第45話 ハルトルの仕事
サ「本日もお疲れ様でした」
ラ「はい、お疲れ様」
僕は仕事が終わったため、急いで帰ろうとした。
下手に残っていたら急な仕事をやらされるかもしれないしな。
僕が立ち上がると
サ「あ、そうそう」
ラ「そうそうではない!もう帰る」
サ「別に追加の仕事ではありませんよ」
ラ「あ、そうなのね」
サ「仕事が終わったら来てほしいとハルトルさんから伝言があったので」
ラ「ハルトルが?珍しい…というか初めてかな」
サ「というわけでそちらに訪れてから帰ってくださいね。では私は先に帰ります」
ラ「へーい、お疲れ様」
とりあえず行くか。
僕はハルトルの居るところに向かった。
そういやハルトルとは全然関わりないなー。
ここにそんなに居ないリスインとの方がまだ話しているな。
コンコン
ラ「失礼します。どなたかいないでしょうか」
?「どちらさまです…あーあなたは前の」
ラ「あなたは確か」
前にサンドラの仕事の代わりで行った時に会ったお姉さんか。
しっかし死んだ魚の目みたいに随分と生きた感じのしない人だな。
くますご。
?「変なお兄さんでしたね」
ラ「誰が変なやつじゃ!」
?「そうは言われましてもね。あんなふざけたタスキをつけていたんですし」
ラ「ううむ、否定はできないな。といかここは相場じゃ変なおじさんじゃないのか」
?「あなたはおじさんって年齢ですか?」
ラ「この世界的には若いな。いや若すぎるな」
?「この世界?」
ラ「あーごめん。なんでもない。それにしてもあなた随分とお疲れのようだね」
?「夜も忙しいので、はは」
仕事以外で忙しいなら管轄外だし僕は何もしなくていっか。
?「で、そうだ。ハルトル様ですよね。あなた様が来たら入れておくように伝えられましたので」
ラ「今居ない感じ?」
?「すぐ戻るとおっしゃっておりましたので少しだけお待ちください。とりあえずどうぞ中へ」
ラ「こりゃ失礼」
とりあえず待つことにした。
中に入るとお茶が出された。
ラ「ああ、どうもどうも」
ずずず、うまい。
ラ「あれ、他の人はどこに」
?「もう定時過ぎたので、みんな帰りましたよ」
残っていないのはいいことだ。
?「あのー失礼ですがお名前は?あっわたしはボーン・サクラクと申します」
ラ「ラド・シャルロットです」
ボ「ラドさんでしたか、ラド・シャルロット…。いやあ私今日疲れていて本当によかった」
疲れたことに喜びを覚えるとか変な人だな。
ラ「そういえばボーンさんって貴族でしたよね」
ボ「そうですね」
ラ「最近貴族同士での噂って何かありましたか?」
ボ「うーん、私自身貴族としての仕事はほとんどしていませんのでそちらの方は疎いですね」
貴族はシャルロット領の土地を管理したり政治をしたりしている。
魔王城との仕事が似ている理由は貴族と平民の二つの管理局があることで均衡を保っているから。
僕はあっちに行くと色々ゴマスリやらなんやらくるため好きじゃないけど。
で、貴族関係者はその一家で一人だからボーンのようにこっちにくる人も多い。
ボ「あ、でもそういえば最近貴族殺しの怪人がいるって噂はありますね」
ラ「怪人?」
ボ「前にロード家が襲撃されたじゃないですか」
ラ「あーあったな」
ボ「貴族の家にすんなりと入れるほどの計画性の練り方、惨殺な死体、出るわ、出るわの隠蔽証拠。そのため貴族は怪人が現れたってことで警戒が高まっているんですよ」
えーと。
家にすんなり入れる→自分の家
惨殺な死体→イラつき
隠蔽証拠→仕返し
ハドの復讐を貴族たちが勝手に怯えているだけだな。
ラ「まあそんなに気にしなくていいいでしょ」
ボ「魔王様は呑気ですね…」
ラ「あはは、人生気楽の方がいいじゃん」
ボーンと世間話をしているとドアの開く音がした。
ハ「あら、もう来られていたのですね」
ラ「仕事自体はすぐに終わったからね。それでハルトルが呼び出すなんてどうしたの?」
ハ「新しい仕事が始まるのでそれの許可を貰おうとしたのですが、なにぶん量が多いので魔王様にこちらにきてもらおうかと」
ラ「そゆことね」
ハ「...」
ラ「ハルトルどうしたの?」
ハ「いえ、別に」
なんで下を見てるんだ。
ズボンになんかついてるのか?
ハ「えっと...あっとりあえずこれをお願いします」
ドサっと机の上に置かれる。
ラ「なあこれって明日じゃダメか?」
ハ「じゃあ今日までのやつがあるのでそれをお願いします」
僕は黙々と仕事をしていった。
ハルトルがチラチラこちらを見てくる。
なんか付いてるのかな?
そんなことを考えていると
ボ「こちら追加のお茶です」
ラ「あーどうもどうも」
ズズズ、やっぱ熱いのに限るな。
ラ「そういえばハルトルさ」
ハ「なんでしょうか?」
ラ「産業大臣に就いてからどれくらい経つの?」
ハ「そこそこ経ちますね。大臣の中だったら5番目ですけどね」
大臣の歴はリスイン→ラル→ガス→アム→ハルトル→オムライスの順番らしい。
精霊族が長く就いているのはわかるけどラルがそんなに長いのか。
ラ「そうだったのかー」
ハ「それに私とオムライスさんと魔王様は就任期間も近いですしね」
ラ「へー。そういえばさハルトルの好みってどんな人?」
ハ「急ですね」
ラ「別にただ気になっただけだよ。ちょっと興味があるだけ」
ハ「そうですか。うーん、私は優しい人ですかね。魔王様はどうなんですか?」
ラ「気の合う人かな。じゃとりあえずこれで仕事おわりでいいかな?」
ハ「ええ、これで大丈夫です。本日はわざわざありがとうございます」
ラ「じゃーねー。あんたらも、特にボーンは早く帰りなさいよ」
ボ「お気遣いありがとうございます」
ボ「なんだったんでしょうね」
ラ「よくわからないわ」
二人のため息だけが残った。
いやーリスインって優しいのかな。
ハルトルの趣味とは少し違う気がするんだよなー。
僕はリスインのためにハルトルの好みを聞いたが、
ラ「あれって穏やかなだけだよな…」
部下の恋愛も難しいと感じるラドであった。
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