第1話 生活ルーティン 朝編
一話冒頭ながら、ここで猫耳ショタこと"ヨリ"くんと、普通の人間である"お兄さん"の生活ルーティンを紹介しましょう。
まずは、朝のルーティンから~。
時刻は、午前六時五十分。
兄「スゥ~、スゥ~…。」
ヨリ「すぴぃ~、キュルル~♪」
おやおや、弟のヨリくんは、今日も猫耳ショタの姿で、お兄さんの布団に忍び込んでいますね。
自由に猫耳ショタになれる前までは、先に起きてゲージの中からじっと見つめているのが主な週間でした。
しかし、猫耳ショタになってからは、常にお兄さんに密着しながら寝ています。
ちなみに、寝ている時のヨリくんは、ちょっと寝相が悪く、無意識にパジャマを脱いで起きた時には全裸になっている、なんて事もあります。
今日は、ズボンだけで済んだみたいですね。
兄「んんっ…んっ…カーテンが明るい…今何時だ…。六時五十分…。うぅ~ん、そろそろ起きないと…。」
二人の朝は、午前七時になる少し前から始まる。
まず、一日の初めにやる事は、ヨリくんの朝ごはんの用意である。しかしこれは、ヨリくんが猫の姿の時のお話。
一方、ヨリくんが猫耳ショタの時は、一緒に朝ごはんを取るようにしている。
このお話を見ている皆さんは、猫耳ショタになったヨリくんの食事について、さぞ気になる事でしょう。
そもそも、猫に与えては行けない食材は沢山あります。
NG食材例。
ネギ類、チョコレート、スパイス類、魚を除く生の魚介類(イカ、タコ、甲殻類、貝類)、ナッツ類、一部果物(ぶどう、パインなど)、アボカドなど。
この様に食べられない食材が多くある中、猫耳ショタになったヨリくんの食生活は、どうしてるのでしょうか。
猫耳ショタになった時のヨリくんは、基本NG食材でも食べられますが、甲殻類と貝類だけは大っ嫌いです。
ちなみに好物は、おにい…ではなく、チョコレートです。
しかし、NG食材が食べられるのは猫耳ショタの時だけで、猫の姿の時は、普通の猫レベルの食べ物しか受け付けません。
おもに、カリカリや猫缶などですね。
これは少し前の話ですが、寝ぼけて猫の姿に戻ってしまったヨリくんが、好物のチョコレートをつまみ食いしてしまい、そのまま腹を壊して病院に連れて行かれた経験があります。
兄「ふぁ~、今日は俺が先か…、ヨリ~、起きろ朝だぞ?~」
ヨリ「ふへぇ~、にいひゃん~♪」
兄「今日も寝ボケてるな。まあ、寝たのが夜中の三時だったから仕方ないか。」
普段から夜になると活発に動くヨリくんですが、それでも普通の猫だった時は、お兄さんが寝ている事が分かれば、大人しく構ってアピールを止めて寝てくれていました。
しかし、猫耳ショタになってからは、週四回以上、夜通しでゲームに勤しむ程、活発化になりました。
そうなるとお兄さんは、平日の夜中にも関わらずヨリくん主催のゲーム三昧に付き合う日々は、少なくありません。
そのため昨夜は、夜中の三時までレトロゲームの攻略に奮闘していました。
夜中のゲーム三昧。
私が小学生だった頃は、平日にも関わらず、朝の四、五時に起きては、部屋でテレビゲームに勤しみ、よく親に怒られたものです。
ちなみに、現時点のお兄さんは、貯金の状態がイエロー信号になるまで自称Web小説家であるため、今のところは支障はありません。
それでも、自堕落な生活に慣れてしまっては、社会に復帰した際に、生活リズムを戻すのに苦労するため、平日の朝だけは、しっかり起きなくてはならないのでした。
とは言え、お兄さんに取って今一番気にする所はそこではなく、まずはヨリくんに、朝ごはんを食べてもらう事が一番大事であった。
猫耳ショタになったとは言え、ヨリくんは猫だ。
食事の時間をおいそれと変える訳には行かない。
お兄さんは、早速台所へ向かおうと体を起こした。
兄「さてと、朝ごはんでも作るか…、っ、ん?」
ヨリ「ふにゅ~♪」
お兄さんが起きる仕草を本能で感じ取ったヨリくんは、素早くお兄さんの腹部辺りに両腕を伸ばしてホールドした。
兄「こらこら、ヨリ?これから朝ごはんを作るから離しなさい。」
ヨリ「んんっ~、ゴロゴロ。」
兄「はぁ、全く仕方がない子だ…。よっと、こうして…こうやって…っと。」
寝ながらお兄さんをホールドするヨリくんの仕草は、日常茶飯事なため、お兄さんは手慣れた手つきでヨリくんのホールドを解くと、そのまま台所へ向かった。
今日の朝ごはんは、猫耳ショタのヨリくんでも食べられる、目玉焼きとベーコンをメインにした簡単なメニューだ。
こんなやり取りでも、お兄さんからして見れば、今のヨリくんと意思疎通が取れるのは、とても嬉しい事であった。
何より話しが出来る相手が居ると言う事は、今の自分に取ってかなりのプラスであった。
更には、ヨリくんの体調や喜怒哀楽、好き嫌いの様な些細な情報など、普段の猫では知らない気持ちが分かるため、その点においてもプラスだ。
兄「ほら、ヨリ~?そろそろ起きろ~?」
ヨリ「ふにゅ~、んんっ、ふぇ…、あひゃ…?んんっ~ふぁ~♪」
台所で調理をしているお兄さんの声に、ようやく目を覚ましたヨリくんは、猫らしく両腕を前に出して背中を反らせながらあくびをした。
兄「ヨリ~、もう少しで朝ごはんの用意が出来るから、顔でも洗って来な~。」
ヨリ「うぅん…、わかった~。」
お兄さんの言葉に正直なヨリくんは、台所に繋がっている扉を通り、そのまま台所を抜けて洗面所へと向かった。
しかし…。
ヨリ「クンクン、ふへぇ~、良い匂い~♪」
兄「いつもと変わらないだろ?それより早く、顔を洗って来いさ。それとも、俺に顔を洗われたいのか?」
ヨリ「うーん、僕はそれでも構わないよ♪」
兄「…ふぅ、冗談だ。早く顔を洗って朝ごはんにするよ。」
ヨリ「はーい。」
ヨリくんのつまみ食いを察知したお兄さんは、適当な会話を挟んでヨリの気を逸らす事に成功した。
小さなテーブルに二人分の朝ごはんが並べられると、二人は正座をしながら仲良く手を合わせた。
ヨリくんの食事スタイルは、お兄さんと同じがいいと言う事で、以外にも矯正箸を使って朝ごはんを食べていた。
初めの頃は、箸はおろか、スプーンやフォークを持つ事すら怪しかったヨリくんであったが、今では急速に成長して扱える様になっていた。
兄「それにしても、ヨリの物覚えの良さは凄いな。」
ヨリ「えへへ、そんな事ないよ兄さん♪全部兄さんが教えてくれたお陰だよ♪」
兄「っ、そ、そうか。(うぅ、自分の成長を全部俺のお陰だなんて…、なんて謙虚で健気なんだ。)」
ヨリくんの純粋で優しい言葉と笑みは、お兄さんの心と理性に会心の一撃を与えた。
これにお兄さんは、今すぐにヨリくんを押し倒してモフりまくりたいと言う、なんとも不純な思いに駆られた。
しかし、お兄さんも大人である。
こんな不純にまみれた思いなど、今に始まった事では無い。むしろお兄さんは"毎日"経験して堪えているくらいだ。
そのためお兄さんは、いつもの様に不純な思いを押し殺しながら、表情固くして堪えた。
ヨリ「ん??どうしたの兄さん?」
兄「っ、あ、いや、何でもないよ♪」
ヨリ「そうなの?あ、兄さん口元にご飯粒が…ぺろっ。」
兄「っ、なっ!?~~っ///」
ヨリ「えへへ~♪兄さんにダメって言われた事をしちゃった~♪ねぇねぇ、兄さん兄さん♪言いつけを破った悪い僕に、一体どんな罰をくれるのかな~♪」
ヨリには、お兄さんの気持ちを察していた。
そもそも猫とは、小さな仕草でも相手の感情を読み取ってしまう不思議な生き物です。
おそらく、お兄さんの喋り方、声の強弱、小さな仕草などから読み取ったでしょう。
そのためお兄さんは、追い詰められました。
このまま挑発的なヨリくんに乗っては、見透かされた敗北感と共に、ヨリくんの思い通りに喜ばせてしまう。
それでは、純粋なヨリくんに変な悪循環をもたらせてしまう。
※と言いながらも、日常茶飯事です。
どうか、茶番にお付き合い下さい。
このままヨリくんに何もしないのも一つの手だが、しかしそれでは、二人で決めた"これをしたらお仕置"リストに顔舐めがあるため、何もしない訳にも行かなかった。
仮に、何もしなかったとしても、おそらくヨリくんは、お仕置を求めて再び顔舐めをするか、お仕置リストにある何かしらの行為をして来る可能性は十分に合った。
ヨリくんに取っては、一つの甘え方であろうが、お兄さんからしては、理性を破壊しかねない危険な行為であった。
そして、お兄さんが取った決断は…。
兄「よ、よし、望み通り、お、お仕置だ。」
ヨリ「わーい♪お仕置~♪」
兄「っと、その前に、朝ごはんを食べてからだ。」
ヨリ「っ、むぅ~。」
兄「はいはい、頬を膨らませない。早く食べ。」
気を逸らさせる苦し紛れの作戦に、流石のヨリくんでも騙されなかった。しかしそれでも、二人は仲良く朝ごはんを平らげた。
その後、朝ごはんの後片付けのため、お兄さんがヨリくんのお皿と茶碗をまとめて台所へ向かった。
これにヨリくんは、お部屋と台所を繋ぐ扉の隙間にて、お皿を洗うお兄さんをじっと見つめながらお仕置を楽しみにするのであった。
小ネタ。
兄「…あっ、しまった。スマホを部屋に置いて来てしまった。」
ヨリ「じーー、にまぁ~♪」
兄「っ、よ、ヨリ…。」
小生意気にもお兄さんのスマホを人質に取ったヨリは、お兄さんを誘うため、仕事道具でもあるスマホを口元へ持って行き、噛もうとする素振りを見せた。
兄「っ!」
大切なスマホを壊されると感じたお兄さんは、優しい顔から一変、不動明王に勝る程の怖い顔で、瞬時に扉を開けると、ヨリくんを縄で縛りメス顔になるまでモフるのであった。
ヨリ「ふへぇ~♪にいひゃんもっとぉ~♪」
兄「お仕置リスト、顔舐め、機械類の噛みつきで二回も違反だ!反省しろ!」
ヨリ「ふにやぁぁ~ん♪」
本気で怒っているお兄さんに、それを喜ぶ弟。
これが一週間に、三回程度起こる朝のルーティンです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます