断罪の探偵 5 恐怪島殺人事件

柊 睡蓮

第1話

【登場人物】


日野 響(ひの ひびき)♂

主人公。探偵その一


月影 一織(つきかげ いおり)♀

探偵その二


根室 蓮花(ねむろ れんか)♀

依頼人。かつ変態


杉本 和那(すぎもと かずな)♀

モデル


花園 空(はなぞの そら)♂

シンガーソングライター


赤間 楓(あかま かえで)♀

アナウンサー


種子島 海(たねがしま かい)♂

お笑い芸人


山田 つぼみ(やまだ つぼみ)♀

アイドル


剣持 蘭太郎(けんもち らんたろう)♂

島にいる警察官


根室 紫陽(ねむろ しよう)♂

声優。未来の兄


松原 麗(まつばら れい)♂

俳優。彼の死体から事件は幕を開ける


佐倉 のあ(さくら のあ)♀

AD。どうやら今回の事件に絡んでいるようだが…?


【以下、本編】


初めての方ははじめまして。何度もこのシリーズを読んでくれている方には毎度ありがとうございます。


私は日野 響(ひの ひびき)。端的にまとめてしまえば、この作品の主人公だ。


そんな私は、訳ありでとある探偵事務所に居候しているのだが、今回この事件に巻き込まれることになるきっかけはそこに来た依頼人だ。


依頼人の名前は根室 蓮花(ねむろ れんか)。その容姿は先のほうを青に染めた髪の毛が目立つぐらいで、それ以外はどこにでもいるような感じだ。似たような顔の人なら何回か会っていてもおかしくない。


そんな彼女がどうして私たちのところまで来たのかというと…これからの話はかなりグロテスクな話題が出てくるので覚悟していてほしい。


蓮花「いきなりごめんね。どうしても、君たちに相談したいことがあって」


響「いえ、気にしないでいいですよ。私たちに協力できることならなんでもお手伝いします」


蓮花「そう言ってもらえると、すごいありがたいな」


一織「すみませんね、こんなものしか出せませんが…」


蓮花「ありがとう」


私の居候先の一人娘である月影 一織(つきかげ いおり)ちゃんがお茶を出した。その時に、蓮花さんが持ってきた鞄の中を見て、何か違和感を感じたような、そんな顔をしていた。


響「一織ちゃん、どうかした?」


一織「…いえ、別に」


なぜ彼女が私に何かを隠すような態度をとったのかは分からない。彼女の中で確証がなかったのか、それとも…


響「それで、私たちに相談したいこととは?」


蓮花「そのことなんだけど…本当にいいの?」


響「えっと…どういうことですか?」


蓮花「いや、その…あまり人に見せるようなものでもないから」


響「人に見せるようなもの…?」


まさかとは思ったが、まだその時までは疑っているだけで、本当にそうなるとは思っていなかった。


一織「……根室さん。大丈夫ですよ。あなたのしようとしていることは、私たちにとっては『よくあること』ですから」


蓮花「そうなんだ。じゃあ、今から見せるね…」


そう言って、蓮花さんは鞄の中をゴソゴソとして、何か取り出そうとした。よくあること、というのは、まあそんなことだろうとは思ったが。


蓮花「これなんだけど…」


そう言って彼女は、謎の箱を取り出した。その箱はしっかりと鍵がかかっていて、何かの拍子に開くということもなさそうだ。そこまで厳重に管理するとは、人に見られないように彼女なりに頑張ったのだろうか。


響「この箱ですか?これが一体…」


蓮花「ちょっと、覚悟しててね」


そう言って、箱を開けた。そして、その箱から出てきたのは…


響「これは………生首?」


そこにあったのは、紛れもない、人の生首だ。しかし、それを見たぐらいでは私も一織ちゃんも驚かなかった。殺人事件を解決した経験がそうさせたのだろう。恐ろしいものだ。


そして、生首を見た私たちはそのままじっくりと観察していた。そんな私たちの様子を、蓮花さんはどんな風に思っていたのだろうか。


響「これって、防腐処理とかしてあります?」


蓮花「それは、よく分からない。それ、私のところに届いた訳ではないの」


一織「じゃあ、これは一体…」


蓮花「私のお兄ちゃんのところに届いたの、それ」


響「お兄ちゃん?」


謎が段々と増していく。一体、誰が、何のために送り付けたのか、そして、それをなぜ妹が持ってきたのか。


蓮花「えー、もういいや。正直に言うか。私のお兄ちゃん、紫陽(しよう)って名前なんだけど」


一織「紫陽って、もしかして、あの根室 紫陽(ねむろ しよう)ですか!?」


蓮花「そうだよ」


響「根室 紫陽?」


一織「えー!?わかんないんですか!?すごい人気の声優さんなんですよ!」


響「へ、へぇ…」


だめだ。興味がないからさっぱり分からない。ここまで反応するってことは、それだけ有名なのは間違いないだろう。


一織「え、ちょっといいですか?」


蓮花「え?どうかした?」


一織「その箱の中身ですよ。もしかして…」


そう言って、彼女は箱から生首を取り出した。そして、その顔を見つめて、彼女なりに確信したらしい。


一織「やっぱり。なんでもっと早く気づかなかったんだ…」


蓮花「もしかして、分かったの?」


一織「この生首の正体、松原 麗(まつばら れい)ですよね」


蓮花「…そうだよ」


響「松原 麗…」


一織「この人も、有名な俳優さんですね」


箱の中から出てきたのは、有名な俳優の生首。間違いない。事件が起こってしまったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る