第2話 ままごと遊び

ゆきこちゃんのお家にはお金持ちの家 らしく、お手伝いさんがいて いつも愛想よく僕のことを迎え入れてくれた。いつも遊びに行くとゆきこちゃんか そのお手伝いさんが出てきて 僕を部屋にあげてくれた。少しすると大抵 お茶とお菓子が出てくる。僕はゆきこちゃんが出てくるまでお菓子をつまんで 待っていればよかった。時折 ゆきこちゃんがお着替えに時間がかかったりする時は、お手伝いさんかゆきこちゃんのお母さんが出てきて僕に挨拶をしてくれた。僕は 促されるまま お菓子をつまみながら出てくるのを待っているのだった。

お待たせしましたとゆきこちゃんは出てくる。

やすくん今日はどこへ行く?

ゆきこちゃんが 行きたいところに行こう。

じゃあね 今日は風が強いからお家で遊びましょう。

それはゆきこちゃんの部屋でままごとかお人形さん遊びをするということだった。僕はゆきこちゃんの後について 部屋に入った。あとは ゆきこちゃんの指示に従って その通りにするだけだった。近所の男の子たちはよく野球をしていたけれど 僕は野球はあんまり好きじゃなかった。僕があんまり野球が好きじゃなくなったのは、家であまり野球をテレビで見ないからだろうと思う。父はあまり野球が好きな人ではなかった。父は近所の子供達の父親のように 近くの陶器工場には行かなかった。父は背広を着て近くの電車区に仕事をしに行った。父はそこで電車に関することを教えていた。時折 呼ばれて 大垣 辺りにも押しに行くことがあった。父は出世ということにはあまり興味がなかったらしくて延長になるための試験を 何度も 辞退していた。父は黒板の前で生徒たちに教えている方が自分には合っていると考えていたんだろう。

父はあまり笑わない人だった。

母親の方がよく笑っていつも楽しくしていたが、父が笑っているの あまり見たことはなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る