実は怖いものが苦手なクール系男子が強制排尿させられちゃう話
@tsuraraturatura
第1話
「えー?なになに?司ちゃんもしかして怖がってる?いつもはクールなくせに本当は怖がりさんなのかな?」
レンタルしてきたホラーDVDを扇のようにあおぎながら茶化す広人を司は鋭い眼光で睨み付けた。
「は?なわけねーだろ。俺はそんな悪趣味な映画みるほど暇じゃねーんだよ。」
そういいながら司は広人の手からDVDを奪い取ろうとする。が、ひょいとかわされてしまい逆に逃げられないようにガッチリと肩を抱かれる。
「いーじゃん。俺と見よーよ?」
広人は意地でも逃がさないからな、といいたげに司の肩にもたれ掛かり、首に手を回した。広人の吐息が右耳を優しく撫でる。
「…。」
しかし、司にはまだ広人に言えていない重大な秘密があったのだ。
司はホラー系のものが大の苦手なのである。
司が小学生の頃、姉に無理矢理つれていかれた屋台のお化け屋敷が段ボールで作ったような雑な外観に似合わず、本格的で顔がまっさらなのっぺらぼうに腕を捕まれたという恐ろしい経験のせいで司はどんなに子供だましなものでもホラー系のものは大の苦手になってしまったのである。
だが、ここで断ると広人はその事に気付きよりいっそうからかうだろう。
からかわれるのは癪なので司は渋々付き合ってやることにした。
そうこなくっちゃ、と広人は楽しそうにレコーダーにDVDを入れ、再生ボタンを押す。
二人がゆったり座れるソファにはポップコーンまで用意してあった。
そしてついに始まってしまった。
なるだけ直視しないようにしても画面のなかの惨劇に身体が無意識に震えてしまう。
「ギャーーーー!!!」
「っ!」
急な女性の悲鳴に体がびくりと反応してしまったのを広人は
「司ちゃんかわいい~」
と茶化し、それから急に司のスウェットに手を突っ込んで乳首辺りをまさぐった。
「ひいっ!?」
「俺、ビビってる司見てたら興奮してきたわわ~」
そういうと広人は怪しい手付きで司ににじりよってきた。
「は?気持ち悪!こっち来んな!」
司も足でバタバタと蹴って応戦する。
「ちぇー。けち。」
広人は今日は案外あっさりと諦め、再び映画に集中し始めた。
なんだよ、いつもは最後までするくせに。なんで今日に限って…。と心のなかで文句を垂れていたその時、司の下腹部に嫌な感覚が走った。
やばい。急にトイレいきたい。でも…。
チラリとリビングから廊下に繋がるドアを見る。うちの家のトイレは風呂場の先、つまり家の一番奥に位置している。今の時間は夜中の二時前。丁度丑三つ時という幽霊が出やすいらしい時間だ。
最悪だ…。この状況で絶対一人でトイレなんか行けない。でも尿意を意識してしまえばするほど量が増えていくような感覚を覚えるほど、司の膀胱は限界を迎えていた。
「っ!」
尿意の波が押し寄せてきて思わず脚を交差して押さえる。
「なー、司?どうしたん?」
そんな司の様子を見て心配そうに広人が声をかける。が、今はそれどころではないのだ。
「…なんでもない……」
司は声を震わせながら答えた。すると広人はそんな司の様子を見て、
「あ、もしかして怖くてトイレ一人でいけないの??」
とからかうように言った。図星をつかれ、司は耳まで真っ赤にして俯く。その瞬間頬に温かい雨のようなものが流れ落ちた。
ほんと最悪。なんで俺泣いてんの。
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