1.本当にホラージャンルの読者は少ないのか?

 さて、前話で提起された問題を改めて書くと、以下のようになる。


→「カクヨムのホラージャンルは、読者がいなくて作者の読み合いで成立しているクソゴミ箱じゃね?」


 酷い言い草。これではX(旧Twitter)で管を巻いているWeb小説に自信ニキ達と同じである。


 しかし実際のところ、これは本当なのだろうか。バイアスありきの印象論の可能性がある。そこで今度はカクヨムのホラーの週間ランキングで簡単ながら確認することとした。調査の範囲・方法については以下の通りである。


・調査範囲はカクヨムのホラー週間ランキング(2024/01/10時点)の1-20位まで(なぜ20位までかというと、そこで筆者の心が折れたからである)

・各作品のexcelに評価人数全体・作者票・読者(=読み専)票をまとめ、総数に占める作者票割合を出す。

・作者間の読み合いまで計ったら脳がパンクするので、参考数値として各作者のおすすめレビュー数をまとめる。

・☆で300以上、評価人数で100人以上の作品は、アカウント名が文字=作者、@~なら読者としてexcelで概算する。


 結果は以下のようになった。

                                         


表1 作者率集計


作者率  人数

20%以上   5人

50%以上   3人

80%以上 11人

100%    1人



表2 ランキング作者のおすすめレビュー数集計


レビュー数  人数

0-100     6人

101-500   6人

501-1000    2人

1001-2000  3人

2000-2235  3人




考察:

 表1から、やはりランキング上位作の評価人数に占める作者の割合が高いことは否定できないとわかった。しかし他方で、全て作者票のみの作品は1つしかなく、『近畿地方~』(読者票2918、作者率26%)や作風がWeb小説本流の『無職マンのゾンビサバイバル生活。』(同346、同20%)等では読み専の存在感が確かに感じられた。また、表2でもレビュー数が1000を超える作者が6名、300を超える者では12名と過半数を超えるが、0-10の範囲で読み合いには程遠い作者も4名確認された。


 以上のことから、『ホラージャンルの上位作には確かに作者票が多く読み合い率も高いかもしれんが、読み専もいるしクソゴミ箱という程では無い』という推測ができる。酷い事言ってごめんね! そもそも筆者は作者同士の読み合いが悪いなんて少しも思っていません。だって筆者も読み合いしてるしね。


 だが、読者票を集めているのは『近畿地方のある場所について』のような書籍化作品、もしくは純粋なホラー小説というよりはWeb小説のコードにホラーのテイストを上手く取り込んだ作品であったことも付記しておく。「ホラー(あるいは民俗ホラー等のサブジャンル)だから読み、評価する」という読者はおそらく極少数派で、ほとんどは徹頭徹尾、その作品が面白いから読み、評価するのであろう。


 また、『近畿地方のある場所について』では2023/1/28の初投稿後、同年1/31に初評価、その後2/3までに計4人の評価しか得られずその後は2/24まで全く無評価という、全く振るわない立ち上がりであったことを発見した。記憶の限り、この2月下旬以降にTwitterで同作の話題を目撃したはずなので、あれ程の作品ですらサイト外のバズが無ければ陽の目を見る事は無かったと考えるとホラージャンル、いやWeb小説の厳しさを感じる。


 ではそんな過酷なカクヨムの世界で、読み合いを行う作者達はどのように活動しているのだろうか。次章で検討する。

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