第18話 そういえば乙女ゲームだった

「あ、いた!ノアぁーーーー・・・・・。」


お昼休み。

約束していたカフェテラスでノアの姿を見つけて声を掛けたシアは、約束していない余計な人たちまでいることに気が付いた。


「やあシア嬢。一緒にどうだ?」


優雅にお茶を飲みながら偉そうにそう言ったのは、言わずと知れたアラン王子様である。

偉そうと言うか実際に偉い。


―――いや言われなくてもノアとルーカスと一緒に食べる約束してますけど?

元々ここでノア達と待ち合わせしたのは私であって、後から入って来たのはお前・・・いえあなた方ですよね!?




ノアとルーカスも気まずげにしているのに全く気にしない様子のアラン王子とマリウス。

マリウスに至っては数多くの女生徒を虜にしてきた微笑みで、「遅かったですねー」などと言ってくれる。

アラン王子は生まれた時から王子なので、自分がいることが嬉しいだろうと本気で考えていそうな節があるけれど、コイツは絶対に分かって言っているから余計質が悪い。



「お待たせノア、ルーカス。アラン王子はお隣ですか偶然ですね。」


一緒に食べると約束したんじゃないですよ。偶然席が隣になったんですよと、せめてアピールするシア。


それにしても・・・・


このテーブルの圧がすごい。


入学してしばらく経って分かってきたのだけど。王位継承筆頭候補の第三王子アラン様はもちろんのこと。

宰相令息で、将来アラン王子の側近間違いなしのマリウス。

お人形のように整った顔に似合わず、意外と頼りがいのある貴公子ノア(私の兄ですけど?)。

平民ながら攻撃魔法は学園一。心優しい人気者ルーカス。




―――この人たち、もの凄い人気らしい。

まあまだ第二学年なので、上級生のお姉さま方はガチ恋ではなさそうなのが救いだけど。

・・・アラン王子やマリウスのことは本気で狙ってそうではある。




―――え、これなんて乙女ゲーム?・・・・乙女ゲームだったわよそういえば!!




―――このメンバーの中に入っていけと?私はヒロインじゃないんだから、無駄に集まらないで欲しい。というかノアとルーカスは攻略対象でもないし。



「マリウス様!あの、こちらの席は空いていますか?」

「ゴメンね。友人とゆっくり食べたいから。」


―――おい!


勇気を出してマリウスの隣の席に座ろうとしたレディーを追い返すマリウス。



―――お嬢さんは席が空いているか聞いたのよ?空いているんだから、空いていると答えなさいよ!!



カフェテラス中の人たちが固唾をのんで見守る中、ノアの前の席に座る。

シアは考える事を止めた。


「おや、座るんですか。」

マリウスがからかうように言ってきた。やはり確信犯だ。


「どうせこれからも付きまとうんでしょ?それでノアとこれから一緒に食べられないなんておかしいもの。もう最初から気にしないことにしたの。」


そう言うと、マリウスは面白い物を見つけたような、意外そうな表情をした。



―――なーんかイヤな感じ!





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