼します…




ガチャ



守里はベッドの上でスヤスヤと眠っていた。




桜: あの〜守里君、起きて〜




離れた位置から守里を呼びかける桜。




守里: ん、ん〜。



桜: しょうがない…




桜は守里のそばに近づいた。


そこには、幸せそうに眠る守里の寝顔があった。




桜: 可愛い…




桜は、守里の寝顔を見つめてしまう。




!!!!!!!!




下の階から声が響く。




桜: あ、そうだった。早く守里君を起こさないと。




桜は手を守里の肩に添える。




桜: 起きて〜守里君〜




守里の肩を揺らしながら声をかける。




守里: う、う~ん。さ、桜さん?



桜: そうだよ、さく…あ、私だよ。早く起きて〜



守里: おはよう、桜さん。起こしてくれてありがとうニコッ



桜: ///いや…うん。




!!!!!!!!!




守里: え!なに!!!



桜: はっ!!そうだった。守里君、早く下に!女の子が鍵を開けて家に入ってきたの!!



守里: ん?…あー日向子か!



桜: 日向子?



守里: まぁとにかく、下に行かないとだね。




そうして2人は皆の集まる所に向かった。





日向子: そろそろ片付けようかな…



結真: もう信じてよ〜私達は守里の新しい家族なんだって!!



日向子: 守里を盗られてたまるかー!!!




そう言って日向子は結真に飛びかかる。




結真: キャッ!!



守里: 日向子やめろーー!!!



ギュッ!!



結真と日向子の間に守里が入り、日向子を受け止める。




日向子: あ!守里!!



守里: 日向子、落ち着いて。



日向子: この人達、守里の家に侵入した泥棒だよ!!早く捕まえないと!!



守里: 何言ってるの日向子。この人達は僕の新しい家族だよ。



日向子: え!そうなの?



守里: うん。昨日からなんだけどね。



結真: やっと信じてくれたか…



守里: まぁとにかく日向子もリビングに行こう。



日向子: うん!!



結真: (守里の言うことは簡単に聞くのね…まるで守里の飼い犬みたい笑)



守里: 僕は日向子に事情を話しとくから、みんなは先に準備しといて。




そして守里は、日向子に昨日学校を出てからのことを話した。


もちろん防衛団関係のことは省いて。




日向子: へぇー昨日お父さんに会ったんだ!!そこで再婚の話を聞いたんだね。で、みんなで暮らすことになったと。



守里: そういうこと。分かった?日向子。



日向子: うん!じゃあ私も守里の新しい家族と仲良くする!!!



守里: 笑、よろしく!



結真: お話終わった?



守里: 終わったよ。そういえば、まだ紹介してなかったね、こいつは南雲日向子。僕の幼なじみで同じクラスなんだ。



日向子: 結真さんですね。今さっきはごめんなさい。



結真: 良いのよ笑、私も勘違いしてたし。



日向子: 守里をよろしくお願いします!!!



結真: うん!日向子ちゃんも、これからよろしくね。




美月、桜、蓮花がリビングに入ってくる。




日向子: 美月ちゃんに、桜ちゃんに、蓮花ちゃんだね。よろしく!!!私のことは日向子ちゃんって呼んでね!!



美月: 守里君と同じクラスでしょ。なら私も同じクラスだから。よろしくね。



桜: よろしくお願いします。



蓮花: よろしくお願いします…



結真: よし!挨拶も済んだところで、桜以外は朝ご飯、済ませちゃって!



守里 美月 蓮花: はーい。



結真: 日向子ちゃんは私とお話しましょう!



日向子: わっかりましたー!!!



結真: 桜もこっちで話そ!



桜: うん。




結真達はリビングのソファに座り、守里達はダイニングで朝ご飯を食べ始めた。




守里: ねぇ美月さん。



美月: なに?



守里: 学校一緒に行く?道分からないだろうし。



美月: …いや私は1人で行くよ。昨日、道は調べたし。ちょっと早めに来てって先生からも言われてるからね。あと、学校では家族だってことは内緒にしてね。



守里: うん、分かった。蓮花さんは1人で行ける?



蓮花: 大丈夫です。子供扱いしないでください。



守里: う、うん。ごめんね。



蓮花: (あの人達とは違うって分かってるのに…)



美月: …




守里達の方は暗くなったが、結真達の方は明るい雰囲気だった。





そして、朝ご飯を食べ終え、守里が学校に行く準備を終えようとした頃…




美月: じゃあ、私、先に行くね。



結真: うん、いってらっしゃい。




美月は先に家を出ていった。




日向子: 美月ちゃんは、私達と一緒に学校行きたくなかったのかな…



守里: いや、なんか先生に呼ばれたって言ってたよ。



日向子: そっか!転校生だしね。



守里: 桜さんはどうする?一緒に学校行く?



桜: え、あの、その〜



結真: ほら、桜。



日向子: 桜ちゃん一緒に行こうよ!!!



桜: …一緒に行きます!



守里: 分かった、じゃあそろそろ出ようかニコッ



桜: ///はい。



日向子: (やっぱ良い笑顔だな。もうあんまり私には向けてくれないけど…ブー)



守里: 日向子は何膨れっ面してんの笑



日向子: なんにもないも〜ん。



結真: (あら、日向子ちゃんはやっぱり…)



守里: じゃ、いってきます!!



日向子: いってきま~す!!!



桜: いってきます。



結真: はい、いってらっしゃい。




そうして、3人は家を出ていった。




結真: 蓮花、いつ出るの?



蓮花: う~んと、そうだな、あと10分ぐらいしたら、行こうかな。



結真: 蓮花は今日始業式で、昼までだったよね。



蓮花: うん。



結真: 私はまだ春休みで、家にいるからね。



蓮花: はーい。





to be continued

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る