いけいけ勇者様66

最上司叉

第1話

勇者は考えていた。


魔王に嫌われてしまったのではないかと。


2人がギクシャクし始めて2日がたった。


「あ…」


「…おはよう」


「う…ん…おはよう」


勇者の仲間たちが心配そうに見ていた。


ドラゴンの女1人だけは楽しんで見ていた。


「今日もアツアツやのう」


勇者と魔王をからかい始めた。


「…」


魔王は顔を赤くして俯いてしまった。


勇者はドラゴンの女を睨む。


勇者の仲間たちはこのままじゃいけないと考えて2人を仲直りさせようと作戦を練ることにした。


「2人最近変じゃない?」


「そうだな」


「何かあったのかな?」


「どうでもいいよ」


そう言うと魔法使いは我関せずと席を立つ。


「あっ…ちょっと」


「ほっとこう」


「それがいいかと思う」


「確かに魔王様は近頃おかしい」


「魔王ちゃんどうしちゃったのかな?」


「うーん…」


「何をしておるのかのう?」


そこにドラゴンの女も加わった。


「いいとこに来てくれた」


「なんじゃのう?」


「ドラゴンの女ちゃんは何か知らない?」


そう聞かれドラゴンの女はニヤニヤし始めた。


「何か知ってるの?!」


「どうするかのう」


「知ってるなら教えて!」


「まぁいいかのう」


「ありがとう!」


「この前の戦いで魔王が操られてのう」


「うん、それで?」


「魔王を正気に戻すために勇者は魔王に接吻してのう」


「!!」


「どうかしたかのう?」


女はキスの話を聞いてショックを受けている。


女は勇者のことが好きだからだ。


もちろん魔王のことも大切だ。


女は自分には魔王に勝ち目がないと初めから分かっていた。


とうとう女が恐れていたその日がやってきてしまったのだ。


女は涙を流しはじめた。


「なにか悪いことを言ったかのう?」


「…大丈夫」


「そうかのう?」


女は涙を拭い話を再開する。


「それで勇者さんと魔王ちゃんはギクシャクしてるのね」


女は魔王の気持ちが分かりすぎている。


今まで魔王は勇者をそんな目で見たことがなかったのだろう。


それがキスをして変わってしまったのだ。


魔王は勇者が気になり始めている。


このままだとおそらく2人は上手くいく。


邪魔をしてやりたいがそんなことはできない。


魔王も勇者も大切だからだ。


勇者に救われ魔王と初めて会った時のことを今でも覚えている。


あの時の魔王は中身はまだまだ子供だった。


今では恋に悩む大人に成長したのだ。


多分魔王は初恋だろう。


女は自分の醜い気持ちを隠し2人を仲直りさせようと決めた。

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