第28話「番長とゴリラとタイガーと」
そこに現れたのは、ゴリラだ。
ゴリラ種ゴリラ目名称ゴリラのゴリラだ。
「ウホ」
ゴリラは手に槍の様なものを持っていたが
敵意は無いと示すように地面に置いた。
両手をあげて何も持っていない事を示してくる。
いや、賢いな、本当にゴリラか?
オレはそう思ったが見た目はやはりゴリラだ
だが、ここは異世界だ、目の前のゴリラは
もしかするとゴリラでは無いのかもしれない
じっと見ていると腰にツタを下げていることに気がついた。
そこには化け鳥の羽をむしって纏められた物がさげられている。
「お前、それ」
オレは腰にさげられている羽を指差すと
頷いてゴリラは足をあげてペタンとおろしたあと羽を指差してオレを指差す。
そして、羽の束をオレに差し出した。
「・・・お前、見てたのか?」
「ウホホ」
オレが聞くと頷いて肯定するゴリラ。
もしかして言葉が解っている?
それに、わざわざ羽を洗って処理までしてある。
このゴリラは完全に人のそれだ。
言葉が解っていると言うのも大きい。
異世界には言語から全く違うものだと思っていたからだ。
それともこのゴリラが特別なのか?
「聞いても良いか?」
「ウホホ」
「どうして言葉が解っている?」
「ウホ、ウホホ」
何かを操作するように空中に指をやると
画面が出てきた。
『名前 エラ・グゥ
種族 エンプ族
性別 雌
職業 魔の森 東部の主
称号 エンプ族族長 魔の森の主 賢王
亜人の女王 平和主義者 知性の獣人
加護 森神の寵児
スキル 全言語理解 (ユニーク)
身体強化LV6
槍術LV5
カリスマLV5
狂化MAX 』
・・・うん、色々と言いたいがこれだな。
全言語理解、これのお陰でオレの言葉が解っているわけだ。
それにしても、エンプ族、ゴリラじゃあないのか。
「オレはその羽はいらないからお前が使え」
オレがそう言うとエンプ族の、いや、もうゴリラで良いか。
ゴリラは嬉しそうにしながら羽を掲げて腰に戻した。
ゴリラは次にオレの手を取って軽く引いてくる。
「どうした?」
「ウホ、ウホホホ!」
手を挙げて牙を剥き、森の奥を指差す。
四つん這いになってグルルッと唸り、その後その場でジャンプして立ち上がったかと思うとグオオ、と声をあげて倒れる。
ムクリと起き上がると槍を取って突きをすると素早く四つん這いになりグオオッと声を出して腕を振る。
槍で受けるようにしてまた、槍を構える。
グオオッ、と唸ったあとは逃げるような素振りをして槍を地面にさして膝をつく。
それを繰り返し見せてきた。
「・・・この森の中にお前を襲った奴が居て
相手は森の中に引いたがお前も手負いになった?」
「!ウホッ!!」
よく見ているとゴリラは傷だらけだった。
オレの言葉に頷いて手を引いてくる。
森の中に入るようだが手負いならあぶないのでは?
一応そのまま連れられて行くことにした。
少し進むと集落の様な簡素な小屋が建ち並んだ、木々に囲まれた所へやって来た。
そこには様々な二足歩行の動物達が居た。
犬、猫、猿、狼、獅子、ネズミ、虎などと
色々な動物達だ。
ゴリラに気が付いた動物達は心配そうにしながらこっちに集まってきた。
なるほど、亜人とあったのは二足歩行する
動物達の事であり、皆が人間サイズの奴らを総じてそう言うみたいだな。
ゴリラが説明するように鳴き声をあげている
それぞれが武器を持ち出して何かに備えるようにしだした。
まるで、これから何かがここに来るかのように。
その時だ、何かの獣が叫び声をあげた。
オレがその方向へ振り替えると小高い森の丘の上から数メートルの巨大な───
「マジかよ・・・サーベルタイガー」
古代の獣がオレ達を睨んでいた。
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